いじめ防止【わかる!教育ニュース#17】

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いじめ防止【わかる!教育ニュース#17】

先生だったら知っておきたい、さまざまな教育ニュースについて解説します。連載第17回のテーマは「いじめ防止」です。

いじめ防止対策を巡る関係府省連絡会議を設立

いじめを隠さず、積極的に見付けだそうという意識が、学校に広がっています。ただ、見付けること自体は目的ではありません。きちんと対処し、被害がエスカレートする前に止めることです。

政府がこのほど、いじめ防止対策を巡る関係府省連絡会議を設け、初会合を開きました。中心になるのは、新年度に発足するこども家庭庁の設立準備室と文部科学省。内閣府、警察庁、総務省、法務省、厚生労働省、経済産業省が参加し、子どもを巡る現状を分析し、対策を議論します。

会議を設けたのは、長期欠席に追い込まれたり、心身に被害が出たりする「重大事態」が多いと、文科省の調査で分かったためです。2021年度は705件に上り、最も多い19年度の723件に迫る勢い。いじめ防止対策推進法などで、命や心身、財産に深刻な被害が出た場合を表す「第1号重大事態」は、過去最多の349件でした。

新年度から、いじめ問題はこども家庭庁と文科省で連携して担うことになっています。同庁発足を控える政府としては、何もせずにはいきません。小倉将信こども政策担当相は2022年11月22日の閣議後会見で、こども家庭庁設立準備室が加わることで、警察など関係機関との連絡や重大事態への対応の強化、学校外からの対策推進が望めると説明したうえで、「いじめを政府全体の問題として捉え、関係府省の連携強化も含め、これまでの延長線上を越えた対策を講じる」と意気込みました。

総務省、警察庁、法務省、こども家庭庁の対応

会合では各省庁の対応も紹介されました。

総務省はインターネットを使ったいじめの対策。誹謗中傷や悪質な書き込みは、名誉毀損罪や侮辱罪に問われる可能性の周知と啓発、個人情報や名誉の侵害に対して接続業者に発信者の情報開示を求める制度の整備などです。警察庁は犯罪行為が疑われる場合に捜査。法務省は人権相談を行い、こども家庭庁は重大事態の調査をする首長部局に助言するアドバイザーの任命などを予定しています。

会議は今後検討する14項目を設定し、「早期に対応」8つと「今後対応」6つに分類。「早期」の8つは優先度で「年末年始めど」「年明けめど」に分けました。「年末年始めど」は、主にこれまでの対応の再徹底です。犯罪行為が疑われるケースでの警察や関係機関との連携、被害者のケアと加害者への指導など4項目が挙がりました。文科省もこれをふまえ、有識者でつくる「いじめ防止対策協議会」で議論を始めています。

いじめはどの学校でも、どの子供にも起こり得る、と言われます。「あって当たり前」という諦めではありません。いざというときに動じることなく、適切に対処するよう促す言葉です。抑止を見込んだ加害者に厳しい対策も、被害者への細やかなケアも、バラバラで取り組んでいたら効果はいま一つ。それぞれの役割を自覚して事前に手だてを練り、身構えしておくことが欠かせません。

発達障害【わかる!教育ニュース#18】はこちらです。

執筆/東京新聞記者・中澤佳子

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