教職員も考えたい、夏休み、冬休みの使い方【妹尾昌俊の「半径3mからの“働き方改革”」第18回】

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妹尾昌俊の「半径3mからの“働き方改革”」

学校の“働き方改革”進んでいますか? 変えなきゃいけないとはわかっていても、なかなか変われないのが学校という組織。だからこそ、教員一人ひとりのちょっとした意識づけ、習慣づけが大事になります。この連載では、中教審・働き方改革特別部会委員などを務めた妹尾昌俊さんが、「半径3m」の範囲からできる“働き方改革”のポイントを解説します。

執筆/教育研究家・一般社団法人ライフ&ワーク代表理事・妹尾昌俊

長期休業中の研修や部活動を大きく見つめ直すとき

前回の記事では、児童生徒のことばかりではなく、自分と向き合う時間も大切にしたいよね、という話をしたが、児童生徒が登校しない夏季休業中、冬季休業中(以下、たんに夏休み、冬休みとする)はそのチャンスでもある。 さて、少し前の話になるが、文部科学省が2019年6月28日に「学校における働き方改革の推進に向けた夏季等の長期休業期間における学校の業務の適正化等について」という通知を出した。主なポイントを要約すると、次のとおり。

  • 学校閉庁日を設けるなどして、教師がまとまった休日を取れるようにすること。
  • 夏季休業中等の研修について、教員等が受講する研修の絶対量のみが増加し、教員等の多忙化に拍車をかけるようなことにならないよう、配慮すること。また、研修の精選を行ったり、報告書の簡素化を図ったり、オンライン受講を可能としたりすること。
  • 初任者研修について、校内研修を年間300時間以上等とこれまで示してきたが、必ずしもこの目安どおりに実施する必要はない。
  • 部活動については部活動指導員や外部人材の積極的な参画を図るとともに、休養日やオフシーズンを設けること。
  • 大会等の見直しについては、文部科学省から日本中学校体育連盟等の大会等の主催者にも働きかけを行っているところであるが、各主催者等に対して、教育委員会からも働きかけをすること。

ほかの内容(夏休み中の補習やプール指導も必要に応じて見直すことなど)もあるが、上記を見ただけでも、「文科省、本気だぞ」と感じ取れるのではないだろうか。 一方で、「文科省はまた教育委員会や学校にやれ、と紙切れ一枚で言うばかりじゃないか」という批判はあろうが、従前の通知を廃止してまで、呼びかけているし、部活動のところなどにも、文科省は言うだけでなく行動していることも書いている。

教育委員会と学校の主体性、リーダーシップが問われている

別に、私は文科省の肩をもちたいわけではないが、部活動の大会等については、ほとんどの主催者は国ではなく、中体連、高体連をはじめとする各種団体だったり、報道機関が後援していたりする。国としては、働きかけるくらいしかできないし、あまり強制的にやろうとするのは、国家権力の不当介入とも見なされかねない。いわゆる官製研修も、教職員支援機構等を除いて、圧倒的に多くのものが都道府県や市区町村レベルのものだ。

この通知の2ページ目にも、「今年度、実施直前に教職員や児童生徒、保護者等に対する十分な説明もないまま廃止や縮小することを求める趣旨ではありません」と注意書きしており、今後時間がかかるものも含めて、今期ならびに来年度以降の見直しに着手、継続することを促すものだ。

「各教育委員会や学校において学校における働き方改革の推進について主体的に検討し実施することの参考としてこのたび通知するもの」とあるように、この通知や関連する中教審答申なども参照しつつ、言い換えれば、必要であれば、それらを“錦の御旗”にして、各教育委員会と学校がどこまで積極的に見直そうとする動きになれるかが問われている。

校長等と話すと、「業務改善には、保護者や地域に説得が必要なので(すぐには実行できない)」、「教育委員会等から統一的な方針が出ていればやりやすいのだが」とよくエクスキューズされるが、文科省もこう言っていることは、ひとつの大きな、よい「言い訳」になるのではないか。 OECD・TALIS2018などでは、日本の小中学校の多忙が改めて国際的に見ても特異なくらい顕著であることが判明している。文科省がもっとやっていかなくてはならないことも多いが、教育委員会でも進められることは多いし(例えば、研修の精選や大会等の見直しに向けた働きかけ)、むしろ、校長の権限・裁量の中のものも多い(部活動数の精選、休養日やオフシーズンの設定)。

教職員の声を集めておくべき

では、各教育委員会や学校では具体的に何から始められるだろうか。私のお勧めのひとつは、夏休み中や冬休み中に、反省点を記録して、校内はもちろんのこと、教育委員会等としっかりと共有しておくことだ。例えば、研修については、県と市で重複しているものがあったとか、わざわざ集めなくてよい(オンライン受講や資料共有でよい)、逆にこの研修はよかったなど、さまざまな声が集まる。受講者アンケートはほとんどのケースで取っているが、その研修ごとであることが多い。もっと全体を見たうえで振り返るものがあってもよいだろうし、教育委員会等により研修の見直し案についての意見募集があってもよいだろう。「また調査が増えて負担感が増す」と言われそうだが。

部活動も、どの競技でどんな大会等があって、休養日やオフシーズンを取りやすかったかどうかを整理してみてはどうだろうか。学校では、子どもたちに対して、夏休み(あるいは冬休み)が始まる前と、終わったあと、ある程度の計画を立てて、それがどう実行されたか、されなかったか反省しようとするではないか。同じことは、教職員の夏休み、冬休みの使い方についても言えるのではないだろうか。

『総合教育技術』2019年9月号に加筆

野村総合研究所を経て独立。教職員向け研修などを手がけ、中教審・働き方改革特別部会委員などを務めた。主な著書に『変わる学校、変わらない学校』『学校をおもしろくする思考法』(以上、学事出版)、『こうすれば、学校は変わる! 「忙しいのは当たり前」への挑戦』(教育開発研究所)、最新著書に『教師と学校の失敗学 なぜ変化に対応できないのか』(PHP研究所)がある。

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