Let’s do 回転寿司 talking ! 【全国優秀教師にインタビュー! コレが私の授業づくり! 第17回】

連載
全国優秀教師にインタビュー! コレが私の授業づくり!

前回は、中学生の英語力で毎年、全国トップの成果を示し続けているさいたま市の小学校英語専科教員である、さいたま市立与野八幡小学校の針谷亜衣教諭がALTのジョセフ先生と行った5年生の授業の前半を紹介していきました。今回はその授業のメインの活動となる後半の様子を紹介していきます。

埼玉県公立小学校・針谷亜衣教諭

Sushiがグルグル回りながら1回ずつ異なる相手とpresentationし合う

前半でジョセフ先生の後に続いて語句や文型の確認をし終えた子供たち。ここから、いよいよメインの学習活動に入っていきます。

:OK, so let’s do 回転寿司 talking!
全員:Yeah!(拍手)

教室に6列ある机の縦列を、それぞれ Sushi(移動する列)Customer(移動しない列)と交互に差し示す針谷教諭。ちなみに、この ”回転寿司 talking” は子供たちも周知の方法で、隣り同士の Sushi と Customer が互いに1回ずつ自分の presentation をしたら、Sushi が1席ずつ後方へと移動し、最後尾の Sushi は最前列へと移動。Sushi がグルグル回りながら1回ずつ異なる相手と presentation し合うというものです。

:So…(拍手2回)…eyes on me.
全員:(拍手2回)Eyes on you!
:Do you know topping. Like chocolate sauce, nuts, sugar…. What is sushi topping?
:醤油!
:Yes. 醤油 Soy sauce.(楽しげにリアクションする針谷教諭)
:わさび!
:Wasabi. Nice.
:ガリ!
:ガリ Ginger. Yes. We have a lot of topping.
  But, today I have special topping. What’s this?(カードを示す針谷教諭)
8・9: Reaction.
:Yes. Reaction.(黒板にReactionと書かれたカードを貼る)

同様にカードを示して子供たちに聞きながら、Advice. More gesture. No stopping.

No looking. No coaching. Plus one (one more sentence). のトッピング(これからの学習に付加する課題)を黒板に貼っていきます。

授業風景1
対話の練習をする際に、気を付けたいポイント(トッピング)を示す針谷教諭。

:Ai先生 going to talk one, two, three, three sentences.
  But, plus one. You add one more sentence. Like…(4つ話してみせる)
  One more sentence. You can try.
  Now we can choose topping. So first one is “reaction”.

(実際に話してみせてから、子供たちにリアクションを求める針谷先生)

10:Oh, I see.
:Oh, I see. Nice reaction!

(同様に子供たちから、Nice. Good. Me too. Oh no! などの多様なリアクションの言葉を引き出していく針谷教諭)

:So first time, rock, scissors, paper, one two three.
  If you win, yeah! You go first. After that, switch. OK?

(さらに英語で3分間、隣同士で互いに伝え合うことを説明し、タイマーをスタートさせる針谷教諭。子供たちはワークシートを見たり、一部の子は何とか見ないようにしたりしながら、自分の放課後の生活を伝え合っていく。その間、ジョセフ先生は1人、人数が足りない子供の列に入って対話練習に加わり、針谷教諭は子供の対話を見とりながらリアクションを評価したり、発音や表現の支援をしたりしていった)やがて3分のタイマーが鳴り…。

授業風景2
リアクションを意識し、良い笑顔で頷きながら相手の話を聞く子供。

:Thank you! (拍手2回)Eyes on me.
全員:(拍手2回)Eyes on you.
:OK. Reaction できたよと言う人?(自己評価の挙手を求める)
  OK. So-so. Thank you. Now let’s…more topping.
11:Advice!
:OK. Advice. Let’s do “reaction” and “advice”. What is advice?
12:もっと速く!(針谷教諭が評価し繰り返す)
13:はっきり言う。(針谷教諭が評価し繰り返す)
14:ジェスチャーを!(針谷教諭が評価し繰り返す)
:Japanese OK! After your friend‘s presentation finished, give your advice.
  それから、さっき見ていたら3分経たないうちに終わっているペアがいたんだよね。
  終わっちゃったら、どうしたらいい?
15:アドバイスする。
16:分かんないところを聞く。
17:もう1回やる。
:そうだね。3分を無駄にしないで、より良くする工夫をしよう。OK?
全員:OK.

