保護者も納得!ロジカルな成績処理のための3つのポイント
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学校の仕事が最も忙しいのは間違いなく「成績処理」の時期です。児童も保護者も成績には一喜一憂することを考えれば、簡単には決められないことはよくわかります。今回は、そんな成績の付け方について意識すべきところを考えます。
執筆/大阪府公立小学校教諭・浅野学
目次
客観的な評価を!―保護者に説明ができるように
まず必ず意識して欲しいことは、「保護者にその成績について理由を尋ねられれば、客観的な資料を含めて提示し納得してもらえる説明ができるのか」という点です。
10教科近くの評価をするわけなので、どうしても主観が入ってしまう点はあるでしょう。しかし、まったくの主観のみで成績が決められていると保護者が感じてしまえば、それは学校教育への不信感にも繋がりかねません。
多くの保護者は学校教育に対してある程度の信頼をしてくれているので、成績処理の情報開示を求められることはほとんど無いと思います。しかし、そこに甘えて主観的な評価をしていてはダメだということです。そのために普段から意識しておくべき点は次の3つです。
適切な評価のために意識したい3つのポイント
一つ目は「児童の学習活動の資料を細かく保存しておく」です。
単元末テストや小テストの結果、ノート評価、感想文など、成績をつける上で使った資料は、なるべく保護者に開示できるように取っておきましょう。図工科の立体作品などは写真撮影をしておけば場所をとりません。デジカメを活用するのがおすすめです。作品やノートなどはとりあえず撮影してデータ化しておけば、学期末の所見文を書くときの資料にも役立ちます。
二つ目は「成績をつけた理由を言語化しておく」です。
どうしてA評価をつけたのか、どうしてA評価をつけなかったのか。これについて、保護者に伝えるかどうかは置いておいても、先生の中では「言語化」しておきましょう。
例えば、図工化の評価であれば「この部分とこの部分で指導内容が表現できていなかった」などです。音楽科の評価であれば「歌唱テストで落ち着いて歌う部分がしっかりと表現できていた」などです。単元の目標を考えながら、自分は先生として児童の活動のどこを評価していたのかを言語化する練習は、実は自身の指導技術の向上にも繋がるはずです。ぜひ、取り組んでみてください。
三つ目は「学期末にまとめて成績をつけない」です。
人の記憶というのは美化されたり、また逆の作用が働くこともあります。学期末の忙しい時期にすることが多い成績処理ですが、余裕のない時に、学期はじめの教育活動を振り返って40人分の活動を客観的に評価するなんてことはおそらくできないでしょう。先ほど述べた「主観」ががっつり入り込んでしまう、保護者に不信感を持たれるような評価になりかねません。だからこそ、全ての教育活動の後とは言わないまでも、成績処理に影響を与えそうないくつかの単元についてはその都度、評価していくことが大切です。
私はいつも持ち歩いているスケジュール管理用のノートに、評価とその理由を忘れないうちに走り書きしておいて、あとで「教務必携」の児童個人ページに転記するようにしています。
成績一つで子どもや保護者の学習に対するモチベーションは大きく左右します。成績評価の持つ意味をよく考えて、子どもや保護者、そして先生自身が自信を持って渡すことのできるような通知表にして欲しいと思います。