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「苦手な子どもがいる」そう感じてしまう自分を否定しないで

2020/1/17

教師たるもの、全ての子どもを好きでいなくてはならない。と思う人が多いことと思います。しかし、「苦手」と感じてしまう、その感じ方まで否定する必要はないのではないでしょうか。
心理カウンセラーとして30年以上対人関係などをテーマにセミナーやカウンセリングを行い、小学校教師からの相談も数多く受けてきた石原加受子さんに、教師の、人にはなかなか言いづらい悩みについてアドバイスをいただきました。

執筆/心理カウンセラー・石原加受子

イラスト/小泉直子

子どもに苦手意識を持つのは大人げない?

教育者として、平等や公平を教える立場であるために、「誰に対しても、差別をしてはならない、公平でなければならない」ということを自分に課してしまうあまり、 自分の感情や気持ちを抑えたり、後回しにしたりしてしまう先生たちが少なくありません。

けれども、実際の場で、いつも冷静さを保ち、誰に対しても穏やかな気持ちで接して、公平であろうとするのは難しいものです。

ある30代の男性の先生は、
「子どもらしくないA君が、苦手でたまらない」
という心情を話してくれました。

「私が子どもたちに指導しているときも、A君だけが冷ややかで、私の動揺が見透かされているように思えてならないのです」

A君が、何か極端な態度や言動をとるわけではないのですが、
「彼と目が合うと、ついそらしたくなってしまいます。子どもに苦手意識をもつなんて大人気ないと思われそうで、誰にも言っていないのですが、A君が欠席しているとき、ほっとして、肩の力が抜けている自分がいます」
というのです。

自分の「感じ方」を否定しないで!


ある年配の先生は、「私自身は、贔屓ひいきしているつもりはないのですが、子どもたちからすると、特定の子を贔屓しているように見えるようなのです」
と言います。

「もちろん、できるだけ公平であるように心がけているのですが、正直、私だって人間ですから、好き嫌いがありますし、苦手に思う子どももいます。親しみをもってくれる子どもには、嬉しくなりますし、拒否されればへこみます」

まったくその通りです。むしろ、時と場合によっては大人よりも子どものほうが辛辣で、歯に衣着きぬきせない言い方をすることがあって、打ちのめされるほど傷つくこともあるでしょう。

そんな子どもたちに対しても、公平であろうとしたり、冷静に対処しようとしたりすることは望ましいことですが、自分自身が人間として、子どもたちに対して感じる「自分の感じ方」まで否定することはありません。

むしろ、どんな立場であっても、それが仮に否定的な感情であっても、自分の感情を感じることは大事にしていたいものです。

というのは、自分の感情を感じないで、義務感や責務感だけで公平に対応しようとすると、逆に、問題が起こりやすいこともあるからです。

自分の感じ方を物差しとする

上記の先生とは、以下のようなカウンセリングを行いました。

 子どもを苦手だと感じることが、いけないと思っているのですか

先生 やっぱり、どの子どもにも同じように接していたいですからね

 では、A君が、あなたに近づいてほしくない、あるいは、あまり距離を縮められると、怖くてならない。こんなふうに感じているとしたら、どうでしょう

先生 えっ? そうなのですか ?!

私は、経験上、本当はA君のほうが人を苦手に思っているという可能性が高いと感じました。

 そんなA君の拒否的な態度や言動を察知して、それで、あなたが苦手意識を抱くようになったとしたらどうでしょうか

それを聞いた彼は、しばらく絶句したままでした。そして、

「確かに、そうかもしれません。私は自分のことばかり考えていましたが、そうなのだと思います」 
と、おっしゃったのです。  

こんなふうにとらえると、自分の感じ方というのは、非常に重要なことだと思いませんか。

頭で考えると、もっとその子どもと親しくならなければならない。ほかの子どもたちと同じように接しなければならないと考えてしまうでしょう。

先生は、さらにこのようにおっしゃいました。
「難しい子だと思っていましたが、ふり返ってみると、私のほうが彼に近づき過ぎていたのかもしれません」

だから、A君は、いっそう彼を拒否するようになった、というのが最も真相に近かったのです。

自分が苦手だと感じるとしたら、子どものほうも、先生を苦手だと感じている可能性が高いものです。自分が特定の子どもに腹が立つとしたら、それは、子どもが挑発しているからかもしれません。その子を指導する気持ちになれない、というふうに感じるとしたら、その子どもがやる気を無くしているからかもしれません。

これが「関係性」ということです。

こんな「関係性」で見ると、逆に、頭で考えて公平であろうとするよりも、自分の感情を信じて、自分の感じ方を物差しとして、子どもとの距離のとり方を図ったほうが、より子どもを公平に扱うことができるし、自分自身も傷つかないで済むのではないでしょうか。

石原加受子●心理カウンセラー。厚生労働省認定「健康・生きがいづくり」アドバイザー。対人関係のテーマを中心に、30年以上カウンセリングを続ける。著書に『仕事も人間関係も「すべて面倒くさい」と思った時に読む本』(中経出版)『先生に向いていないかもしれないと思った時に読む本』(小学館)ほか多数。

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【関連記事】「つらい」「疲れやすい」「肩がこる」という状況が続いている先生は、こちらの記事もお読みください→1分でできるストレスチェックで自分もみんなも救うことができる!

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