学級会における教師の効果的な助言の方法【自治的な活動を促す 学級経営の極意Ⅱ⑫】


子供たちが自治的な活動を行えるようにするためには、教師はどのような指導をしていけばよいのでしょうか。学級経営・特別活動を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、全15回のテーマ別に特別活動の本流を踏まえて、学級活動の基礎基本を解説します。第12回は、学級会での教師の助言について解説します。
執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
城西国際大学兼任講師
日本女子大学非常勤講師・稲垣孝章
学級活動(1)学級会での「教師の助言」は、子供の話合いを支援する大切な指導場面です。学級会は、子供の自発的、自治的な活動を特質としますが、その活動は「教師の適切な指導のもと」という大前提があります。そこで、学級会の教師の助言にあたって、3つのキーワード「学級会前段での助言」「話合いの途中での助言」「終末場面での助言」でチェックしてみましょう。
目次
CHECK① 学級会前段での助言
学級会前段での助言は、話合いの前提条件を確認する場です。もし、事前にすべての指導が終わっている状況であれば不要とも言えます。しかし、現実的にはなかなか十分な事前の指導ができることばかりではありません。そこで、本時の話合いで提案理由の浸透化を図ったり、決まっていることを明確化したり、話し合うことや話合いのめあてを再確認したりするなどの助言を行い、充実した話合いになるようにしましょう。
前時の話合いの課題と本時のめあてを確認します
学級会での話合いは、積み重ねが大切です。「第〇回 学級会」と、回数を取り入れているのも積み重ねを重視しているからです。ゆえに、前回の話合いの成果と課題を明確にし、本時のねらいはその延長上にあることを確認します。子供たちが提案理由を中核に、本時の学級会のめあてが明確になるような助言を心がけましょう。
CHECK② 話合いの途中での助言
学級会の話合いの途中での助言は重要です。低学年を除いては、基本的に学級会での教師の助言は少なくて済むことが理想です。しかし、出された意見に対するイメージが共有されていなかったり、人権上配慮すべき発言があったりした場合などの助言は避けられません。視点を定めて適切な助言ができるようにしていきましょう。
イメージの共有化を図り、多様な意見を分類します
教師の助言で最も避けたいのは、子供たちの話合いを方向付けたり、決定を導いたりすることです。学級会の話合いで、教師が助言をする際には、次のような場面が考えられます。
〇話合いが提案理由からそれたとき
〇意見のイメージが共有されていないとき
〇意見が対立し方向性が見いだせないとき
〇発言が極端に一部の子供に偏ったとき
〇反対意見ばかりが多くなったとき
〇多様な意見の分類ができないとき
〇人権上の指導を要するとき
〇実践を見通していないとき など

CHECK③ 終末場面での助言
終末の助言は、学級会の総括とも言える場面です。1時間の話合い全体の成果と課題を明確にするとともに、陰で準備に取り組んできた計画委員への労いを行います。また、話し合ったことを実践するための意欲を高めることも大切な視点です。視点を明確にした助言ができるようにしましょう。
本時の成果と課題を明確にして実践意欲を高めます
学級会を重ねるたびに充実した活動となるようにするためには、「毎回の話合いの成果と課題」「実践活動の成果と課題」を明確にすることが大切です。特に、学級会の話合いは実践のために行うものです。実践活動の成果と課題を踏まえ、次の学級会に臨むことができるように、子供たちの目的意識を明確にすることができるような助言を心がけましょう。
イラスト/池和子(イラストメーカーズ)