卒業文集での、クラスのページづくり3つの工夫【卒業文集の指導⑥】

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松下隼司の笑って!!エヴリディ
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卒業特集ー6担初心者もこれで安心!ー 

大阪府公立小学校教諭

松下隼司

業文集には、子ども一人一人の作文だけでなく、クラスのページのコーナーがあります。「将来の夢」「好きな○○ランキング」などなど、いろいろなテーマごとに、クラスの子ども全員分が寄せ書きをします。クラスみんなの個性が詰まった卒業文集のクラスのページづくりは、時間がかかるもの。そこで今回は、できるだけミスは最小限に、締め切りに間に合うように、完成度の高いクラスページを作るための3つの工夫を紹介します!

【連載】松下隼司の笑って!!エヴリディ

(1)担当者の作業内容と作業時間を事前に伝えておく

卒業文集のクラスのページは、ページごとにテーマがあります。テーマが違うということは、ページごとに担当者が必要になるということです。

例えば、『自分を漢字一文字で表すなら?』というページの担当者になったら、次の作業があります。

  1. ページのレイアウト案を書く。(タイトルの大きさや、クラスメイト一人一人のスペースを考える)
  2. 一人一人に『自分を漢字一文字で表すなら?』について書いてもらう紙(アンケート用紙)を作る。アンケート用紙ができたら、担任が人数分、印刷する。
  3. アンケートについてクラスメイトに説明し、書いてもらう。
  4. 回収したアンケート用紙に記名漏れや誤字脱字がないかなどをチェックする。
  5. クラスのページの台紙に、アンケート用紙を貼り合わせていく。
  6. 余白が生じたら、埋草(イラスト等)を配置するなどして全体を整える。

これらの作業時間の全てを、授業時間に確保することは難しいかもしれません。

上の1~6の作業のうち、3以外は担当者の作業であり、クラスメイト全員でできないからです。授業時間中に担当者がクラスのページづくりをしている間、他のクラスメイトは別の活動をすることになります。だからどうしても、休み時間や放課後などの隙間時間に作業することが出てきます。

クラスのページづくり担当者の立候補を募る際は、上記1~6のような作業内容と、休み時間等にも作業する場合があるということを事前に伝えることをおすすめします。

作業内容と作業時間を伝えないで立候補を募ってしまうと、勢いだけで立候補する子どもが出るかもしれません。勢い、意欲、積極性はもちろん大切ですが、最後まで責任をもって取り組むことも、同じように大切です。

だから、事前に作業内容と作業時間について伝えておく必要があります。教師から何も事情を知らされないまま担当者になって、叱られるのでは、子どもがかわいそうです。

(2)「編集長」と呼び、「名簿」を渡す

「担当者」と聞くと事務的なイメージが強く、面白味を感じない子どもがいるかもしれません。

そこで、「担当者」ではなく、「編集長」や「編集担当」という呼び名にします。

なんだか響きの格好いい「編集長」と聞いたら、子どものテンションが上がること間違いなし!

役職、地位を感じるような呼び名にすると、大人感が増します。呼び名を少し工夫するだけで、立候補者も倍増すること請け合いですよ♪

そうは言っても、クラスの実態によっては、候補者が足らないことがあるかもしれません。「自分には無理」「やりたくない」と、最初から人任せにするのは、とてももったいないことですよね。やってみたら、思ったより楽しい! と感じるかもしれないのに。

そこで、

「自分だったら、どのページ(テーマ)を担当してみたいですか?」

と聞いてから、立候補を募るようにします。一人一人が、クラスのページづくりに関わるのだということを意識できるようにするためです。

その上で、立候補した子どもたち同士で話し合って、担当者を決めてもらいます。その話合いには、教師も入ります。

テーマ(ページ)ごとに担当者(編集長)が決まったら、渡しておく物があります。それは、「学級名簿」です。

クラスメイト全員にテーマに沿ったアンケートを書いてもらって回収したら、誰が出して、誰が出していないかをチェックする必要があります。

学級名簿を担当者(編集長)になった子どもに渡すと、すごく嬉しそうな表情をしてくれますよ♪ 仕事をしている感じ、特別感があるのだと思います。

(3)完成するまでの保管法は「壁に掲示」

クラスのページづくりでは、期日に間に合わなかったり、担当者(編集長)が仕上げて出来上がったはずのものにミスが発覚したり……、という苦い経験もあります。

原因は、担当者(編集長)の子どもではありません。私も、小まめに進行具合をチェックし、内容も確認していました。

仕上がりが遅れているページの担当者(編集長)には、

「もう少し頑張って!」
「間に合わないよ!」
「テストが早く終わって、時間が空いたら、その時間に書いて」

など、声をかけていましたが、やはりなかなか作業に取り組もうとしない子はいるものです。

そこで、ある工夫を思い付き、実行したところ、効果てきめんでした!

その工夫とは、A3サイズのかごに入れて保管していたクラスのページの保管場所を、黒板に掲示するように変えたことです。

黒板にはりつけた、子どもたちの文集のページ
この写真は、教室前面の黒板です(学期末であまり授業で板書しなくなったため)。教室後方や廊下の黒板でも構いません。付け外しがしやすいよう、画鋲でなくマグネットを使用しています。

掲示する前は、担当者(編集長)が作業の度に、かごから自分の担当の台紙を出し入れしていたわけですが、黒板に掲示してあることで、進行具合がいつでも一目で分かるようになりました。また、他のページ(テーマ)の進行具合や完成度の比較も確認しやすくなりました。

自分が担当のページの進行が遅かったり、完成度が低かったりすれば、やばい! といやでも意識することになります。私が逐一、声掛けをしなくても、自主的に作業に取り掛かるようになりました♪

さらに、掲示してあることで、担当者(編集長)以外の子どもたちも見るようになります。そのおかげで、掲載漏れしている子どもの有無や誤字脱字など、より多くの人の目で内容を確認できるようになりました。


クラスのページづくりは、ページごとの担当者(編集長)だけでなく、複数人のスタッフ(お助け隊)とともに取り組みます。

1人だけで取り組むと、責任を重く感じすぎる子どももいます。何より、複数人で取り組んだほうが楽しく取り組めますよね♪

ジャンケンで負けるなどして担当者(編集長)になれなかった子がいた場合も、スタッフとしてクラスのページづくりに関われるので、嬉しく感じるかと思います。


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松下隼司先生

松下隼司(まつした じゅんじ)
大阪府公立小学校教諭。第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクールで文部科学大臣賞、第69回(2020年度)読売教育賞 健康・体力づくり部門で優秀賞を受賞。さらに、日本最古の神社である大神神社短歌祭で額田王賞、プレゼンアワード2020で優秀賞を受賞するなど、様々なジャンルでの受賞歴がある。小劇場を中心に10年間の演劇活動をしていた経験も。著書に、『むずかしい学級の空気をかえる 楽級経営』(東洋館出版社)絵本『ぼく、わたしのトリセツ』(アメージング出版)絵本『せんせいって』(みらいパブリッシング)がある。

イラスト/したらみ

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