【相談募集中】子どもたちのためにも教師を辞めたほうが……と考えてしまいます
子どもたちのためにも教師を辞めたほうがいいのかも……と、初任者の女性教諭から「みん教相談室」に深刻な相談が寄せられました。この悩みに回答したのは北海道公立小学校教諭・宇野弘恵先生。相談者の方がすぐ実践できる、2つの手立てを挙げてあたたかいエールを送りました。その内容を紹介します。
目次
Q. 子どもの良さを伸ばせず、理想とかけ離れた学級状況に悩んでいます
初任者です。うまくいかない焦りや心身の疲れからモチベーションが保てず、子どもたちにも申し訳ないため辞めてしまうべきなのか悩んでいます。学生時代に障害や不登校などを抱える子どもと関わっていたこともあり、はじめは少しでも楽しい授業をしたい、少しでも悩んでいる子どもに寄り添いたい気持ちでいました。
しかし、授業の進度の遅れ、学級の荒れ、他のクラスと比べられて子供から出る不満、体調不良など様々なことが積み重なり、四面楚歌状態。とにかく授業を進めないと、大きな問題を起こさないようにしないと、そればかりで、子どもたちとしっかり向き合うこともできなくなっていきました。そして、理想との差にどんどんモチベーションが下がっていき、教材研究も進まず、悪循環が起きています。
積極的で真面目で優しい、いい子ばかりのクラスなのに、そんな子どもたちのいいところが全然引き出せず、押さえつけるばかりでどんどん罪悪感が募っています。 このまま子どもたちのよさを伸ばす機会を奪って苦しめ続けるくらいなら、子どもたちのためにも辞めてしまった方がいいのかな……と悩んでいます。(りんご先生・20代女性)
A. 子どもの側に立てるりんご先生だからこそできる、2つの手立てがあります
「私は一生懸命やっている」「悪いのは子どもだ」「こんなの大学で習っていない」「教えてくれないベテランのせいだ」と、いくらでも他に責任を押し付けられるところを、りんご先生はご自分に厳しいベクトルを向けていらっしゃいます。少しでもよい授業がしたい、楽しい学級をつくりたい、子どもたちとよい関係を築きたいと、きっと努力を重ねてこられたのでしょう。文面からりんご先生の真摯なご姿勢を感じます。
りんご先生の困り感は、大きく分けると①学級の荒れ、②子どもとの関係、③授業がうまくいかない、の3つですよね。こうした悩みは、大なり小なりベテランでもあるものですから、初任の先生が悩まれるのは当然だと思います。もう既になさっていることもあるとは思いますが、とっかかりとして、次の2つのことをしてみてはいかがでしょうか。
1.指導言の見直し
発しているのが指示なのか、発問なのか、説明なのかが明瞭でないと、子どもは何をしてよいのかわからず混乱します。そこで授業が緩み、おしゃべりを誘発してしまいます。自分の話しぶりはどうかを知るために授業を録音し、一度チェックしてみるとよいでしょう。
2.子どもに体当たりして遊ぶ
子どもと対等になって遊ぶと、「楽しい」という感情を共有することができます。「先生と一緒に笑った」という経験は、「楽しかった」という記憶として残ります。子どもとプラスの感情でつながることは、良好な関係性を紡ぐ第一歩と思います。
「子どもたちのためにも辞めてしまった方が……」とのことですが、りんご先生のような謙虚で子どもの側に立てる方こそ現場にいてほしいと私は思います。今年度は初任者なのでついていくのがやっとかもしれません。この1年を経験することで先々の見通しがもて、次年以降は少しずつ余裕も生まれてくるでしょう。そうすると、もっと肩の力が抜け、徐々に教職を楽しめるようになってくると思います。
しかし、相談できる人が一人もいなかったり、校内のサポートが望めなかったり、心身を壊してしまいそうになったりした場合は、無理は禁物です。休職という選択肢ももちつつ、ご自身の心と体を第一に考えてください。
教職は素晴らしい仕事ではありますが、命懸けで行うものではないのですから。
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。