【相談募集中】ものを隠す行為、学級で犯人捜しをするべき?
2学期から担任となった男性教諭のクラスで、もの隠しのいたずら行為が繰り返されているそうです。どのような指導を児童にすればよいか「みん教相談室」に相談が寄せられました。これを受けて教育アドバイザー・多賀一郎先生が回答した、対応策を紹介します。
目次
Q. 「もの隠し」のいたずらをする児童にどう対応すれば?
私は2学期から学級担任となりました。 そのクラスは学習規律が曖昧で、離席、私語、学習用具が整わない等の状況です。 生活面でも人間関係の破綻、トラブルの多発、いたずら、いじめ等問題が多くあります。児童は幼さは感じるものの、素直で明るく元気です。管理職、他職員の力を借りながら、次の学年に向けて学級経営を行っています。
その中で、物を隠す等のいたずらが多くその防止に悩んでいます。行った児童も分からず、全体への指導を繰り返すばかりです。ご助言いただけたら幸いです。よろしくお願いします。(ねずみくん先生・20代男性)
A. 被害児童に寄り添い、間違っても「犯人捜し」はしないように!
学級の規律というか、秩序がいい加減になっているようですね。途中から入って立て直すのは大変です。あまり高いハードルを設定しないようにして、子供たちと楽しく暮らすことを考えていくことです。
さて、もの隠しは、どんな先生のクラスでも起こることです。安定している学級でも起こり得ます。おふざけでやっている場合もあるし、大勢の中にいても疎外感を感じて孤独感のあまりしてしまうこともあるでしょう。まずは、被害者支援を一番に考えましょう。
「先生があなたの心を守るよ。」
と、被害児童の側に寄り添う姿勢をはっきりさせることです。ターゲットにしている子供がいるならば、やればやるほどその子に対して先生が手厚くなるのだから、馬鹿馬鹿しくなって行動をやめる可能性も出てきます。
僕は、加害児童に向けては、
「心の病気の人がいるようです。心配だよね、独りでそういうことをしているのは。」
というようなことを子供たちに話していました。
犯人を捜すというのは、教育ではありません。教師は警察官でも検察官でもないのです。たまたま見つかることはあってもいいのですが、わざわざ犯人捜しをすることは、多くの子供たちに相互不信を生じさせかねません。
子供たちと一緒に隠し物を探したり、一緒に困ったりして、
「先生はみんなと一緒にやっていくよ。」
というメッセージを出し続けることが大事だと思います。
ただし、特定の個人に対してもの隠しが繰り返されているということであれば、「いじめ」を疑う必要はあると思います。いじめを疑った場合は、被害児童の周りをよく観察することが必要ですが、学年が上がるにつれて、子供たちはなかなか正体をさらすことはしなくなります。つまり、実態がつかみにくくなるということです。
まずは、同学年の先生方に状態をオープンにして、子供たちの様子を見てもらうようにすること。少しでも引っかかることは、学年で共有することが必要です。管理職に「いじめの可能性があるかもしれない」と連絡して、指示を仰いでおくこと。管理職と問題を共有しておくことは、大事です。
被害児童とよく話をして、嫌なことがないかどうかを聞き取ることなどが考えられます。そして、それらのことを、いつ、誰が話したか、またはその内容などを記録しておくことが大切です。
もしもいじめの案件になったら、独りで対応しないことが肝要です。
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。