【相談募集中】子供の怒りを抑えるためにできることはある?
イライラすると物や人にあたってしまう子供への対応をどうすればいいか悩んでいる先生から、「みん教相談室」へ相談が寄せられました。ここでは、長年小学校教師を務めたのち、アンガーマネジメントコンサルタント®に転身した川上淳子さんの回答をお届けします。
目次
Q.怒りの感情を物や人にぶつけてしまう子供への対応がわかりません
イライラすると怒りを物や人にぶつけてしまう子供がいるのですが、どうやって対応すれば良いのか、子供の怒りを抑えられるようになるためにどんなことができるのかわからないです。
(ありんこ先生・20代女性)
A.怒りの過剰なアピールは子供からのSOSかも。子供を変えようとするのではなく、その言動に隠されている状況や本音を知ることが大切です
児童の怒りへの指導がわからないと正直に開示してくださったありんこ先生。ありがとうございます。在職時、私も同じように悩んでいました。アンガーマネジメントをもとにお話をいたします。
アンガーマネジメントは、怒る必要があることは上手に怒れ、怒る必要がないことは怒らないようになることをめざしています。怒っていいんです。ただ、上手に怒るというのは、人を傷つけない・自分を傷つけない・モノを壊さないという3つのルールを守って怒ることです。
物や人にあたるという怒りの言動を繰り返している生徒(以下Aさん)は、上手な怒り方が身についていません。怒りを抑えるための指導をしても反発されることでしょう。Aさんが抱えているのは、周囲に理解されてこなかった寂しさや悲しさではないかと思います。
ありんこ先生には、Aさんの言動に隠されている状況や本音にふれられるようになってほしいと思います。そこで、「サクセスログ」というアンガーマネジメントのテクニックを紹介します。
朝目覚めた、出勤した、生徒と挨拶を交わしたなど、毎日当たり前のようにしている生活や仕事も、実は小さな成功体験に満ちあふれていると捉え、それを記録していくのです。
先生が自分に対して小さなOKを出し続け、自信をつけることで、やがて生徒にもOKを出せるようになります。
遅刻せずに登校できた、友人と目を合わせて話していたなど、問題行動を起こしがちなAさんも、いくつもの成功を重ねていることに目を向けられるようになります。Aさんが家庭環境や人間関係の悩みを言葉にするまでの時間は、そうかからないことでしょう。
教師が視点を変えることで、生徒の変容が生まれてきます。教室でアンガーマネジメントの実践を重ねてきた経験から、やる気に満ちていく「サクセスログ」に取り組むことをお勧めします。
引用文献 『教師のためのケース別アンガーマネジメント』P.68-P.69川上淳子著(小学館)
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。