図工指導の悩みのタネ! 作品の鑑賞、どう指導したらいい?


「鑑賞」
私を含め、図工の授業を持った方なら何度も悩んだことでしょう。
どんなことを書かせればいいのか、児童が何を書けたらよしとするのか、どんな授業展開にすればいいのか、そんなことを悩んでいる内に授業時間になってしまい、友達の作品を見た感想を書かせて終わってしまった、という事があったのではないでしょうか。
そんな悩みに少しでも力になれたらと思います。
題字・イラスト・執筆/埼玉県公立小・中学校教諭 坂齊諒一
連載【いちばん楽しいアート】#04
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「誰の目も気にせず、見て感じたままを自由に書く」これが鑑賞の全てだと考えています。しかし、「自由に書く」という事が時に不自由になってしまうこともあります。例えば「5分間、自由に話してください」と言われても何を話していいか分からず戸惑ってしまいます。「『水彩画』について5分間話してください」と言われれば、自分にとって難しい内容であれど話すことがはっきりして取り組みやすいでしょう。これと同じように、自由に鑑賞すればいいのですが、その中にもある程度の方法や指針が必要です。以下のような授業展開を提案します。
目次
1 鑑賞とは何かを説明する
この説明をせずに、鑑賞しましょうと書かせ始めてしまうとすごかった、こんな風に書きたいと思ったというような「感想」や、ここが綺麗に描けている、色使いが統一されているというような「技術評価」の内容になってしまうことが多いです。鑑賞とは「誰の目も気にせず、見て感じたままを自由に書く」ものであると明言しましょう。正解はなく、作者がどのように考えて描いたのか、または作ったのかを求めるものでもありません。あなたの今までの生活経験を通して作品を見たときに、「あなたが何を感じたのか」を知りたいという事を説明します。
2 鑑賞する時の視点
鑑賞とは何かを説明しても、実際何をどのように書けばいいのか分からないことが多いです。そのため、描きやすくなるような視点を与える必要があります。この視点を使うか使わないかは個人の自由です。
【その作品が何を表そうとしているのかを考える】
作者がどのような想い、考え方、事象、現象、社会、時事などを表そうとしているのかを考える方法です。「この部分は友達と遊んで楽しんでいる気持ちを表しているように見える」「この色からは楽しい印象を受けるから、きっとこの絵も楽しい気持ちを表しているのかもしれない」など、自分の生活経験を通してその作品を見ると、自分の感じたことを言語化しやすくなります。
【その作品の中に入って周りを見渡してみる】
絵であれば描かれた絵の中に自分がいるとして、周りに何があるか、どんな雰囲気か、温度、匂い、空気、人、明暗などを想像してみます。立体作品であれば、どんな場所に飾られていそうか、飾りたいか、この作品の隣にはどんな作品がありそうか、この作品からどんな世界が生まれそうかなどを想像してみます。その中で感じたこと、見たものを書く方法です。