不登校児童生徒数約30万人! その学びをいかに保障するか?【連続企画 多様化する選択肢 令和時代の不登校対策 #00】

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近年、増加の一途を辿る不登校児童生徒数。文部科学省が打ち出す「誰一人取り残さない学びの保障」を実現するために、学校と教員にできることは何なのか。識者の提言と各現場の事例から考えていく。

増加の一途を辿る不登校児童生徒数

文部科学省が2023年10月に発表した「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると、小・中学校における不登校児童生徒数は、小学校が10万5,112人、中学校が19万3,936人の合計29万9,048人。前年度から22.1%の増加となり、過去最多の数となった。

不登校の子どもの数はこのところ10年連続で増加しており、小学生は10年前の約5倍、中学生は約2倍に増えている。文部科学省が2020年度に行った「令和2年度不登校児童生徒の実態調査」では、学校に「最初にいきづらいと感じたきっかけ」として、小学校では「先生のこと」「身体の不調」「生活リズムの乱れ」などが、中学校では「身体の不調」「勉強が分からない」「先生のこと」などが上位に挙がっており、それぞれ「きっかけが何か自分でもわからない」という児童生徒も一定の割合で見られる。まさに不登校の要因は子どもによって様々であり、一人一人に寄り添った対応が求められる問題といえる。

●(学校に)最初にいきづらいと感じたきっかけ
【小学校】
29.7%…先生のこと(先生と合わなかった、先生が怖かった、体罰があったなど)
26.5%…身体の不調(学校に行こうとするとおなかが痛くなったなど)
25.7%…生活リズムの乱れ(朝起きられなかったなど)
25.5%…きっかけが何か自分でもわからない
【中学校】
32.6%…身体の不調(学校に行こうとするとおなかが痛くなったなど)
27.6%…勉強が分からない(授業がおもしろくなかった、成績がよくなかった、テストの点がよくなかったなど)
27.5%…先生のこと(先生と合わなかった、先生が怖かった、体罰があったなど)
(中略)
22.9%…きっかけが何か自分でもわからない
 

文部科学省「令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要」

すべての子どもに学びの機会を保障するために

不登校児童生徒の増加傾向を受けて、2016年には「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(教育機会確保法)」が公布。不登校児童生徒が安心して教育を受けられる環境を整えるべく、特別の教育課程を編成できる「不登校特例校」や、学校に通うことができない子どもに居場所を提供する「教育支援センター」の設置推進、教職員と心理・福祉等の専門家による支援の充実、また民間のフリースクールなど学校以外の場における学習機会の確保などが謳われた。

さらに2023年3月には、永岡桂子文部科学大臣のもと「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」が取りまとめられ、不登校となっても学びを継続し、社会で活躍できるようになるための各種施策も発表された。

●「COCOLOプラン」の目指す姿
1.不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思った時に学べる環境を整える
2.心の小さな SOSを見逃さず、「チーム学校」で支援する
3.学校の風土の「見える化」を通して、学校を「みんなが安心して学べる」場所にする
 

文部科学省「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」

約30万人にのぼる不登校児童生徒のうち、約4万6,000人は学校内外の専門機関などで相談・指導を受けられていない状況にあるという。そのような子どもたちを誰一人取り残すことなく、学びの機会を保障するためにどのような取組が必要なのか。公教育、民間教育問わず、教育に携わるすべての人で考えていくべき課題である。

構成・文/葛原武史(カラビナ)

参考資料
文部科学省「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果
文部科学省「令和2年度不登校児童生徒の実態調査
文部科学省「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)

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