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効果的な学校の教師【赤坂真二「チーム学校」への挑戦 #10】

連載
赤坂真二の「チーム学校」への挑戦 ~学校の組織力と教育力を高めるリーダーシップ~

上越教育大学教職大学院教授

赤坂真二

多様化、複雑化する学校の諸問題を解決するためには、教師一人の個別の対応ではなく、チームとしての対応が必須である。「チーム学校」を構築するために必要な学校管理職のリーダーシップとは何か? 赤坂真二先生が様々な視点から論じます。
第10回は、<効果的な学校の教師>です。

執筆/上越教育大学教職大学院教授・赤坂真二

エフェクティブ・スクールの条件、再び

「荒れ」の見られたB小学校のような学校では、学校改善のために何から取り組めばいいのでしょうか(B小学校については、前回までを参照願います)。

本連載の第2回に、アメリカのロナルド・エドモンズの教育効果のある学校、すなわち、エフェクティブ・スクールの研究を紹介しました。エドモンズのまとめたエフェクティブ・スクールの条件を再掲します。

①校長のリーダーシップ
②教員集団の意志一致
③学習環境
④教員の姿勢
⑤学力測定とその活用

①の校長のリーダーシップについてはこれまである程度述べました。また、②の教員集団の意志の一致を促し、大枠で先生方がまとまったのは、やはり、子どもたちの実態に強い危機感を持ったからです。周囲の学校を見渡せば、各学校の研究テーマは「思考力を高める国語の授業づくり」とか「活用力を育てる算数授業の創造」など教科系のテーマでした。そうした状況下で「あたたかい学級・学校づくり」のようなテーマを設定することはかなり勇気が必要だったと思います。A校長はじめ先生方は、「それ」を選択しました。しかし、こうした抽象度の高い研究テーマは、スローガンで終わる可能性や各教師がバラバラに取り組んで「おしまい」ということになりかねません。かなりリスクの高い話です。実は、そこに実体を持たせるのがエドモンズの条件の③と④です。③と④の条件が意味することは何なのでしょうか。

エドモンズは、効果的な学校の特徴として、次のような物理的な環境要因を挙げています※1。「相対的に安全であり、相対的に清潔であり、相対的により秩序があり、相対的に静かである」、また、教室内の掲示物のパターンとして「生徒の作品に囲まれている」というものです。聡明なる読者の皆さんはおわかりだろうと思いますが、これは、単に、子どもたちを静かにさせ、教室の整理整頓を徹底し、国語科で書いた新聞や図工の絵画作品を並べればよいという話ではありません。

教師の学習環境に対する意識の高さを示す指標なのです。安全であるということは教室に危険物が放置されていないということだけではなく、クラス内のルールが定着しており、一人一人の人権が守られているということです。また、生徒の作品が飾られているということは、教師の「生徒の作品に囲まれていたい」という意識の表れであり、それは、直ちに子どもたちに関心を払っている教師の姿勢を示します。ちょうど親御さんが子どもの描いた絵をリビングの壁に飾るようなものです。

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