小学6年国語『海の命』生徒の深い学びを促す工夫と仕掛け

凄腕実践者・松山康成先生が、「子供自身のリフレクション」により深い学びが生まれる条件について考察。さらに、6年国語『海の命』の授業実践例の中で、実際に機能させるための様々な工夫や仕掛けを具体的に提案します。

執筆/大阪府公立小学校・松山康成

1987年大阪府生まれ。2009年から教職。子供と教師にとって過ごしやすい、温かな学級・学校をつくるため、理論と実践の往還を大切にしている。共著に『いじめに強いクラスづくり 予防と治療マニュアル小学校編』『授業をアクティブにする!365日の工夫 小学5年』(ともに明治図書)等。

国語授業風景
撮影/大庭正美

リフレクションを促す6つのステップ

リフレクション(reflection)とは、「反省」「内省」「再考」「影響」などの意味があります。ここでは、リフレクションを「再考」と考えて論考を進めたいと思います。

私は、国語科における物語文の一場面の授業において、子供の学びの過程を次の6つのステップに分けています。

  1. 音読を通して物語文を自らに響かせる。
  2. 物語文に対する考えを持ち、まとめる。
  3. 考えを小集団交流で共有する。
  4. 小集団交流を踏まえてリフレクションし、全体交流をする。
  5. 全体交流を通して自らの考えをリフレクションする。
  6. リフレクションを踏まえて再度発表する。

これは、物語の一場面についての学習ステップです。このようなスモールステップを設定することによって、自らの考えを持ちつつ、主体的に他者と対話する子供の姿の実現を目指すことができます。

このステップに加えて、授業全体を通して、学習前と学習後の考えの違いについてもリフレクションさせます。つまり、場面ごとに三度リフレクションさせ、同時に物語文全体のリフレクションも行っていくのです。

このステップを授業で機能させ、子供の学びのルーティンとして定着させていきます。この定着の過程が授業づくりにおいて教師の楽しみでもあり、難しい部分でもあります。卒業が近づく子供たちに、物語の「仲間との学び方」を提案したいと考えています。

本稿では、6年三学期に取り組む『海の命』を通して、子供たちの豊かなリフレクションが実現する授業について考えてみたいと思います。

国語科『海の命』におけるリフレクションを促す授業準備

『海の命』は、多くの教科書で小学校国語科における最後の物語文として設定されています。『海の命』の授業法に関する多くの書籍が出版されているように、授業法も多様で、方法によって子供の読解が大きく変わる物語文です。

私はこれまでの教員生活において、四度、『海の命』に関する授業研究を行ってきました。その過程では、どうすれば考えが深まるのか、どうすれば議論が盛んになるのかと試行錯誤し、子供と私の相互作用から、以下に紹介するツールや方法が生まれました(もちろん先輩先生方のご指導もありました)。

リフレクションを促進する6つのステップを授業で機能させ、それを子供の学びのルーティンとして定着させるためのツールや方法について紹介します。

【1】リフレクションを促すワークブック

イラスト/高橋正輝

『小六教育技術』2018年12月号より

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