小学校の国語授業づくりに役立つ6つのアイディアまとめ
授業の準備にかけられる時間が足りない…というのは、多くの小学校教師の悩みのタネ。「先生のための教育辞典 EDUPEDIA」は、学習指導案をはじめとして、忙しい先生たちの日々の授業づくりに役立つ情報満載の教育実践共有サービスです。ここでは、「ごんぎつね」の発問例や「大造じいさんとガン」の指導案、またゲーム感覚で授業を活性化できるミニクイズなど、国語授業のオススメ実践をまとめました。
目次
4年生「ごんぎつね」の発問例
「どうして山の中に住んでいるのかな」
「ごんぎつね」の発問例-EDUPEDIA(エデュペディア)より引用
ごんの境遇を想像するのに適した発問だと思います。いたずらばかりしていて、村の人たちとの関係が良くなかったこと、ひとりぼっちで狭い穴で暮らしているごんに想いを馳せることが、その後に描かれる三日の雨降りがどれだけたいくつであったかにもつながりますし、さらに、だんだんと兵十に惹かれていくごんの気持ちにつながっていきます。
4年生国語授業教材の大定番「ごんぎつね」の発問例についての記事です。国語授業の限られた時間の中で、子供たちに投げかけると面白い流れが生まれてきそうな発問例が多数紹介されています。「ごんが兵十にしたことは花丸ですか、二重丸ですか、丸ですか、三角ですか、×ですか、大×ですか?」の問いでは、「僕は◎だと思います、その理由は~だからです。」と、形を決めて発言させるようにすれば理由を付けて発言をする勉強にもなる、などの工夫も紹介されており、国語授業におけるヒントがちりばめられています。
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4年生国語「ごんぎつね」の指導計画です。叙述を根拠に話し合うことで、作品に対する理解を深めることができるようにします。また、読後の感想をまとめ、話し合うことで、一人ひとりの感じ方に違いがあることに気付き、それを交流する楽しさにも気付かせていきます。
6年生「カレーライス」の登場人物にアドバイス
「みなそれぞれに「子供度」「大人度」が違うし、みなそれぞれに性格も違いますので、ひろし君に共感できる場面もできない場面もあると思いますが、今回は物語の視点、つまり「ひろし君の一人称」からぐっと離れて、みなさんは神様の視点に立って登場人物にアドバイスをしてあげましょう。」
神様になって「カレーライス」(重松清)の登場人物にアドバイスを送る-EDUPEDIA(エデュペディア)より引用
① おふざけにならないように
② 誰かの味方になる必要はありません
③ 神様なんだから、ソフトな語り口でね
と、あまり無茶な神様のアドバイスにならないように釘を刺しておきましょう。
重松清が6年の国語授業のために書き下ろした作品「カレーライス」。子供たちと同じ6年生「ひろし」の1人称で語られる物語を、「神様」の視点で捉え、登場人物たちにアドバイスをするというユニークな国語授業の取り組みが紹介されています。「〇〇の神、どうぞ」などと子供を指名したりしながら進める国語授業、盛り上がりそうですね。
5年生「大造じいさんとガン」の感動を読む
・感動の背景は?(今までの大造じいさんの行動や考え方)
「大造じいさんとガン」 国語・授業案 ~大造じいさんの感動を読む~-EDUPEDIA(エデュペディア)より引用
①自分の卑怯な考え方
「うなぎ釣り針、タニシ、おとり」=油断させる、騙す、卑怯
②残雪やガンを軽く見ていた
「たかが鳥、思わず感嘆の声をもらす」=劣等、軽視…人間の驕り、傲慢さ
5年対象の物語文「大造じいさんとガン」の国語授業案です。学習活動の流れと留意点が細かくまとめられています。「読むこと」の評価規準として、優れた叙述・注目する言葉・大造じいさんの変化のきっかけは?・感じたこと(感動の中身)などの例が具体的に示されているので、国語授業の中で読む力を育成する手立ての参考となるでしょう。
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【構造的板書】 国語「大造じいさんとガン」「注文の多い料理店」
