スッキリ環境で能率10倍UP!教師の収納整理術
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多忙を極める教員の仕事。ふと気がつくと、机の上には授業で使うワークシートやプリント類、鉛筆やのりなどの文房具類でゴチャゴチャ…ということはありませんか? 小学校現場教師発の、仕事効率も上げるリアルな整理術を10 のポイントで紹介します!
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監修/東京都練馬区立小学校教諭・吉田みなと
目次
お悩み解決! 10のポイント
①マイルールをつくる
まず、教室全体を見渡して、全体像を把握します。棚や教卓の位置から「プリント類はこの場所に収納する」「教科書やドリル類などよく使うものは、すぐ手に取れる近い場所に保管する」など、マイルールを決めます。場所を決めたら必ずそこへ戻すようにすれば、いつもきちんと片付いている状態をキープでき、「あれ…、どこだっけ!?」と探す手間もなくなります。
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②集配物を班ごとに
ワークシートやノートは、班ごとに集めます。各班の「集めリーダー」の子供にノートや冊子を開いた状態で集めてもらうだけでOK。班ごとにまとまっているので、「〇〇さんのノートはどこにいった!?」という迷子も防げます。そのうえ、収納も採点も返却もラクラク。
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③小物類は教卓の引き出しにしまう
小物類は、教卓の引き出しに収納します。子供たちに貸し出すことの多い鉛筆や消しゴム、のりなどは手前に、画びょうやはさみなど危険なものは奥にしまうのがコツ。チョークも引き出しにしまうのがおすすめ。黒板の周りにチョークを置かなければ、子供がいたずら書きすることも防げます。ちなみに、貸し出す文房具には、「先生」のシールを貼っておきます。すると、子供たちも借りたものだと認識できるので、きちんと返ってきます。
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④教卓の上にはなるべく物を置かない
少し油断すると、教卓の上はさまざまな物があふれてしまいがちに。あえて「物を置かない」と決めれば、見た目も気分もスッキリします。
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⑤子供に整理整頓の必要性を考えさせる
どうして整理整頓が必要なのか、整理整頓するとどんなメリットがあるのか、子供たちに考えさせ、納得させることが大切です。納得すれば、子供たちは動いてくれます。例えば、イスの出し入れ。「イスを奥まで入れておくと、どんないいことがあるかな?」と問うと、「机と机の間が歩きやすい」「避難するときにスムーズ」とさまざまな意見が出るはず。子供たちに考えさせたうえで、体育や音楽などで移動する際もこまめに声をかけると、イスをきちんと奥まで入れることを徹底できます。
⑥「忘れ物(落とし物)箱」は置かない
「忘れ物(落とし物)箱」を設置している教室は多いようですが、本当に必要かどうか、見直してみましょう。誰の物か分からないからと、ひょいひょいと気軽に「忘れ物(落とし物)箱」に入れる習慣が子供たちに付いてしまうと、結局は、問題が解決しないで物がたまっていくことになりかねません。「先生、消しゴムが落ちていました」と言われたら、「落ちていた場所の近くで、消しゴムをなくした人はいない?」と聞いてみましょう。きっと、「あ、私のだ!」と心当たりの人が見付かるはず。落とし物はその時、その場で解決すれば、「忘れ物(落とし物)箱」がなくても大丈夫なのです。
⑦朝・放課後の時間の使い方
朝、子供たちがスムーズに授業に入れるように教室内を整えておくと、心に余裕をもって子供たちを迎えられます。そのために、前日の放課後に、子供たちに返却するノートやプリント類などの配付物を机の上に置いておくのがおすすめ。また、今日の日程と明日の予定をサイドの黒板に書いておき、朝、登校した子供たちにすぐに連絡帳に写させると、子供たちも見通しをもって過ごせます。
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⑧ファイルはタイトルを付けて管理
今後、参考になると思われる書類は、行事ごと、学年ごとに分けて、ファイリングを。表紙や背表紙には、シールなどでタイトルを付けると後で探すときに苦労しません。また、ファイルは積み重ねると後で探すのが大変になります。背が見えるように立てて収納しましょう。ちなみに、ファイルは紙製ではなく、耐久性のあるビニール・コーティングのものがおすすめです。
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⑨「要・不要・迷い中」の三つに分類
いつの間にか、書類はたまってしまうもの。まず、自分で要・不要を見極めることが大切です。困るのは、「いつか必要になるかも…」と捨てることを迷う場合です。そういうときは「迷い中」に分類するのがおすすめ。少し時間が経った後で見直すと、あっさり要・不要の判断が付くことも多いはず。
⑩周りの先生の収納術を真似する
整理整頓のコツは、すぐには身に付かないもの。周りの先生の様子を見て、「いいな!」と思った収納術を取り入れていくことで、少しずつできるようになっていきます。「整理整頓が苦手だから…」と諦めないで、努力を続けていくことが大切です。
こんな工夫もある! 整理整頓のアイディア
ベテラン先生への取材から浮かび上がってきた整理整頓のアイディアを紹介します。
道具箱を使って小物を収納
シールなどの小物は、それぞれ道具箱の中に入れて保管。黒板に貼って使うもの(「だから」「なぜかというと」などの言葉カードや、金曜日の持ち帰り指示カード)は、まとめて黒板の横のスペースに集めています。紙類、冊子類は書類用のケースを使って、立てて収納しています。(東京都/東京学芸大学附属小金井小学校 齊藤和貴教諭)
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情報を一元化
子供たちの授業中のコメント、テストの点数、活動記録などは、できるだけその日のうちに手元のメモを参考にしてパソコンに入力しています。パソコンに情報を集めたら、メモやふせんなどの紙類は処分。こうすると、紙類の保管はかなり減ります。(東京都公立小 Y教諭)
ルーティーンを崩さないように工夫
放課後は、その日に使ったものを保管場所に戻します。これが私のルーティーン(決めごと)です。出張などでそれができない場合は、翌日の空き時間(専科の時間)を使って片付けます。(千葉県公立小 S教諭)
学年ごとにファイリング
残しておきたい書類は、学年ごとに、色の違うファイルに入れて収納。学校が変わっても、参考になることが多いです。(東京都公立小 T教諭)
アイディアノート&写真は宝物
子供たちと遊ぶのが好きなので、特別活動や休み時間の遊びなどを専用ノートにメモしています。スマートフォンで写真を撮ることも多いです。子供たちの表情から「鬼ごっこのこのアレンジは盛り上がったな」「単純なじゃんけんも、子供にとっては楽しいのかも…」など、感じたことをノートにメモしています。今どき、パソコンではなくノートに記録なんて古くさいかもしれないけど、私にとっては宝物で、じっくり読み返せるので、情報整理に役立っています。(神奈川県公立小 S教諭)
学年末に「定量」と「捨てる」の再審査
子供の頃から整理整頓は苦手。最近、片付けや整理整頓関係の本を読み、コツは「定位置・定量・捨てる」だと学びました。定位置を決めて使用後に戻すことはすぐに実践できましたが、「定量(=収納できる量を考える)」と「捨てる(=ちょうどよい量を維持する)」は難しいです。どうしても判断が難しいものは手元に残しておきますが、学年が終わるごとに「再審査」をしています。(東京都公立小 H教諭)
まとめ
取材を通して、整理整頓は時間短縮につながり、子供たちとのやりとりもスムーズになる様子がうかがえました。確かに、きれいに片付いた空間は、先生も子供たちも気持ちよく過ごせるもの。少しずつ整理整頓の習慣が身に付くように、できるところから始めるのがおすすめです。
取材・文/ひだいますみ
『教育技術 小三小四』2020年1月号より