授業風景3
ラウンドが終わったところで、トッピングを意識してできたか自己評価を聞く針谷教諭。

:So sushi, stand up! Move. (スシ列の子供たちが1席ずつ移動していく)
:OK. Round 2.  Ready go! (タイマーを始動)

(先ほどと同様に、隣同士でプレゼンテーションをしながら、「もっとスムーズに」とか「もっとリアクションしよう」とアドバイスをし合っていく子供たち。3分経ち、ラウンド2終了。子供から意見を受けて、次はジェスチャーを加えることになり、ラウンド3はリアクションとアドバイス、ジェスチャーに気を付けながら対話することを確認。再度、スシ列が移動)

練習開始当初は比較的落ち着いた雰囲気で対話していた子供たちですが、繰り返し練習するうちに、自分で考えた表現を覚えて自信が付いたり、ジェスチャーを入れて話ができたりするようになり、聞く側もリアクションを入れたりすることで、教室全体に響く子供たちの声量も非常に大きくなっていきます。

その様子を見て、針谷教諭はラウンド4以降、練習時間を2分に短縮し、新たな topping を No looking. Plus one. No stopping. と加え、スシ列が移動しながら練習を繰り返していきます。

授業風景4
ラウンドを繰り返し、相手を変えて伝えていくうちにメモを見なくても話せるようになっていく子供たち。

「自分のことをもっとよく知ってもらうために〜」プラス1

:OK.(2回拍手)Eyes on me.
全員:(2回拍手)Eyes on you.

そこから各トッピングができたかどうか、項目ごとに自己評価を挙手で確認。

:OK. Good Job!(拍手)Sushi(列), go back to your seat.

(針谷教諭が、今日の単元のページを開くように言うと、指示がなくても、単元のシートにふり返りを書き始める子供たち)

授業風景5
針谷教諭の指示がなくても、各自、今日の学習のふり返りを書いていく。

: 今日のめあては「より良い発表にするために、ジェスチャーや内容を工夫して練習しよう」です。明日はプレゼンテーションなので、今日はたくさん練習しました。ジェスチャーとか伝えたい内容を「こんなふうに言ったら伝わるかな」と工夫して練習できましたか? 今回、寿司トッピング制度を取り入れてみたんだけど、どうだった? ただ回転寿司で(相手を変えながら)やるんじゃなくて、「こんなところを意識してほしいな」というところを、ジョセフ先生と2人で相談して、トッピングを作ってやってみたんだけどどう? 意識してできましたか?(数名がふり返りを書きながら反応)
特にプラス1が今日できたよって人、もう1度手を挙げてみてくれますか?(パラパラと手が挙がる) 先生は、これがとっても大事だと思います。先生が決めた通りにやるんじゃなくて、自分で「もっとこの文を入れたほうが自分のことがより伝わるかな」と、工夫してやったことだからね。(単元の)めあてにもある、「自分のことをもっとよく知ってもらうために〜」を考えて、工夫した結果だから、プラス1はすごく大事。
ところでみんな、これ「プラス1〜」だったことに気付いた?
18:何個も!
:そう。1個じゃなくてもいい。できる人は2個入れてもいい、3個入れてもいい。そうやって自分で表現の幅や表現の量を増やしていけると、より分かりやすい内容で、より相手に伝わるようになるね。ですから、これからプレゼンテーションをやるときは、「プラス1〜」を意識してやってほしいなと思います。
(ここで、何人かの子供たちに挙手を求め、ふり返りの発表をさせます)
19:友達にアドバイスをもらったことを、次のときに生かしていきたいです。
:すごくいいことだねC19さん。もらったアドバイスを生かそうね。
20:友達と練習するときにトッピングを付けることで、より良い練習ができました。
:ちゃんと意識してできたってことだね。Thank you!
J:Don’t be nervous. If you can’t……(大丈夫だと英語で優しく伝えるジョセフ先生)
  My group was very very good! I’m excited for tomorrow.
:OK. じゃあみんな明日緊張しないように、たくさん練習してきてください。
  Stand up! OK.せーの!
全員:See you next study!

今回は、さいたま市立与野八幡小学校の英語専科、針谷教諭の授業の後半を紹介しました。次回は、針谷教諭の授業づくり・単元づくりの考え方について紹介していきます。

本時の板書
この日の授業での、針谷教諭の板書。

【全国優秀教師にインタビュー! コレが私の授業づくり!】次回は8月9日公開予定です。

執筆/教育ジャーナリスト・矢ノ浦勝之

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