小6国語「インターネットの投稿を読み比べよう」板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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大阪府公立小学校教諭

岡本美穂
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今回の教材は、「インターネットの投稿を読み比べよう」です。本単元では、「表現に着目して読み、考えたことを伝え合う」という学習活動を進め、いくつかの投稿を読み比べて、それぞれの説得の工夫について考えることをめざします。そのため、子供の思考過程を整理し、言葉と言葉の関係を結び付ける板書の工夫を紹介します。

監修/元京都女子大学教授
 同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/大阪府公立小学校教諭・岡本美穂

 

教材名 「インターネットの投稿を読み比べよう」(東京書籍)

単元の計画(全6時間)

  1. これまでに学習したことを確かめ、インターネットについて自分の経験などを振り返り、単元の学習の見通しをもって、学習計画を立てる。
  2. それぞれの投稿の内容を確かめる。
  3. 投稿を読み比べて、説得の工夫を考える。
  4. 投稿の中から自分が共感・納得するものを選び、理由を説明する。
  5. 議論の続きに参加するつもりで、自分の意見を考え、書きまとめる。
  6. 書いた投稿を互いに読み合い、意見や感想を伝え合う。単元を振り返る。

板書の基本 

この単元では、「表現に着目して読み、考えたことを伝え合う」という言語活動を位置付け、いくつかの投稿を読み比べて、それぞれの説得の工夫について考えることができることをめざします。説得の工夫について考えるためには、書き手が自分の考えをより分かりやすく伝えるために、どのような事例や理由を用いて説得力を高めているのかを考えながら読むことが求められます。書き手の立場、書き手の意見、考えの理由や事例を整理していきます。

また、それぞれの投稿の共通点や相違点を考えていくことで、複数の投稿を比較したり、分類したり、関係付けたりすることで、読み手を説得するためにどのような工夫をしているのかを考えられるようにします。そして、この議論の続きに参加するつもりで、自分の意見をまとめます。学習で取り上げた説得の工夫を使い、簡潔にまとめられるようにします。

そのために、子供の発言の「言葉」から要点を書き並べる板書を大事にします。つまり、板書を使って子供の思考過程を整理することを求めています。考えが多様になる時期なので、できるだけたくさんの言葉を見付け、それが教科書のどの位置にあるかを確認させるなどの学習活動が増えてきます。子供の発言や要点を書き並べる板書や、精選した言葉と言葉の関係を結び付ける板書を心がけています。

板書は学級の子供たちの方向性を示す視点であり、自分たちで考えたことが黒板に書かれていく、そこへ友達の考えが足されていき、深まっていく。その過程が「思考力」を育むと考えています。こうして1時間の板書ができ上がっていくことで、子供たちは学習への意欲が高まるものです。

板書のコツ(2/6時間目導入)

小6国語「インターネットの投稿を読み比べよう」 2/6時間目導入の板書
2/6時間目導入の板書

板書のコツ

この時間はまず、「インターネットの投稿を読み比べよう」と板書したところで、今までの学習を振り返る活動を入れました。5年生では「新聞記事を読み比べよう」、4年生では、「広告を読み比べて、特徴や効果を検討する」という言語活動を行ったことを振り返りました。また、3年生では、「ほけんだよりを読みくらべよう」の学習で、書き方の異なる「ほけんだより」の2つの記事を読み比べ、意図に応じた事柄の取り上げ方や説明の仕方の違いを学習したことを振り返り、2年生の「サツマイモの育て方」では、2つの文章を読み比べることで分かる違いや工夫について学習したことを思い出せるようにしました。ここで、再度「書き手」の「意図」によって書く内容が変わっていくことを確認し合うことで、どの子供も同じように理解して学習に取り組めるようにしました。

板書のコツ(2/6時間目)

小6国語「インターネットの投稿を読み比べよう」 2/6時間目の板書
2/6時間目の板書

板書のコツ

その後、本文を読んでいく中で、投稿された文章を読む際に大切なことが書かれている段落を見付けました。そしてそこから、キーワードを見付け、それはつまり「説得力」があるということだと確認しました。

それから、投稿1と2を読み比べ、どちらがより説得力があるのかを選び、理由を考えていくことで、「説得力」とは何なのか? ということを子供が自ら表現できるようにしました。

板書のコツ(5/6時間目導入)

小6国語「インターネットの投稿を読み比べよう」 2/6時間目の板書
5/6時間目導入の板書

板書のコツ

この単元で付けたい力は、「表現に着目して読み、考えたことを伝え合おう」ということを子供たちと確認します。そこで、毎回子供たちだけでなく、教師も意識できるようにしていきます。そして、本時のめあては「投稿者として議論に参加しよう。」です。参加するということは、書き手になることであり、そのポイントを再度確認することにしました。 

板書のコツ(5/6時間目中盤)

小6国語「インターネットの投稿を読み比べよう」 5/6時間目中盤の板書
5/6時間目中盤の板書

板書のコツ

ここでは、子供たち一人一人が議論の続きに参加するつもりで、自分の意見を考え、書きまとめていきます。「投稿をするときのポイントは?」と発問しました。すると、

・立場が違う意見でも受け止める。
・理由や根拠を伝える。
・具体的に数字で伝える。
・有名人の言葉、ことわざで説得する。
・自分の経験を伝える。

などという意見が出てきたので、その都度板書していきました。

この板書を参考にしながら考えられることをめざしていますので、シンプルに書き進めていきます。

板書のコツ(5/6時間目後半)

小6国語「インターネットの投稿を読み比べよう」 5/6時間目後半の板書
5/6時間目後半の板書

板書のコツ

今回は、実際に子供たちが「投稿者」になって議論に参加していくので、投稿する際の文章の構成も確認しました。

段落は3段落にすること、字数制限を伝えました。

実際に構成などを考えていく際には、最初の「めあて」で確認したポイントなどをつなげて考えていくことが大事なので、板書では白の矢印で表すようにしました。

 

構成/浅原孝子

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