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失敗しない「個人面談のコツ」完全ガイド(面談で使えるヒアリング・シート付き)

連載
学級経営「失敗しない」完全ガイドシリーズ
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埼玉県公立小学校教諭

紺野 悟

新学期も数か月が経ち、新しい学級の保護者との個人面談が始まります。限られた時間、限られた機会でどのような印象をもたれるかは、これから先の学級経営に大きく影響します。そんな個人面談で失敗しない「個人面談のコツ」を、埼玉県公立小学校の紺野悟先生が事前準備から当日の面談の流れまで完全ガイドで伝授します! 着実なコミュニケーションで保護者との関係性の土台を築き、ともに子供たちを支えるパートナーシップへとつなげましょう。(ダウンロードして使える資料付き)

執筆/埼玉県公立小学校教諭・紺野悟

「たった15分」の個人面談が重要な理由

どの学校でも、1年間どこかのタイミングで保護者との個人面談が行われます。昔は家庭訪問を行っている学校が多くありました。地域の様子や家族の様子、通学路を確認しながら、家庭での個人面談が行われていました。

しかし、現在は多くの学校が保護者の方が学校に来て教室で面談を行う形式を採用しているのではないでしょうか。1週間程度の期間で、学級全員の保護者の方と面談をします。1日当たり7人程度、1人当たり15分で行われることがほとんどです。たったの15分ですが、とても貴重な15分です。理由は3つあります。

1つめは、この15分が直接お話をする唯一の機会になる保護者の方もいるからです。それは、とくに大きなトラブルもなく1年間連絡するほどのこともなく、過ごすことができたともいえますが、この15分しか信頼関係を築く機会がないとも言えます。

2つめは、第一印象は30秒で決まると言われています。もし「なんか自信ありげで嫌な感じの先生」と思われたら、保護者の方は、常にそのフレームの中からあなたのことを見ます。このように、第一印象は、その後の人間関係に影響を与えるからです。マイナスに働くと、それはとても恐ろしいことです。

3つめは、保護者面談で与えた印象は、その年以降にも影響を与えるからです。考えてみてください。あなたの学校に、友人が勤めている学校から校長が異動してくるとします。おそらくその友人に会ったとしたら、「どんな校長なの?」と聞くのではないでしょうか。同じように、来年度担任する子供たちの保護者の方は、近所のつながりや習い事のつながりで、あなたのことを「どんな先生?」と聞くはずです。しかも、学校から帰ってくる子供の話よりも、保護者が直接会った面談で得たあなたの姿は、印象強く記憶されています

これらのことから、個人面談は大切です。もし、悪い印象を与えてしまうと、その後の指導が子供に伝わらなくなることだってあります。

そこで今回は、失敗しない個人面談のコツをまとめました。皆さんがこれから行う面談で失敗しないためのヒントになれば幸いです。

【事前準備】面談の場づくりを考える

まずは面談の場所について説明をします。教室の中にある机を使って場作りをします。私がこれまで行ったことがある3つの形式を紹介します。どれも一長一短がありますので、ご自身で考えた上で選んでみてください。

①対面型 ver.01

対面型Ver.01

教師用の机1つ、保護者用の机1つを対になるように配置します(荷物を置く机を横に用意する)。この形で行うと、正対して話をすることができます。しかし一方で、真正面から全身が視界に入るので緊張しやすい傾向があります。

この配置の場合、机をくっつけるのではなく、机の間を数十センチ開けておくとよいでしょう。くっつけてしまうと、子供たちの学習机ですので、近すぎる感じがします。

②対面型 ver.02

対面型Ver.02

教師用の机2つ、保護者用の机2つを班の形にして配置します。机が2つあるので、左右どちらに座るかの選択肢があります。保護者の方と斜めに座ることもできますし、①と同じように正対して座ることもできます。座らなかった方の椅子は、荷物を置くスペースとして活用できます。

③L字形

L字型Ver.01

机をL字になるように、2つずつ配置します。斜めに向き合って話すのが特徴の形です。机に対して斜めに座り、片面を隠したような感じで話すことができます。これは、緊張感が薄れる効果がありますが、正面を向いていないので、場に違和感を感じる人もいるかもしれません。

