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子供の成長を促し指導の質を高める「教育評価」の手立て【主体的に生きる力を育む学級経営の極意⑭】

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主体的に生きる力を育む学級経営の極意
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埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者

稲垣孝章
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子供たちが多様な他者と関わりながら社会につながり、主体的に生きる力を育んでいくために、教師はどのような学級経営をしていけばよいのでしょうか。学級経営・特別活動を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、全15回のテーマ別に学級経営の本流を踏まえて基礎基本を解説します。第14回は、「評価活動」の進め方について解説します。

執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
 城西国際大学兼任講師
 日本女子大学非常勤講師・稲垣孝章

 

「評価活動」は、子供のよりよい成長を促し、教育指導の質を高めます。「教育評価」は、教師の指導についての「反省と改善」を目指すものであり、授業の中では「確認と調整」を行う役割を担います。適切な「評価活動」を行うには、教育評価についての正しい理解と適切な手立てを講じることが大切です。「評価活動」の特質を踏まえ、「評価活動の意義の理解」「評価の手順の確認」「実践上の配慮事項」でチェックしてみましょう。

CHECK① 評価活動の意義の理解

「評価活動」は、教育指導によって生じた子供の人格や行動などの変化を、一定の価値基準に照らして「判定」し、「改善」しようとする営みです。特に、教師の教育指導をよりよく「改善」していこうとすることが大切な視点です。子供に行う一般的な「テスト」は、「教育評価」ではなく、「教育測定」です。

「個人内評価」を重視します

「個人内評価」とは、本人の前の成績と比べたり、他の成績と比べたりして、本人としてはどうなのかを解釈したり、成績をつけたりする評価方法です。特に、本人の多様な長所の伸長を図るための「横断面的個人内評価」と、本人の前からの伸びを見取る「縦断面的個人内評価」の視点を重視していくことが大切です。具体的には、評価基準に「よくできた・できた・もう少し」の他に「前の自分より頑張った」という項目を取り入れる実践は効果的です。

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CHECK② 評価活動の手順の確認

「評価活動」には、踏まえておきたい「評価の手順」があります。この手順を踏まえた評価活動を展開しないと、評価カードをどうするかといった評価の方法ばかりに目が行くことになりかねません。「評価活動」を行う場合には、次のような「評価の手順」を踏まえておきましょう。

「評価活動」の手順を踏まえます

「評価の手順」には、大別して4つの視点が考えられます。

①評価の「目的と対象」の特定(何のために、何を評価するのか)
②評価の「方法と場面」の選定(どのような方法、場面で評価するのか)
③評価の「実施者と実施時期」(誰が、いつ評価するのか)
④評価の「結果の解釈と活用」(どのように分析し、指導に役立てるか)

現実的には、②と③の視点に目が行きがちです。しかし、最も大切なのは、①と④の視点です。「評価の目的」と「結果の活用」を重視して「評価活動」を展開していきましょう。

CHECK③ 実践上の配慮事項

「評価活動」は、子供の学業成績や生活の様子等を値踏みすることがねらいではありません。どのように指導を分析し、よりよく改善していくかが大切なねらいです。また、他の子供との比較による評価ではなく、その子なりのよさを見取り、励ましていくことが求められます。特に、質的な判断である「評価規準」と量的な判断である「評価基準」の意義も踏まえ、「評価の観点」に即した「評価活動」となるようにしていきましょう。

「指導と評価」の一体化を図ります

「指導と評価の一体化」の視点は、「評価活動」の基盤となる考え方です。事前の評価である「診断的評価」、指導の過程で行う「形成的評価」、まとめとしての評価である「総括的評価」を適切に行い、次の指導に役立てるようにします。なかでも、「形成的評価」は、まさに「指導と評価の一体化」を具現化する「評価活動」です。常に個々の子供の実態を踏まえた「評価活動」となるようにしていきましょう。

子供の成長を促し指導の質を高める「教育評価」の手立て【自主的・実践的な力を育む学級経営の極意⑭】 グループで話合いをしている子供や手を挙げて発表している子供を思い浮かべながら評価をまとめている教師

イラスト/町田ねる(イラストメーカーズ)

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