• 勉強マーク小学館ロゴ
  • facebookアイコン
  • twitterアイコン

菊池省三の教師力UP道場:ねらいを確実に伝える!「短文力」

2020/3/25

菊池省三先生が伝説の授業の達人(鳥?)であるフクロウのショーゾー先生となって、 ラビ子、ツネ夫、タヌ吉の3人、いえ3匹の教師のタマゴたちに「生きた授業技術」を伝授するお話。第6回は、教師のねらいをより効果的に確実に伝えることができる「短文力」の活用の仕方についての講義です。

監修/菊池省三

きくち・しょうぞう。1959年愛知県生まれ。2014年度まで福岡県北九州市の小学校教諭を務め、退職。現在、教育実践研究サークル「菊池道場」主催、高知県いの町教育特使、教育実践研究家。『菊池省三の学級づくり方程式』(小学館)ほか著書多数。

ショーゾー先生とラビ子とタヌ吉とツネ夫

「スモールステップで学ぶ 授業ライブ力」とは!?

みなさんは、今の授業に満足していますか?
大学や初任者研修などで学んだ教育技術だけでは不十分だと感じたことはありませんか?
もっと子どもたちを引きつける充実した授業をつくりたいと思いませんか?
ラビ子、ツネ夫、タヌ吉の3人、いえ3 匹も、そんな思いをもっている教師のタマゴたちです。
この連載は、3匹が「森の大学」の伝説の授業の達人(鳥?)であるフクロウのショーゾー先生のもとで、大学では学びきれなかった「生きた授業技術」を悪戦苦闘しながら学んでいくお話です。

ショーゾー先生とラビ子
ツネ夫とタヌ吉

端的にピシッと!「短文力」

ライブ力=(事前準備+教室の空気を読む力+子供を引き出す力)× 教師の人間性

ライブ力の図
鐘

キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン

ショーゾー先生

今日は、短文力を活用する効果について話すぞい。

ラビ笑顔

先生、短文力って何ですか?

ショーゾー先生

ふむ。短い言葉で、教師のねらいをより効果的に確実に伝えることじゃよ。

ラビ子

ふ〜ん。

ショーゾー先生

まずは、教師の視点から考えよう。短文力の長所は、

①授業が立体的になる。

ショーゾー先生

短文力を意識すると、授業の流れや子どものひとまとまりの活動を、構造的にとらえることができるんじゃ。骨格のみで考えることができるので、全体像やゴールをイメージしやすくなるということじゃの。

ツネ夫

どういうことですか?

ショーゾー先生

「まずこうして、次にこうする。その後は、〜をさせる。そうすると、〜ができる」と、子どもの動きを想定しながら、授業を構成することができるんじゃ。「何となくこうなるだろう」という思いつきの授業がなくなるわけだのう。一つひとつの言葉が子どもの中に入るイメージができるので、整理しながら授業展開 のイメージを考えることができるということじゃよ。

タヌ吉

ちょっとよくわからないんですけどお……。

ショーゾー先生

ふむ。教案の「活動内容」に、「話し合いをさせる」「自分の考えをノートに書かせる」とだけ書いてあっても、具体的にどのような内容をどのように話すかがわからないことがあるじゃろう。教案を書いた教師自身、ハッキリともっていないところがあるからなんじゃ。でも、短文力で考えると、ダラダラ思いつきにならず、指導も濁らない。だから、授業前には短文で指示、発問、説明を書くように心がけて実践することが大切じゃ。ふだんから短文力を磨いておくことが必要になるのう。

②授業にリズムとテンポが生まれてくる。

ショーゾー先生

作業に遅れる子どもが出なくなるので、授業にリズムとテンポ、スピード感が出てくるということじゃ。①で書いたように、授業の構成、骨格が短文力でキチンとしているので、 落ち着いて安定した授業になるということじゃ。

タヌ吉

そうかあ……。

ショーゾー先生

次は、子どもの視点から見てみるぞい。

①子どもたちの理解が容易になる。

ショーゾー先生

子どもは、自分がすべきことがわかる(最後はどうしたらいいのか、どうなっていたらいいのか。自分がすべき挑戦内容→時間や活動量が短文で具体的にわかる)ので、安心して学習に参加できるようになる。

ラビ子

えっと、もう少し詳しく教えてください。

ショーゾー先生

そうじゃの。それでは具体的な場面を見てみよう。

A先生
今から漢字の練習をしますから、ドリルを出して、10ページを開けて(早く出して開けるのよ)、最初から、そう「愛する」というところ、どこかわかりますか? そこを3回ずつノートに書いていきます。

B先生

漢字練習をします。ドリルを出しなさい。10ページを開きます。(○○君、早い!)①番の「愛する」を指で押さえなさい。それから⑩番の「給食」までを3回ずつノートに書きます。

ショーゾー先生

どうじゃい?

ラビ子

ハイ! B先生のほうがよくわかりました。1文が長いと、指示などの合間に、どうしても不必要な言葉が入ってしまう。例えば、「早くしなさい!」「違うで しょ!」「何回言えばいいの!」などです。すると、不要な言葉に振り回されて理解ができなくなる子が出てしまう。当然授業のテンポも悪くなり、注意が多くなる。なお教室の雰囲気が悪くなり、まじめにやっている子の意欲も低下してしまう。「授業が濁る」イメージです。逆に短文だと、全員が理解できる。「自分もできた」「みんなで取り組んでいる」というトーンが出てきて、学級に勢いが出てくる、ということですね。

