いじめ 【わかる!教育ニュース#21】

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いじめ 【わかる!教育ニュース#21】

先生だったら知っておきたい、様々な教育ニュースについて解説します。連載第21回のテーマは「いじめ」です。

「犯罪行為として扱われるべきいじめは、直ちに警察に相談、通報を」

かつて、子供のいじめに警察が乗りだす事態は、周囲が通報をためらったり、内々で事を収めたりなどし、そう多くはなかったのではないでしょうか。でも、これからは珍しくなくなるかもしれません。

「犯罪行為として扱われるべきいじめは、直ちに警察に相談、通報し、適切な援助を求めなければならない」。文部科学省が2月7日付で各都道府県教育委員会などに出した通知は、悪質ないじめに対し警察の力を借りる対処を要請しています(データ参照)。子供の健全育成の観点から、学校と警察は「重要なパートナー」とも明記しました。

通報の必要性を訴える言葉には、厳しさがにじんでいます。いじめを苦にした子供の自殺の背景に学校が法律に基づいた対応を徹底していない、犯罪として扱うべき事案を学校が「生徒指導の範囲」と考え、通報を見送るといったケースもあると指摘しています。

警察との連携は、インターネットを使ったいじめでも欠かせないポイントとしています。とりわけ、匿名性が高く、拡散しやすい児童ポルノにつながるいじめは「一刻を争う事態も生じやすい」と危機感を込め、早期の通報を訴えました。

それでも、ためらう学校があると踏んだのでしょう。犯罪的いじめの通報は法令でも定めがあり、批判の素や恥ではなく、むしろ学校が適切に動いたと評価できると説いています。連携によって未然防止や解決につながった例も紹介し、日ごろの情報共有や互いの連絡窓口になる担当者の設定、通報もありうることを事前に保護者に周知するなど、留意点も書き添えました。

「いじめへの的確な対応に向けた警察との連携」をテーマに議論

どんな行為が「通報対象」なのでしょうか。通知では子供たちの間で起きうる反面、犯罪に当たる可能性のある具体的な行為を挙げています。「悪ふざけと称して殴る蹴る」「無理やりズボンを脱がす」は暴行、「靴や教科書などを盗む」は窃盗、「制服をカッターで切り裂く」なら器物損壊など、「度胸試しなどと称し、無理やり危険な行為などをさせる」は強要、「『死ね』と言ってそそのかした同級生が自殺した」は自殺関与など、19例を例示しました。

警察との連携徹底は、2022年11月に設置された政府の関係府省連絡会議で、「早期に検討すべき」とした14項目の1つ。通知に先立つ2月2日の2回目会合でも、「いじめへの的確な対応に向けた警察との連携」をテーマに議論しました。

「警察」「通報」という世知がらい言葉には戸惑いもあるでしょう。けれど、文科省の調査では、2021年度に全国の小中高校などが認知したいじめ61万5351件のうち、生命や心身、財産に重大な被害が及んだり、学校を欠席せざるを得なくなったりする「重大事態」も705件に上り、最も多かった19年度の723件に次ぐ数字です。いじめを積極的に見付ける心がけとともに、深刻な事態に毅然と対応する意識も求められています。

参照データ
▽文部科学省
https://www.mext.go.jp/content/20230207-mxt_jidou02-00001302904-001.pdf

長時間労働 【わかる!教育ニュース#22】はこちらです。

執筆/東京新聞記者・中澤佳子

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