読書指導のアイデア ⑨日本十進分類法を使って自己紹介しよう

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本好きの子供を育てる読書指導のアイデア
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東京学芸大学附属小金井小学校司書

松岡みどり
読書指導のアイデア バナー

9回目のテーマは「日本十進分類法を使って自己紹介しよう」です。これは前回の「本を使って自己紹介しよう」から難易度を少し上げた活動になります。本の分類を知って、分類からいろいろな本に興味をもつきっかけにしてみてください。もちろん、学級のみんながもっと仲よくなる楽しい活動となるでしょう。ここでは本好きの子供たちを育てるためのアイデアを紹介します。

監修/東京学芸大学附属小金井小学校司書・松岡みどり

読書指導のアイデア  ⑨ 図書室

日本十進分類法(NDC)を使って自己紹介しよう

1 日本十進分類法(NDC)を知る

「日本十進分類法を使って自己紹介する」という活動は、「日本十進分類法を知る」「日本十進分類法を意識して自分を紹介できる本を選ぶ」「選んだ本を使って自分のことを紹介する」という活動が含まれます。

日本十進分類法を使って自己紹介するという活動につなげるために、まずは、「日本十進分類法とは何か」ということを子供たちに伝えます。

日本十進分類法とは、日本の図書館で広く使われている本の分類法です。本の内容によって0から9の数字を使って、10の大きなテーマにグループ分けされています。どのジャンルの本が図書館のどの位置にあるかが数字で分かるようになっています。

日本十進分類法(例)
0 総記、全般
1 哲学、心理学、宗教
2 歴史、伝記、地理
3 社会科学、教育
4 自然科学、医学
5 技術、工業、家庭
6 産業、交通、通信
7 芸術、スポーツ、娯楽
8 言語
9 文学

これら10のそれぞれのジャンルをさらに10に分け、細分化されています。

子供たちには、身近な教科で紹介すると分かりやすくなります。

例えば、0:情報科学、1:道徳、2と3:社会科、歴史、地理、4:理科、算数、5:家庭科、6:生活科、社会科、7:体育、音楽、図画工作、8と9:国語、言葉

というように、教科に当てはめて例を出してみてはいかがでしょう。

2 図書館で日本十進分類法(NDC)を確認する

子供たちは普段、日本十進分類法を意識することは少ないでしょう。この機会に、図書館に行って、日本十進分類法を確かめてみてはいかがでしょう。

例えば、「4類の棚に行ってみましょう。どんな本があるかな?」など子供たちと確認すると、普段、意識していないだけに、新しい発見があるかもしれません。そのときに、「後日、分類法を意識して、自己紹介をする活動をしますので、自分の好きな本は何類にあるか、見ておいてくださいね」という告知をしておくとよいでしょう。子供たちは見通しが立ち、心づもりができます。

3 先生がデモンストレーションをする

子供たちにとって、少し難易度が上がる活動になるかもしれませんので、先生が分類法を意識して、本を使った自己紹介をするとよいでしょう。

選ぶ本は、分類法のジャンルを意識して、先生の人となりに触れられるような本がおすすめです。自己紹介の際には、ジャンルの概要を入れながら、先生の人となりとジャンルとが重なっている点を話します。

デモンストレーション後、「みなさんにも、このように本のジャンルを意識して自己紹介をしてもらいますので、〇〇(時期)までに、ジャンルを考えて本を選んでおいてくださいね」と言って、ジャンルを考え、本を選ぶまでの期間をとるようにします。

 

松岡司書が本を使って自己紹介するなら

十歳までに読んだ本

著/西加奈子、益田ミリ、杏 
ポプラ社

「子供の頃、どんな本を読みましたか?」作家、女優、映画監督ら70人が、「根っこ」となった大切な1冊について綴るエッセイ集。
※購入については品切れの場合、書店もしくは版元へ問い合わせてください。

松岡司書の自己紹介
0類のジャンルには、「読書」というテーマが入っています。私は、子供の頃から読書が大好きだったので、このジャンルから本を紹介します。ドキドキ、ワクワクした物語のことも思い出します。

『十歳までに読んだ本』 ポプラ社

  

