【子供たちでつくる 卒業までのカウントダウン】卒業に向けて夢と希望をもとう
6年生は、自主的・主体的に行動できる学年です。その力を教育活動の様々な場面で発揮し、「自分たちの力で成功させた!」「やればできる!」という達成感を得てほしいですね。子供の思いを大切にしながら、卒業に向けて準備をしていきましょう。
監修/尚絅大学教授・平野 修
執筆/熊本県公立小学校教諭・杉本朗
目次
1.年間の取組を振り返る
4月からこれまで、子供たちは卒業を意識しながら様々な取組を行ってきたことと思います。
それらの取組を思い出すことで、自分たちが最高学年として取り組んできたこと、下級生に対する思いなどを想起するようにします。また、いっしょに活動した友達や学校に対する感謝の気持ちをもち、卒業まで残り3か月で何をしていけばよいのかを考えるようにしていきましょう。
〈年間スケジュールの例〉
卒業に向けての取組では、学年で同じ方向性で取り組むことが大切です。そのためには、週に1回程度の学年会を開き、教職員間での共通理解を図ることも大切です。例えば、授業の進度や子供たちの様子、卒業へ向けての実行委員会の役割分担・進捗状況などについて話し合います。また、学年会のときだけでなく、日頃から廊下で会った際には、卒業へ向けての取組状況などを気軽に話し合える職員間の雰囲気があるとうれしいですね。
2.年度当初の目標を想起する
子供たちは、4月当初の学級活動の時間で、最高学年としての理想の姿といった目標立てを行っていると思います。卒業が間近に迫ったこの時期には、4月に自分がどのような姿を目指していたのかを再度認識させることが大事になります。キャリアパスポートなどを活用し、これまでの活動などを通して自分の理想としている姿にどれくらい近付けたのか、また、残りの期間で、自分がやるべきことにはどのようなことがあるのかを考えることが大切です。さらには、学級目標についても振り返り、評価を行い、学級集団としては、どのようなことを行っていけばよいのかを考える機会としていきたいです。
この時期、そのときの思いや姿を想起してみてはいかがでしょう。
3.卒業に向けての取組
①学年で思い出をつくろう!
各学期に様々な集会に取り組んできたと思います。卒業前の最後の集会は、早めに計画し、子供たち自身の手でつくり上げるものにしたいですね。目的を共有し、どんな集会にするかを話し合いましょう。
みんなはどんな集会をしたいの?
みんなで学校⾏事や授業をがんばってきたので、そのことを喜び合いたいです。
「みんな」とは誰のこと?
ずっとクラスでやってきたので、最後は学年みんなでやってみたい。
このような子供の発言が出てきたらチャンスです。「みんな(6年生)でがんばったから」という言葉が提案理由となり、学級会で話し合うことができます。話し合う小柱は「何をするか」と「どのような工夫をするか」の2つです。
②1年生と思い出をつくろう!
6年生は最高学年として、委員会活動やクラブ活動、学校行事の準備などで大忙しです。休み時間を使ってでも、学校のためになろうと行動する子供もいます。
入学式のときから、お世話活動をしてきた1年生と最後に交流したいという意見が上がるのではないでしょうか。そこで、最後に1年生との交流会の計画を立てる学級会をします。子供たちは、1年生のために何ができるかを一生懸命考えると思います。
そして、学級での計画・実践で終わってしまうのではなく、「学年学級会」として取り組むことを提案します。
こうすることで、6年生全員と1年生全員で交流することができます。1年生は大好きな6年生と遊ぶことができ、6年生はお世話活動をがんばってきた1年生と遊ぶことができ、最高学年としての喜びが得られるのです。
③呼びかけを自分たちの言葉で!
卒業式に行う呼びかけ。学校によって、様々な呼びかけの方法があると思います。呼びかけは、6年間の学校生活の中で積み重ねてきた気持ちを声に出して、自分たちの成長を感じる最後の授業とも言えます。そのためには、子供の言葉で呼びかけを構成したいですね。
そのときに味わった感動や苦労、喜びなどをすぐ記録していく工夫をするとよいでしょう。ここでは、「呼びかけの木」を紹介します。
④学校のリーダーを次の世代に!
6年生が卒業する際に、学校を引っ張っていく役割を5年生に受け渡すことが大切になります。6年生は「学校生活で最高学年として担ってきたリーダーのバトンを渡す」、そして、5年生にとっては「いよいよ自分たちの番だという意識が高まる」機会になります。
⑤委員会を次の世代に!
1年ごとに所属する委員会を変えて2つの委員会を経験する学校、2年続けて同じ委員会に所属してもよいとする学校など、取り組み方に違いはあると思います。どちらにしても6年生から5年生への引き継ぎは大切です。
そのために、6年生が委員会の活動内容や委員会に対する思いなどについてタブレットで動画を撮影します。その動画を次年度に各委員会で視聴することで、よりよい委員会活動ができるようになります。
⑥感謝の気持ちを伝えよう!
小学校生活6年間は、様々な人の支えがあってこそ過ごすことができたのです。ここでは、感謝の気持ちを伝える方法を紹介します。
〈誰に伝えるか〉
・おうちの⽅
・お世話になった先⽣
・在校⽣
・地域の⽅ など
〈伝える⽅法〉
・画⽤紙に⼿紙を書いたり、⾶び出す仕かけをつくったりする。
・タブレットで動画を撮影し、⾒てもらう。
・お別れの会で発表する。
・⼿紙を電⼦ファイルに保存し、アクセスするための⼆次元コードを回覧板に⼊れる。
・学習発表会や⾳楽発表会に招待する。 など
⑦思い出のもので卒業式の場づくりを!
6年生は、修学旅行や運動会などの学校行事が最後になるので、思い出としては印象に残りやすくなります。思い出のものを卒業式の場づくりに活用できます。
例えば、運動会の表現で使ったフラッグ。卒業式でどうにか使えないかを考えました。
4.終わりに
このように、子供が主体となり、卒業を迎えることができれば、「6年間がんばってきてよかった」や「この学校を卒業したことが誇りだ」などの前向きな気持ちになるでしょう。そして、中学校生活を前向きな気持ちで迎えられるようになります。
卒業まで、子供たちの意欲を高め続けていきましょう。
構成/浅原孝子 イラスト/畠山きょうこ