【事前準備】面談の前に行う4つの準備

面談を行う前の準備は、学年で行うことの方が適しているものが多くあります。勝手に1人ではやらず、学年で話し合い、用意するようにしましょう。

①待合室に話題のきっかけを用意する

空き教室を使って待合室を用意します。夏であれば冷房が効いた部屋を用意しましょう。面談の前に涼しい部屋で呼吸を整えることができ、落ち着いて話すことができるようになります。暑いまま面談に入るより、良い面談になるでしょう。

また、せっかく用意するのですから、ただ待つだけの部屋ではなく、面談の話の種になりそうな「準備の部屋」にします。例えば、子供の作品や、教育に関係する書籍、美しい絵の本、観葉植物などを置いておきます。小さな妹や弟を連れてくることもありますので、絵本も置いておくとよいでしょう。案外、待っている時間に手に取ってくださる方もいて、話のきっかけになります。

②事前アンケートでヒアリングする 

面談が始まる前に、子供たちに事前のアンケートを実施しておきます(学校で行っているいじめアンケートなどと併せて行います)。そこで、友人関係や頑張っていること、苦手に感じている学習などを書いてもらいます。

同じように、保護者の方にもヒアリング・シートを配付して、面談の際に持ってきてもらうようにします。忘れても書けるように、待合室に予備を用意しておきましょう。面談が始まるときにヒアリングシートを受け取って話を始めていきます。

例として、私が以前使用した、保護者ヒアリング・シートをダウンロードできるようにしてありますので、ご活用ください。

《個人面談ヒアリング・シート》記事の最後でダウンロードできます。
《個人面談ヒアリング・シート》記事の最後でダウンロードできます。

ヒアリング・シートを書いてもらうことで、個人面談の焦点が定まります話が大きく脱線することが少なく、それでいて、有意義に話を進めることができます。あまり詳細に書けないようにしているのは、面談の時間で、保護者の言葉で聞きたいからです。

また、記入の文字や内容によって、保護者の忙しさや学校に対する不信感、子供に対する愛情の表現などが垣間見えます。こういうことも、保護者や子供を理解する一助になります。

③作品を用意する

子供たちの作品を用意してきます。ある年は、待機室に、全児童の図工の作品を並べました。そして、「待っている間に、お子さんの作品に一言コメントをください。」とお願いをしました。

書いてもらった子はとても嬉しそうでしたが、書き忘れて帰ってしまう方もいるので、全員にお願いすることは難しいと分かりました。今は、図工の作品なら鑑賞していただくだけにしています。

国語で書いた詩や教科のノート等でも構いません。子供たちの学校生活が少し透けて見えるようにすることが、面談の準備運動になるような気がしています。

④身だしなみを整える

直接保護者の方とお会いして話をするわけですから、身だしなみを整えましょう。基準は、男女問わず清潔感のある格好であるかどうかです。

スーツを着ているかどうかではありません。髪の毛が茶髪か、黒髪かではありません。清潔感が出ていれば、スーツを着ていなくても良い印象を与えます。心配な人は、同僚に「この格好は清潔感がありますか?」と聞いてみてください。

これは、私の経験上感じていることですが、ベテランの先生は、教師の経験も長く、力があります。さらに子育て経験もある方もいます。そういう方は、スーツを着ていなくても、清潔感を強く意識しなくても、信頼関係を結ぶことができます。しかし、若手であれば、きっちりスーツを着ていた方が清潔感があり好印象です。

しかし、残念ながらスーツを着ていればオッケーと言うわけではありません。膝の裏のシワ、シャツのシワ、ネクタイの曲がり、フケなども結構見られています。これは、相手がどう受け取るかに判断が委ねられてしまうので、絶対的な正解はありません。気をつけるに越したことはないので、自分なりに清潔感のある服装、髪型で挑みましょう。

【当日】面談の流れ


執筆者:紺野悟(こんの・さとる)
埼玉の教育サークル clover 代表。イベントを数多く企画・運営し、価値ある教育情報を広めている。共著『全単元・全時間の流れが一目でわかる!社会科 6 年 365 日の板書型指導案』(明治図書出版)他多数。

イラスト/Remi ISHIZUKA

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