ショーゾー先生

ふむふむ。その通りじゃ。じゃ、次。

②みんなと同じスピードで学習に参加できる。

ショーゾー先生

短文=作業が小刻みであるとも言えるので、落ちこぼれていく子どもがいなくなる。それだけ子どもは安心して授業に集中できるようになるんじゃ。

ツネ夫

なるほどな〜。

ショーゾー先生

それでは、具体的な指導のポイントを示すぞい。

1 短ければ短いほどいい。

ショーゾー先生

教師は次のような技術を身につけ、ぜひ活用すべきじゃのう。

(1)3秒ルールで話す

ショーゾー先生

10字を話すのに約3秒、20字だと約5秒、30字では約7秒かかるんじゃ。10字で話すことを心がけることじゃ。

(2)ナンバリング、ラベリングをしながら話す

ショーゾー先生

「3つあります」「1つめは、態度についてです」などと話すことじゃ。

(3)「三角ロジック」で考える、話す

ショーゾー先生

論理的な主張には、客観的な事実や証拠と、それを正しいと結びつけるための理由づけが必要になる。この主張、事実・証拠、理由づけによる「三角ロジック」の論理を取り入れるのじゃ。

タヌ吉

う〜ん、難しくてよくわからないなあ。

ショーゾー先生

うほほっ。例えば、社会科の学習で「消防士さんの仕事はたいへんです」という主張があげられたとするじゃろう。そうしたら、「たいへんだ」という事実と「なぜたいへんなのか」という理由をセットで考えさせるのじゃ。

タヌ吉

ふーん、そうかあ。

ショーゾー先生

では、先に進むぞい。

2 指の動き、目線、表情、身振り手振り、立ち位置とセットに考える。

ショーゾー先生

(1)〜(3)の技術は言葉だけでなく、上にあげたような非言語の「話し方」とセットにするものぞい。全員に、「すぐにさせたい」「テンポよくさせたい」 という教師のねらいを短い言葉とともに、より効果的に確実に伝えるためにも必要なことなのじゃ。これは、短文で話せば自然と身についてくるものじゃから、 スパッ、スパッと入れていく感覚で行うように心がけることじゃ。
時間や指示などへの教師の強い思いと、その言葉がもつイメージを身振り手振りで表すことで、先に述べた「効果」がより表れてくるはずじゃ。
次は、

3 発問、指示、説明の3つを基本内容と考える。

ショーゾー先生

ほめる、しかる、日常の言葉(あいさつなど)に短文力を活用することも当然大切じゃぞ。 そしてもう1つ。

4 子どもにも活用させる

(コミュニケーション能力と思考の整理に役立つ)

ショーゾー先生

スピーチや発言、作文などの場で、子どもたちにも短文力を磨かせるのじゃ。この場合も、 ①短ければ短いほどいいの3つの基本を踏まえることじゃ。

鐘

キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン

ショーゾー先生

ハイ、今日はおしまい。

3匹きょとん顔

うわっ、短かっ!!

前へ<< ● >>次へ

構成:関原美和 イラスト:柴田亜樹子

「小四教育技術」2007年9月号~2009年3月号に掲載した記事を再録

★小学館『みんなの教育技術』Webサイトでは小学校の先生に役立つ情報を毎日発信中★ぜひお気に入り登録して最新記事をチェックしてください!
↓↓↓
『みんなの教育技術』トップへ

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

関連する記事

『授業の工夫』の記事一覧

小4社会「ごみの処理と再利用」指導アイデア

小4社会「ごみの処理と再利用」の指導アイデアです。ごみを処理する事業について、処理の仕組みや再利用について調べ、その事業が果たす役割を考えていきます。ごみを処理…

小4算数「四角形を調べよう」指導アイデア

小4算数「四角形を調べよう」指導アイデアです。四角形を分類する活動を通して、台形と平行四辺形の意味を理解します。

カリスマ教師ぬまっちが休校中にしていること、子供に出した課題とは?

新型コロナウイルスの影響で休校が長引いている学校が多い中、子供たちの学びを止めないために、試行錯誤を重ねている学校も多いと思います。
子供の自主性を伸ばす教育…

小6理科「植物の養分と水の通り道」指導アイデア

生活経験を基に、植物の体のつくりと働きについて問題を見いだし、既習の知識と関連づけながら、自然の事物・現象について理解を図り、観察、実験などに関する技能を身に付…

音読指導どうする?ウィズコロナの国語授業のつくり方

新型コロナ対策で、音読や交流活動に制限がある中、国語の授業をどのようにつくるべきか? 長年音読活動を重視して教育を行ってきた佐藤隆史先生が、このコロナ禍の中でで…

オンライン授業で現場教師が直面する5つの課題

多くの自治体で小学校の長期休校が続く中、今年度初めてオンライン授業導入に踏み切ったという京都教育大学附属桃山小学校。校内でプロジェクトを先導してきた二人の先生に…

小5社会「稲作の盛んな地域」指導アイデア

小5社会「稲作の盛んな地域」の指導アイデアです。生産量の変化、生産工程、人々の協力関係、技術の向上、稲作に関わる人々の工夫や努力を調べてまとめ、国民の食料を確保…

小5体育「ボール運動(ゴール型)」指導のポイント

小5体育「ボール運動(ゴール型)」の指導ポイントです。ハンドボールは、ボール操作やシュートが比較的簡単なので、「ボールを持たないときの動き」を身に付けやすい教材…

アルファベットの書き順は指導すべき?外国語学習指導のQ&A

本格的に始動した小学校での外国語学習。 見取りの視点や興味・関心の引き出し方など、 教科書だけではわからないかもしれないポイントを、小学校外国語科検定教科書の編…

小1国語「あいうえおで あそぼう」指導アイデア

小1国語「あいうえおで あそぼう」指導計画です。平仮名を全て学習し終わった子どもが、言葉や五十音表に親しんでいく単元です。「あいうえおの うた」の音読を楽しんだ…

もっと見る