ちょい足しテクニックで、板書がみるみる楽しげでにぎやかに! 授業で使えるアート的小技集!
デジタル化が進んだとしても、まだまだ黒板を使って授業をする機会は沢山あります。その日々の板書に、ちょっとしたアート的な工夫を付け足すと、いかにも楽しげでにぎやかな雰囲気になりますよ!
今回は、黒板で簡単に描ける、アート的な小技を紹介します。
題字・イラスト・執筆/埼玉県公立小・中学校教諭 坂齊諒一
連載【いちばん楽しいアート】#05
まず、黒板にイラストを描くにあたって、学級の中でのルール作りが重要です。これが無ければ「先生があの時絵を描いていたから、黒板に絵を描いていいんだ」という勘違いが生まれてしまいます。ルールとその理由を伝えましょう。
①黒板やチョークは先生が授業のために使うものなので、勝手に触らない。
②先生が黒板に絵を描くのは、授業に必要だから描いている。
③黒板に絵を描きたいときには、先生に許可をもらってから描く。
児童は都合のいいように解釈してしまうことがありますので、このことをきちんと伝えましょう。決して勝手に触っていいもの、描いていいもの、として扱ってはいけません。
小技の付け足しに関して、「絵が下手だから」「絵心がないから」苦手だなぁ、と考えている方もいるかと思いますが、大丈夫です! 児童生徒にとって何が重要なのかというと、「先生が描いてくれた」という事実が重要なのです。「絵が上手!」「何を描いているのか分からない」「頑張って描いていますね」などなど、どのような言葉が児童生徒から出たとしても、そこから会話を広げて授業を進めたり、人間関係を深めたりするきっかけにすることができます。
また、チョークを使うときのポイントとして、3つ挙げます。
1、チョークの角度は45°にして使う
2、手首だけでなく、肩と肘も使う
3、ゆっくりではなく、勢いよく書く
前置きが長くなりました。
では、紹介します!
① にこちゃんマーク
このマークは非常に汎用性が高く、また描く手間も少ないのでおすすめです。私は板書だけでなく、宿題チェックや、プリントへのコメントの時にも使用しています。「表情を変えることで気持ちを伝えられる」「お花の先を別のものに変えることでどんな季節や行事にも合わせられる」「吹き出しと一緒に使えばコメントを残すことができる」など、その使い方は多岐にわたります。
② 対角装飾
これは見出しをより目立たせる時に効果的です。私は図工の単元名を大きく書いた時によく使用していました。字だけでは物足りない時に、パッと加えて見栄えをよくできます。「かぎかっこ」「ギザギザ」「もこもこ」「星」などを対角にちりばめるだけなので、技術もいらないです。
③ 太字
チョークを縦ではなく横で使って字を書くと簡単に目立たせることができます。また、違う色で少しずらして描くだけでも、立体感やいつもと違う板書の感じを出すことができます。また、広範囲の色を塗る時も便利ですね。私は特に習字の授業の時に使っていました。太字で大きくとめ、はね、はらいを描いてから、周りに線を描いて形を整えていました。(写真参照)
以上、板書の小技紹介でした。もちろん大切なのは授業の充実です。その授業を少しだけ楽しく、華やかにするために使ってみてはいかがでしょうか?
【著者プロフィール】
坂齊諒一●さかさいりょういち
1991年埼玉県生まれ。文京学院大学人間学部児童発達学科卒業。埼玉県公立小学校教諭として7年間勤務した後、2022年に一旦退職。翌年度から小学校、中学校教諭として勤務しながら、フリーランスイラストレーターとして活動を始める。企業や教育委員会からの依頼で絵を描きつつ、教員の働き方や図工の授業について研究をしている。