漢字カルタで新出漢字を確実にマスター!【先生のための学校】
私はこの30年間、小学校の教師として、漢字学習を指導し、いろいろな方法を工夫してきました。その中で、子供たちがウキウキと楽しみながら、しかも、どの子も驚くほど確実に新出漢字をマスターする方法を見つけました。それが「漢字カルタ」による方法です。
執筆/「先生のための学校」校長・久保齋
くぼ・いつき●1949年、京都府京都市生まれ。京都教育大学教育学部哲学専攻卒業。教育アドバイザー。40年以上にわたり「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会(学力研)」において《読み書き計算》の発達的意義について研究するほか、どの子にも均質で広範な学力をつける一斉授業のあり方を研究・実践し、現在も講演活動を中心に精力的な活動を続けている。
目次
漢字カルタで教室に漢字文化を
名古屋で「先生のための学校」を始めることになったおり、久しぶりに会った先生が開口一番「先生、『漢字カルタ』いいですね。カルタでやると、子供たちが和気あいあいとして、クラスが明るくなりました」、そんなお話をしてくださいました。
私がすすめてもなかなか取り組んでくださらなかったのですが、久しぶりに会ったときにこんな話をしてくださるのは感激です。その先生はベテランらしく、一度試して、それから満を持して、一挙に学年挙げて取り組まれたそうです。
漢字学習というと「書くこと」に重点が置かれがちですが、実は漢字の苦手な子は書く以前に読めないのです。ですから、まず「読むこと」 に全力を傾けます。
先ほど述べたように「読むこと」は「書くこと」に比べて簡単です。子供の脳の《伝家の宝刀》である丸覚えを活用して、漢字カルタを25枚ずつ持たせて、10日間で100字の読みをマスターさせ、自信を付けさせます。丸覚えにはカルタでゲームをするのがいちばんなのです。
漢字カルタは『唱えておぼえる漢字カルタ』(フォーラム・A)を出版していますので、これを使ってください。また、その実践の方法は、子供たちの様子を映したDVDつきの書籍、 『1か月集中実践で子どもを変える! 久保齋の技 BEST7』 (小学館)を参考にしてください。
漢字カルタの進め方
1.ゲームを始める前の準備
国語の時間1時間をとって、子供たちと「漢字カルタ」をつくります。
用意しておいた「漢字カルタ」を配ります。4人班なら1人25 枚ずつ、5人班なら20 枚ずつになるように通し番号をふって、25 枚(20 枚)ワンセットで輪ゴムで止めます。
表面の漢字の横の点は、その漢字の音読み・訓読みの数を表しています。
2.ゲーム前のウォーミングアップ
ゲームを始める前に、必ずウォーミングアップを行います。
ウォーミングアップは、自分の「漢字カルタ」を覚えることです。
読みを言うだけでなく、書き順をつぶやきながら、机の上に指書きして覚えましょう。
3.ゲーム開始!
隣の子供同士で、「カルタ取り」を始めます。
- 隣同士で、覚えたカルタを交換します。
- 先攻・後攻をじゃんけんで決めたら、スタート。
- 交互にカルタの表を出し、カルタの表に表示されている音読み・訓読みの数だけ、全部言います。
- 読みが言えたら、書き順を唱えながら机に指書きします。
- 全部できたら1点とします。
4.ゲーム終了!
ゲームが終わったら、「AくんとBさんの試合結果を発表します。24 対22 でBさんが勝ちました」など、子供たちに順々に凜々しく結果を発表させます。
2人が満点を取ったら、班内でカルタを交換させ、同じゲームを繰り返し、全員が100 枚のカルタを取れるように行います。
久保校長からひと言
ベテランの先生が新しいことを取り入れてくださるのは、とても嬉しいことです。「漢字カルタ」をするにしても、資料を用意し、本を読み、一度自分のクラスで試行し、確信できたら一挙にやる。その過程がベテランらしいなと思いました。「つぶやきドリル」は今すぐに、漢字カルタは夏休みに準備して……。ぜひ、この機会に自分の漢字指導方法に新しい風を吹かしてほしいと思います。教師が変わらなければ、教室に改革の新風は吹きませんので。
「先生のための学校」とは
学力研(学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会)の仲間たちと大阪で10年以上続けてきた活動が、<教師力を磨くために教師が集まって学ぶための学校>です。
どんな初歩的なことでも質問できて、それをなぜそうするのかがしっかり学べて、自分の実践をみんなに聞いてもらえて、みんなでワイワイしゃべれて『教育とは何か』『授業とは何か』という本質的なところまで深められる・・・。
そんな「教師の学ぶ場」をつくろうよ!という呼びかけのもとに始まりました。本記事は、そこで培われた知見を紹介する連載企画です。
久保齋先生の本・・・
『つぶやき漢字ドリル』1年~6年
つぶやき漢字研究会・著 小学館刊 各900円+税
試し読みコチラから 1年/2年/3年/4年/5年/6年
編集協力/カラビナ
『小二教育技術』2018年7/8月号より