小5国語「古典の世界(二)」京女式板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回の教材は「古典の世界(二)」です。「論語」と「漢詩」(春暁)で構成されている本教材での学習活動の中心は音読です。ひとり学習も取り入れ、「音読を楽しむための工夫」「読んだり、聞いたりしてわかったこと」などを考えます。音読を進めやすいようにした板書の工夫を紹介します。本単元以外にも音読の単元でぜひご活用ください。

監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・松下祐子

 

教材名 「古典の世界(二)」(光村図書)

単元の計画(全1時間)

指導過程
1 「古典の世界(二)」の全文を読む。
2 学習の見通しを理解し、学習活動の音読をする。
3 「ひとり学習」をする。
4 学習の成果を発表し、学習のまとめをする。

板書の基本

〇教材は「論語」と「漢詩(春暁)」で構成されています。

教材の活用方法として、「声に出して読む」「声に出して楽しむ」ことを目的に学習活動を音読にしました。

〇古典の音読は、くり返す回数に比例して、楽しみが増えると考えています。そのため、考えを出し合って内容を理解することより、音読の回数を増やすことを大事にしました。

教材の全体については、全員で読みました。また、論語と漢詩「春暁」は、全員で音読した後、「ひとり学習」の時間を設け、くり返し音読する時間であることを指示しました。

最初は、滑らかに読めなかった子も、くり返し音読する過程で、意味を説明する部分にも興味をもつようになりました。板書には、学習の進め方を示したカードを貼りました。そのカードは次のような内容です。

 ① 全文を音読する。
 ② ひとり学習をする。
  ・音読 ・内容の理解
 ③ ひとり学習の発表

〇「ひとり学習の発表」では、音読で学習成果を発表するようにしました。そして、感想やがんばったところを次の側面で整理をしました。

「音読を楽しむための工夫」
「読んだり、聞いたりして分かったこと」

音読の全体を「はっきりと声に出す」「声を大きく」「ゆっくりと読む」「リズム感を考えて読む」「間をとる」「内容を想像して読む」という6つにまとめました。

これらを、古典の「上手な読み方」として指導しました。

板書のコツ(1/1時前半)

小5国語「古典の世界(二)」京女式板書の技術 板書
1/1時前半の板書

板書のコツ①

最初に「めあて」を板書しました。論語・漢詩を含めての学習ですから、「漢文を音読し、言葉の響きやリズムを味わう。」と板書しました。「漢文」という語彙に出合わせかったからです。

板書のコツ②

黒板の右側に「論語」、左側に「漢詩」に分けて、教材を板書しました。全体を音読する過程で、理解の手がかりになる説明を黄色のチョークで書き加えました。このことにより、内容を理解する手がかりにしてほしいという気持ちがありました。

また、黒板の中央を空白にしました。空白は、「何を書くのだろう」という期待をもたせる効果があります。

板書のコツ③

「ひとり学習」では、音読をくり返すことをすすめました。時間に余裕がある子には板書をノートに書き写すことをすすめました。ノートに写した子の中には、音読の仕方を書き加える子もいました。音読に力を入れてほしい子には、すらすら読めるようになった回数を増やすことを指導しました。

板書のコツ(1/1時後半)

小5国語「古典の世界(二)」京女式板書の技術 板書
1/1時後半の板書

板書のコツ①

「ひとり学習」の発表をするときの板書です。中央の空白の部分に3枚のカードを貼りました。

 上段に「音読を楽しむための工夫」
 中段に「読んだり、聞いたりして分かったこと」
 下段に「上手な読み方」

また、上段と中段には、中央に点線を引きました。右側が「論語」の音読についてです。左側が漢詩についてです。下段は、音読の仕方についてのまとめをする予定であることを指導しました。

板書のコツ②

「ひとり学習の発表」は次のように行いました。

はじめに、自信があるという子の発表です。続いて、努力をした子の発表にしました。最後は、さらにがんばってほしい子にという順です。まず、漢文の音読の雰囲気を高めてほしいという意図がありました。

続いて、がんばったという子の音読では、がんばっていることを聞き手が見つけ、感想を述べるようにしました。感動や工夫を一般的な言葉にして、板書をしました。

このような過程で学習をくり返すと、自信がないと思っている子も発表に対する意欲が生まれてきました。その子たちには上手なところを見つけて自信をもてるようなコメントを加えました。

板書のコツ

「音読を楽しむための工夫」「読んだり、聞いたりして分かったこと」の発表の後に、声の大きさ、間の取り方などを意識した上手な音読の発表が続きました。それらの子供の発言を一般的な言葉でまとめて板書しました。

授業の終わりは、「はっきりと、大きな声で」全員で音読しました。

 

構成/浅原孝子

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