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『絵本作家のアトリエ』

編・著/福音館書店母の友編集部 
福音館書店

人気絵本作家のアトリエを訪ね、創作現場の美しい写真とインタビューで、作家の思いを伝える。現代日本の絵本の礎を築いた画家10人を収録。

松岡司書の自己紹介
7類には、「芸術」というテーマが入っています。「絵画」もこの中に含まれます。私は絵本が好きなので、絵本作家のアトリエを伝えたこの本を紹介します。

『絵本作家のアトリエ』福音館書店

  

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4 本の分類を意識して本を選ぶ

図書館で本を選ぶ際に、自分は何が好きなのだろうと考える→その好きなジャンルの棚を見る→自分を表していたり、自分の好きなことを発表できたりする本を選ぶ、という手順を子供たちに示すとよいでしょう。

子供に選び方の視点をアドバイスすると選びやすくなります。例えば、宇宙が好きなら、4類になるので、4類の棚から選ぶように助言します。ピアノを習っているなら、「音楽のジャンルは7類だよ」と言ってみてはいかがでしょう。また、好きな教科からジャンルを選ぶように伝えると、子供はイメージしやすくなります。

好きというだけでなく、なぜ好きなのかも言えるようなジャンルから選ぶとよいでしょう。

本を紹介するときには、本のジャンル、本の名前、作者、登場人物と自分が似ているところやあこがれるところ、自分の紹介につなげられる好きなところなど、自己紹介のポイントを書くことができるワークシートがあると便利です。

日本十進分類法を使って自己紹介しようワークシート(例)

日本十進分類法 ワークシート
クリックで拡大、ダウンロードできます。

5 分類を意識して自己紹介

自己紹介の時間は、図書の時間がある場合はその時間を利用してもよいし、朝の会や帰りの会に、日にちを分けて、実践してもよいでしょう。自己紹介する人は、選んだ本の表紙をみんなに見せて、分類のことを伝えながら、自分のことをみんなに知ってもらうように発表します。

6 掲示する

自己紹介が終わったら、分類別にして、ワークシートを掲示しておくと、友達の好きな分類が分かって、話すきっかけにもなります。また、どの分類に人気があるかもよく分かります。

   



松岡みどり司書からのメッセージ
中学年の国語では本の分類を学習します。そのタイミングで、この活動を取り入れるのもよいと思います。日本十進分類法に関心をもって、本には様々な分野があるという視点で楽しむようにしてみてください。
「日本十進分類法を使って自己紹介しよう」の活動で、「人気がなかった分類の中からもおもしろい本を見付けてみよう」という活動に広げるのも活動の幅が広がります。子供たちが「楽しい、次もやってみたい!」と意欲がわくような、わくわくした時間になるとよいですね。
子供たちが、「本って、こんなにいろいろなジャンルがあるんだ!」と興味を広げるきっかけになればよいと思います。

 

読書や本の情報が満載

ウェブサイト「先生のための授業に役立つ学校図書館活用データベース」(東京学芸大学 学校図書館運営専門委員会)
https://www2.u-gakugei.ac.jp/~schoolib/htdocs/

取材・文・構成・撮影/浅原孝子

 

授業で使える312冊の絵本を紹介

豊かな心と思考力を育む
絵本で広がる小学校の授業づくり

著/齊藤和貴(京都女子大学教授)

司書教諭の経験を生かしながら、長年、学校現場で「絵本を活用した授業」を行ってきた元小学校教諭が、小学校の授業で使える絵本312冊を厳選。絵本を使った実際の授業が、板書や指導案、豊富な写真とともにオールカラーで具体的に紹介されていますので、授業の進め方がよくわかります。

B5判/112頁
ISBN9784098402212

〈著者プロフィール〉
齊藤和貴(さいとう かずたか)

京都女子大学発達教育学部准教授。元小学校教諭・司書教諭。東京都公立小学校及び東京学芸大学附属小金井小学校、附属世田谷小学校で28年間、教育活動や授業実践に取り組む。その間、生活科や総合的な学習の時間を中心に指導法やカリキュラム、評価方法の工夫・改善を図り、「子供とともにつくる授業」の創造に励む。また、司書教諭の経験を生かし、「絵本を活用した授業づくり」にも取り組んできた。

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