小2国語「わたしはおねえさん」京女式板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回の教材は、「わたしはおねえさん」です。この単元の目標は、心に残ったことを選び、自分と比べながら感想を書き、交流することです。そのなかで、本時は「すみれちゃんはどんな人物だろうか」ということを話題にして、話し合いをします。「すみれちゃんが作った歌」の中にその答えがあることに気付かせるような板書の工夫を紹介します。

監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・松下祐子

 
教材名 「わたしはおねえさん」(光村図書)

単元の計画(全10時間)

1 学習の見通しをもつ。
2 登場人物の人物像を捉え、「おねえさん」の言葉の意味を考える。
3・4 「おねえさん」の言葉の意味とつなげて、登場人物の言動を読む。
5・6 登場人物と自分を比べて、登場人物の言動について考える。
7~9 心に残ったことを選び、自分と比べながら感想を書く。
10 感想を交流する。

板書の基本

〇教材「わたしはおねえさん」は、「歌を作るのがすきなすみれちゃんが、また一つ、歌を作りました。こんな歌です。」から始まります。そして、作った歌が続きます。

また、「この歌を歌うたびに、すみれちゃんはそう思います。」の「そう」を話題にすると、「ちょっぴりえらくてやさしくて、がんばる。」「ああ、二年生になってしあわせ。」という言葉が出てきます。このように初めの場面を読むだけで、幸せな気持ちになるお話です。

2年生の子供はおもしろそうと思えば、どんどんお話の先を読んでいきます。そのエネルギーを生かして、初めの場面を丁寧に読ませることが大事であると考えました。その理由は、「けさも、この歌を歌っています。」から始まる「十月の日曜日の、気持ちよく晴れた朝」の出来事は、この歌すべてを含んでいると考えたからです。

〇「初めの場面を丁寧に読む」ことを考えて、板書しました。

すみれちゃんが作った歌を書き写す活動から始まり、全文を音読する活動へとつなげました。そして、「すみれちゃんはどんな人物だろうか」ということを話題にして、話し合いをしました。本時の板書を通して、お話の大体の内容を理解させたいという意図があります。

板書のコツ(2/10時間目前半)

小2国語「わたしはおねえさん」京女式板書の技術 板書
2/10時間目前半の板書

板書のコツ①

日付、題名、作者の名前を板書しました。続いて、「めあて」と板書しました。

ここで、最初の場面を音読し、めあて「すみれちゃんがどんな人ぶつなのかを読もう。」を板書しました。それから、全文を読む活動へとつなげました。その理由は、「すみれちゃんが作った歌」の中に、「どんな人ぶつなのか」の答えがあることに気付かせたかったからです。

板書のコツ②

「すみれちゃん」がどんな人物なのかを考えさせながら、「すみれちゃんが作った歌」を板書しました。板書では、後で話し合ったことを書き込ませるために、1行ずつ空けてノートに書くように指示しました。板書を書くときには、子供たちが書き始めたのを確認してから、書き始めました。そうすることで、子供たちが自分で教科書の言葉を確認しながら書くことができると考えたからです。「わたしはおねえさん」から「一年生の子のおねえさん」までを板書した後、少し時間をおきました。その理由は、「おねえさん」という言葉が繰り返し出てくることに気付かせたかったからです。

板書のコツ(2/10時間目中盤)

小2国語「わたしはおねえさん」京女式板書の技術 板書
2/10時間目中盤の板書

板書のコツ①

繰り返し出てくる「おねえさん」について、思ったことを発表させました。「おねえさんっていいな。」「かりんのおねえさんと思って、えらそうにしている。」などの感想を聞きながら、赤のチョークで「おねえさん」に線を引きました。そして、「やさしい」「元気な」「ちっちゃなかりんの」「一年生の子の」を黄色のチョークで波線を引き、それぞれが本文のどこから分かるかを考えさせました。

板書のコツ②

「やさしいおねえさん」は、コスモスの歌の後にある「そうだ、コスモスにお水をやらなくっちゃ。」から分かるという発表がありました。その発表を基に、「コスモスに水をあげる」と板書しました。「元気なおねえさん」は「歌を歌っている」から元気なことが分かるという発表を基に板書しました。「ちっちゃなかりん」「一年生の子のおねえさん」についても、子供の発表を基に板書しました。

板書のコツ(2/10時間目後半)

小2国語「わたしはおねえさん」京女式板書の技術 板書
2/10時間目後半の板書

板書のコツ①

次に、繰り返し出てくる「おねえさん」の言葉の意味について考えさせました。根拠になるのは、「おねえさんって、ちょっぴりえらくてやさしくて、がんばるもので、ああ、二年生になってしあわせ。」や「えらいおねえさんになって、りっぱなことをしたくなりました。」という文です。おねえさんは、「ちょっぴりえらい」「がんばるもの」「りっぱなことをする」という3つの言葉がポイントです。この言葉の意味が、お話を読み終わった後に、「よく分かった」と思える授業になるように、ここで3つの言葉を板書しました。

板書のコツ②

最後に「二年生になってしあわせ」という言葉を考えさせました。そうすると、がんばっているすみれちゃんの様子を書いている文や文章を見付ける子がいました。それを板書にしたのが、「朝のうちにしゅくだいをする。」「自分から思ってする。」です。初めの場面と全文、初めの場面と次の場面を比べながら、「すみれちゃんがどんな人ぶつなのか」を考えた板書です。

 

構成/浅原孝子

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