小3 国語科「ことわざ・故事成語」全時間の板書&指導アイデア
文部科学省教科調査官の監修のもと、小3 国語科 「ことわざ・故事成語」(光村図書)の全時間の板書、発問、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。
監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/東京都西東京市立田無小学校校長・前田 元
執筆/東京都大田区立田園調布小学校・小木和美
目次
1. 単元で身に付けたい資質・能力
本単元は、長い間使われてきたことわざや故事成語の意味を知り、使うことができるようになることを目指しています。
意味や成り立ち、使い方を調べることを通してその言葉を理解し、自分たちの生活の中であればどのような場面で使うことができるのかを考えます。言葉を使う場面を、自分たちの日常の中に落とし込んで想像することで、ことわざや故事成語がもつ意味と実際の生活場面とを結び付けて理解することを目指します。
また、生きていくうえでの知恵や教えを短い言葉や言い回しで表したことわざや故事成語のよさを感じることで、場面に応じたことわざや故事成語を使おうとする意識を高めて、言語生活の豊かさにもつなげていきます。
2. 単元の評価規準
3. 言語活動とその特徴
本単元で扱うのは、ことわざと故事成語です。
初めにいろはがるたを示し、長い間使われてきたことわざや故事成語への関心をもたせます。
代表的な言葉について知ることに加えて、どのような言葉があるのかを身近な人から聞いて集めることも行います。自分たちが調べたい言葉を選び、意味や成り立ち、使い方について調べ、本にしてまとめます。本にまとめ学校図書館で展示することを目標として取り組むことで、子供たちはことわざや故事成語の伝えたい内容や事柄について考えていくことになります。
ことわざや故事成語は、生きていくうえでの知恵や教えを、ユーモアも込めて表現しているものも多く、言葉の豊かさを楽しみながら学ぶことができるでしょう。
ことわざや故事成語の使い方では、日常生活の中だったらどのような場面になるのかを考えていきます。国語辞典や図書資料の例文を参考にして考えていきます。
使い方を説明する方法として、写真を1枚から4枚撮り、1コマ漫画や4コマ漫画のイメージで、写真に吹き出しや説明を加えて表現します。
グループで撮影することで、話し合いながら言葉の意味の理解を深めていくことができます。
自分たちをモデルとして撮影し、説明を作るので、生活の中で言葉を使う意識も高まります。
4. 指導のアイデア
〈主体的な学び〉 新しい知識の獲得を楽しみ、生活と結び付けて使い方を考える
ことわざについては聞いたことがある児童も多いでしょう。
いろはがるたを示して、低学年の時に遊んだことを思い起こさせるなどして、意味をもつひとまとまりの言い回しなどの存在に気付かせましょう。
故事成語でも、日常使われている「完璧」という言葉は知っていても、実は「璧」という昔の中国の宝物のことを示していることはあまり知られていません。短い言葉の中に、教えや生きる知恵が込められていることわざや故事成語は、言葉の豊かさを知る上でも楽しい素材です。知識が広がったり深まったりすることを、児童と共に楽しみ、もっと知りたいという意欲につなげていきましょう。
意味や成り立ちを調べることに加えて、どのように使われるのかを考えることも大切にします。
国語辞典や図書資料には使い方や例文も記されていることが多いですが、自分たちの日常の中で、どのような場面に当てはまるのかを考えます。
使い方の説明は、写真を1枚から4枚程度撮って、漫画のようにして表現します。自分たちをモデルとして撮影し、説明を作ることで、言葉が実際の生活の中で生かされていくものであるという意識をもつことができます。
作ったワークシートを本にして、学校図書館に置くことを目標にして取り組むことで、達成感を増すことができます。
〈対話的な学び〉 グループで協力して、調べたり表現したりする
ことわざ・故事成語の意味や成り立ち、使われ方を調べるとき、写真で撮影するときには、グループで活動します。同じ言葉でも、国語辞典や図書資料などを使い、複数の情報を集めると、より理解が深まります。
また、使い方の例を撮影するには、演じる人と撮影する人というように、複数の手が必要です。自然に言葉の意味や使い方について話し合い、理解を深めていくことができます。
完成したワークシートを使い、調べた言葉を友達と説明し合うことで、楽しく学べるようにしましょう。
〈深い学び〉 意味や使い方について、似ているものや反対のものなど、関連付ける
ことわざや故事成語の意味を調べると、似た意味や反対の意味の言葉も併記されている場合が多くあります。児童にも促し、見つけたものは共有します。動物が出てくるもの、数字が出てくるものなど、言葉で関連付けるのもいいでしょう。
「急がば回れ」「善は急げ」や「二度あることは三度ある」「三度目の正直」など、物事の捉え方が異なるものを並べて紹介するなど、ことわざや故事成語の意味を楽しみながら取り組むことができるようにしていきます。
なお、言葉によっては、教科書p59にも示されているように、時代に合わなくなったものや、使い方によって相手を不快にさせるものなどもあります。もし、児童が見つけて来たときには、その努力を認めつつ、差別や偏見のある表現の使用を控える配慮についても一緒に丁寧に考えるよい機会としていきましょう。
5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント
(1)デジタルのワークシートに記入する
ワークシートは紙での作成もよいですが、入力に慣れている学級では、デジタルで作成することも考えられます。文章の修正も容易く、一斉に作品を鑑賞することもできます。各学級で作ったものを、学年で共有するのもよいでしょう。特に、故事成語の言葉の由来については難しい固有名詞が示されていることも多く、教師が入力したデータを共有するなどして支援しましょう。
(2)使い方の写真を撮影する
使い方を示す項目では、自分たちでモデルになって、ことわざや故事成語の様子を演じながら写真を撮影します。1人1台端末を生かすことで、それぞれのグループで撮影したり、意図通りに撮れているかを確認したりすることが容易に行えます。
3~4人を1グループとし、その中にペアグループを設定して、お互いに撮影し合うようにします。
互いにアドバイスをしながら撮影することで、言葉に対する理解を深めることが期待できます。
ワークシートをデジタルにした場合は、写真ではなく動画で撮影することも可能ですが、その場合にはお互いの音声が混ざらないように、場所や撮影のタイミングを工夫する必要があります。
6. 単元の展開(4時間扱い)
単元名: つたわる言葉 ことわざ・故事成語
【主な学習活動】
・第一次(1時、2時、3時、4時)
(1時)
・いろはがるたの絵柄を見て言葉を考えるクイズを行い、ことわざに対する関心をもって、ことわざとは何かを知る。
・「壁」の写真から、「完璧」の意味や言葉の由来を知り、故事成語に対する関心をもって、故事成語とは何かを知る。
・教科書に提示されている言葉の意味を、国語辞典を使って調べる。
・他に興味をもったものを調べ、付箋に書いて集める。
・新出漢字を確かめる。
(課外)身近な人に、知っていることわざや故事成語は何かをたずね、言葉を集める。
(2時)
・集めた言葉について、意味や言葉の由来を調べる。
・自分が調べたい言葉を選ぶ。
・調べた内容をワークシートに記入する。〈 端末利用(1)〉
・言葉の使い方の説明をどのようにするか、場面や台詞を考え、ワークシートに記入する。
(3時)
・ペアグループと協力しながら、言葉の使い方の場面を撮影し、ワークシートを完成させる。〈 端末利用(2)〉
(4時)
・ワークシートを共有して、調べた言葉を発表する。
・学習を振り返る。
(課題)本にまとめたものを図書室に届けて、展示する。
全時間の板書例と指導アイデア
イラスト/横井智美、高橋正輝