教室の荒れを防ぐ!登校・下校時の子供との関わり方
今年度の後半を子供たちと楽しく過ごすために、クラスを落ち着かせる「子供との関わり方」について考えます。この記事では、登校時・下校時の子どもとのコミュニケーションの具体例をご紹介していきます。
監修/奈良県公立小学校教諭・小野領一
東京都公立小学校指導教諭・小島大樹

目次
登校時・朝の会
挨拶ができているかだけでなく
子供の様子を観察
朝の挨拶はどのように指導しているでしょう。
「元気に大きな声で挨拶をしましょう」と子供たちに声をかけ、できていない子供たちに「大きな声で挨拶をしなさい!」などと叱ってしまったりしていませんか? もちろん、挨拶は大事な指導ですし、必要な言葉がけだと思います。
しかし、大きな声で挨拶をしなかった子供たちは、なぜそのような態度をとったのでしょう? もしかしたら、家で保護者に叱られたのかもしれません。兄弟げんかをしてきたのかもしれません。登校中に忘れ物に気付いて落ち込んでいるのかもしれません。体調がすぐれないのかもしれません。

私たち教師は、子供の目に見える状態だけを見て指導をしてしまう傾向があります。しかし、目に見えない部分(内面、心)を予想したり、知ろうとしながら言葉がけをしたりしていくことが本当の児童理解なのではないでしょうか。大きな声で挨拶ができていない子供が、いつもと違うなと感じたら、「いつもより元気がないけど、どうしたの?」と、心に余裕をもって聞ける大人になりたいものです。
「先に挨拶できるかな競争」で
子供の声の特徴を把握
「大きな声で挨拶しましょう」と言っても、そもそも小さな声なので大きな声で挨拶ができない子もいます。子供たちの特徴を把握するためにも、遊び感覚で挨拶をさせてみましょう。
おすすめは「先に挨拶できるかな競争」です。挨拶を先にしようとすれば、自然と声が大きくなっていきます。教室に入ってきたときに、先生よりも先に挨拶したいから、「おはようございます」の声が自然と大きくなります(早口言葉をすると、声が大きくなるのと一緒です。子供は無意識に声が大きくなります)。子供のほうが速く挨拶できたら、「負けた!」と先生も本気で悔しがってください。先生のほうが速かったら、「先生のほうがまだまだ速いね。修行が足りん!」と冗談っぽく伝えましょう。
挨拶競争をすると、挨拶の声が小さい子がはっきりわかります。頑張っても小さい声しか出せない子には、無理強いはしません。
このゲームをくり返しつつ、
「先生、気付いたんだけど、先生より速く挨拶できる人は声が大きいんだよね。速く言おうとすると、声が大きくなるんだね」
と伝えれば、学級で価値付けされていくのではないでしょうか。
「大きな声で挨拶すると気持ちがいいんだね。だから、挨拶って大事なんだね」
などと伝えれば、さらに効果ありです。

挨拶は「名前+おはようございます+ひと言」の1セット
子供に朝の挨拶をする際、「名前+おはようございます+ひと言」の1セットで挨拶ができれば、子供は先生が自分のことを見てくれていると感じます。
しかし、どうしても 30~40人程度の子供を相手にしていると、朝一人ひとりに時間をかけて声をかけることは難しいでしょう。個々への言葉は「おはようございます」のひと言で終わってしまうことが多いでしょう。これは仕方のないことです。せめて全員とはいかなくても、気になる子(例えば、前日叱ってしまった子、前日ほとんど会話ができなかった子、家庭環境が複雑な子、特別支援が必要な子など)には、「名前+おはようございます」ぐらいはできるとよいと思います。慣れてきたら、「名前+おはようございます+ひと言」にチャレンジしてはどうでしょうか。
最初は何を言ってよいかわからないかもしれませんが、「〇〇さん、おはようございます。髪切ったよね?」「今日、何が楽しみ?」「元気がなさそうだけど、何かあった?」などと気付いたことを話していきます。それを繰り返していくことで子供を見る力が養われていくと思います。

友達のよさを見付ける活動を
より効果的に行う言葉がけ
朝の会で、子供の名前が入ったカードをランダムに配ります。子供は、カードに書いてある名前の友達の行動を一日観察し、その友達の一日の行動の中で、すてきな行動をカードに書いて、帰りの会までに伝えるようにします。これは学級づくりに抜群の効果があります。
しかし最終的に重要なのは、一人ひとりの行動がなぜよいのかをちゃんと価値付けることです。ほめられるからやるのではなく、自分で正しい行動を考えて行動できる子になるように指導していくことが重要です。
こういった活動と同時に絶対にすべきことが、友達のよさを教えてくれた子をほめるということです。正しい行動やよい行動を取った子をほめることはとても重要です。しかし、友達のよさを見付けるという行為にもきちんと価値付けをしてあげましょう。