スッキリした分かりやすい構成で、子どもたちに伝わりやすい板書の書き方を目指す本シリーズ。今回は、小五国語の「大造じいさんとガン」「注文の多い料理店」をテーマに、時系列を整理する表や構造を視覚化するベン図を使って、全体像を理解したり分類・比較しやすくするための構造的板書について解説します。
2年生「どうぶつ園のじゅうい」を自分の知識や経験と結び付けて読む
本教材は、獣医さんが「する仕事」「そうする理由」を対応させて読むことが目標になる教材だと考えられます。これは「主張と根拠」「事実と意見」「感想と理由」など、文章には役割があることを知る学習にも繋がるものだと言えます。
「どうぶつ園のじゅうい」国語・説明文 授業案~自分の知識や経験と結び付けて読もう~-EDUPEDIA(エデュペディア)より引用
2年対象の説明文「どうぶつ園のじゅうい」の教材研究資料・国語授業案の記事です。各段落の内容について「いつ」「仕事」「仕事をする理由」「仕事の工夫」「接続詞・指示語」などのまとめや、全7時間の授業案が細かく示されているので、明日の国語授業にすぐ役立てることができます。ワークシートのダウンロードもできますよ。
3年生「モチモチの木」で人の多面性を探る
児童は今回の学習で、単に人の優しさや勇気の素晴らしさを感じるのではなく、人の持つ弱さや強さ、複雑な思いなどを自分なりに解釈し、自分と関係づけながら物語を読む。
「モチモチの木」国語・物語文・授業案~人の多面性を探る~-EDUPEDIA(エデュペディア)より引用
そこから、
「なんで同じ人なのに、違う時があるんだろう」(場所が変わると、人が変わったようになる子)(いつもは元気いっぱいな子がおとなしいと気になる)
「人の中には、臆病や勇気の他にどんな気持ちが混ざっていることがあるだろう」
といった疑問を出しあい、人間について考えを深めていく。
そうしたやり取りの中から、「人の多面性を探ろう」という新たな課題が生まれる。
3年対象の物語文「モチモチの木」の国語授業案の紹介です。「これからの資質・能力」を意識して構成された国語授業案となっています。「豆太に聞いた!雪道で流した涙の意味は…!?」「じさまが語る!豆太はどんな子!?」などといった見出しを自分で考えると楽しく取り組める、といった提案や、主人公の「豆太」と「ドラえもん」の「のび太」の似ている点について考える、といった国語授業のアイディアも紹介されています。
【番外編】教材を使った「一問一答式クイズ」
「授業は一問一答式になってしまってはいけない」というのは、大原則です。一人ひとりが深く考え、子供同士が意見を交換し、お互いの意見を尊重しながら検討して授業は深まっていきます。多様な意見、深い考えを引き出すことができる「発問」を用意することが必要です。
だからと言って、簡単な一問一答式を全くしてはいけないというわけではありません。単元の最初の段階、場面の最初の段階、復習の段階などで、一問一答式で子供たちの頭の中をざっと整理するのは効果があります。簡単な質問で、たくさんの子供に発言させることができるのも良い点の一つです。授業の始めや終りの5分ぐらいでやってみてはいかがでしょうか。
一問一答式クイズの留意点-EDUPEDIA(エデュペディア)より引用
国語授業では、様々な意見や深い考えを引き出すことができる発問が大切なのは言うまでもないことですが、テンポよくたくさんの子供を指名できるクイズ形式をうまく取り入れて、授業を活性化させるのも一案です。上でご紹介した「どうぶつ園のじゅうい」や「大造じいさんとガン」のクイズのほか、「スイミー」「お手紙」「白いぼうし」など、おなじみの国語授業教材のミニクイズがたくさん紹介されていますよ。
EDUPEDIA とは…
「みんなでつくる教育WEB事典」のコンセプトを掲げ、NPO法人日本教育再興連盟(ROJE)が運営している教育実践共有サービス。全国の小中学校から集まった学習指導案などの優良教育実践を1,300件以上紹介している。教員、社会人、学生、主婦などの無償ボランティアスタッフにより運営されている。
このまとめでご紹介している国語授業案の記事の他にも、各教科たくさんの授業実践が掲載されています。ぜひご活用ください。詳しくはこちらから。
まとめ/「みんなの教育技術」編集部