学級会の議題の名称を決定しよう【自治的な活動を促す 学級経営の極意Ⅱ③】


子供たちが自治的な活動を行えるようにするためには、教師はどのような指導をしていけばよいのでしょうか。学級経営・特別活動を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、全15回のテーマ別に特別活動の本流を踏まえて、学級活動の基礎基本を解説します。第3回は、学級会の議題の名称について解説します。
執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
城西国際大学兼任講師
日本女子大学非常勤講師・稲垣孝章
学級活動(1)学級会での話合いは、議題の選定が重要です。様々な議題案の中から「適切な議題」を選定しますが、学級会の議題は、話合いの中核となることをシンプルに表現することが大切です。
そこで、学級会の「議題の名称」を決めるにあたって、3つのキーワード「実践活動を含めた議題」「シンプルな議題」「望ましい議題例」でチェックしてみましょう。
目次
CHECK① 実践活動を含めた議題
学級活動(1)学級会の話合いは、「集団討議による集団目標の集団決定(合意形成)」を特質としています。全員に「共同の問題」を取り上げ、話合いによって集団決定した内容を「実践活動」として展開します。特に、実践を見通した実効性のある話合いにすることが大切です。
「議題」の文末は、「~しよう」とします
議題は、「事前の活動・本時の話合い活動・事後の実践活動」のすべての活動を含めた名称にします。学級会の話合いで決めるだけの「~を決めよう」という文末ではなく、事後の実践活動も含めた「~しよう」という文末表現にして活動を展開しましょう。
CHECK② シンプルな議題
学級会では「提案理由」をもとに、学級生活の諸問題の解決を目指した話合いを行います。例えば、「みんなが仲よくできるように」「誰もが活躍できるように」「感謝の気持ちを表すように」などの「めあて」が話合いの中核であり、判断基準です。
簡潔でシンプルな議題の名称にします
例えば、「みんなが仲よくできるようなスポーツ大会をしよう」という議題が散見します。この議題での「みんなが仲よくできるような」という部分は、提案理由やめあてに盛り込む内容です。この議題は、簡潔でシンプルに「スポーツ大会をしよう」という名称にすることが望まれます。
CHECK③ 望ましい議題例

「望ましい議題例」を提示してある学級もあります。子供たちは、経験がないとなかなか議題を提案することは難しいものです。そこで、教師が次のような「望ましい議題例」を踏まえて子供たちに指導することも効果的な方法です。
「どうぞよろしくの会をしよう」
「係活動を始めよう」
「新聞コンクールをしよう」
「学級文庫を楽しくしよう」
「〇〇さんにお礼の会をしよう」
「1学期がんばったね会をしよう」
「夏休み作品展をしよう」
「遠足の歌集を作ろう」
「転入生の歓迎会をしよう」
「友達カルタを作ろう」
「係の発表会をしよう」など
年間指導計画に掲載します
「望ましい議題例」は、各学校の年間指導計画に掲載されていると思います。その際、月ごとに区切って提示するのではなく、学期程度ごとの大まかな枠の中で例示することが大切です。あくまでも議題の例示であり、実施時期等については学年や学級の実態に応じて選定できるようにすることが大切です。
学級生活の充実と向上を目指し、子供たちが自分たちの力で豊かな学級生活を創造することができるように、実践活動を踏まえた「学級会」にしていきましょう。
イラスト/池和子(イラストメーカーズ)