ESDってなに? SDGsとの違いは?~持続可能な開発のための教育をわかりやすく解説
ESDという言葉を耳にしたことはありますか?「どういう意味?」「SDGsとの違いは?」とお困りの先生に向けて、ESD(Education for Sustainable Development・持続可能な開発のための教育)について解説します。
執筆/沖縄県公立小学校教諭・我那覇ゆり子
目次
ESDって何?
最近、ESDという言葉をよく耳にします。「どういう意味?」「SDGsとの違いは?」とお困りではありませんか?
ESDは、「Education for Sustainable Development」(持続可能な開発のための教育)の略で、環境、貧困、人権、平和開発といった地球規模の課題を自らの問題として捉え、自分にできることを考え、課題解決につながる価値観や行動を生み出し、持続可能な社会づくりの担い手を育む教育のことを言います。
SDGsとは
貧困、不平等や格差、気候変動などのさまざまな問題を根本的に解決することを目指す、世界共通の17の開発目標です。SDGsについては、学校から持続可能な社会へ 身の回りにあるSDGsを取り上げる授業6案 をぜひ参考にしてください。
ESDで目指すことは?
ESDでは、問題と向き合うために重要な6つの価値観を養うことを目標としています。
ESD×教科学習・学校生活
多様性
さまざまな視点を持って考える。
例えば、学級活動で
学級会でさまざまな意見を出し合い、よさを生かし合うことで多様性を認めることにつなげる。
公平性
国や年齢にかかわらず、誰もが平等に幸せになる権利がある。
例えば、社会で
子供、高齢者、障害者などすべての人が幸せに生きるためにどうすればよいのか、政治のあり方について考える。
相互性
私たちの生活は、生きものや自然から成り立っている。
例えば、理科で
生物は他の生物や周りの環境とどのようにかかわっているか考える。
連携性
みんなで協力すれば大きなことを成し遂げられる。
例えば、学校行事で
各自が役割を果たし、協力することで素晴らしい成果を生み出せることを、経験を通して学ぶ。
有限性
食物や電気などは有限であることを理解し、将来のあり方を考える。
例えば、学校生活で
給食の食べ残しや電気や水の使い方について考える。
責任性
責任をもって、自分にできることは自分から進んで行動する。
例えば、家庭科で
環境リサイクル学習で、環境にやさしい、無駄のない暮らしを目指して実行する。
また、ESDの視点に立った「7つの能力・態度」の育成を目指しています。
ESD×学級経営
⑴批判的に考える力
⑵未来像を予測して計画を立てる力
⑶多面的・総合的に考える力
⑷コミュニケーションを行う力
⑸他者と協力する力
⑹つながりを尊重する態度
⑺進んで参加する態度
日々の授業や学級経営にESDの視点を取り入れることで、ESDの価値観や態度の育成にかかわることができます。
ESDやSDGsのお役立ち資料
『ESD QUEST』(文部科学省)
ロールプレイングゲームふうの読み物を通してESDをわかりやすく学ぶことができるストーリーブックです。
持続可能な開発目標(SDGs)を学べる教材 『SDGsを学べる冊子』(JICA)
SDGsの基本について日本の国際協力や各国の子供たちの紹介も交えて学べる教材です。
SDGsを学べる動画『地球ナビ動画(YouTube)/授業でも使える教材』(JICA)
SDGsを理解するための5分間の映像です。学校の授業で活用できます。
『SDGsカード』(SDGsのアイコン画像)(国際連合広報センター)
SDGsの目標を余白に書き込むなどして、授業や教室の中に掲示して積極的に活用できます。
イラスト/種田瑞子
『教育技術 小五小六』2021年12/1月号より