長時間労働【わかる!教育ニュース#12】

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中澤記者の「わかる!教育ニュース」
長時間労働【わかる!教育ニュース#12】

先生だったら知っておきたい、さまざまな教育ニュースについて解説します。連載第12回のテーマは「長時間労働」です。

教員の時間外労働は、前回より6時間6分減ったとはいえ、いまだ月123時間16分

長時間労働を見直し、柔軟な働き方を広げる。働き方改革はそんなねらいをもって、さまざまな職場で進められています。学校もその一つ。でも、実現されていますか?

連合のシンクタンク「連合総合生活開発研究所(連合総研)」が2022年5~6月、全国の公立小中高校や特別支援学校の教員9214人から回答を得て、平日と休日それぞれの出退勤時刻や自宅での仕事時間を調べたところ、2015年の前回調査より少し減ったものの、1か月の労働時間で見ると、所定労働時間を大きく上回る「過労死レベル」の状態が続いている実態が、浮き彫りになりました。

平日の在校時間は平均11時間21分で、前回調査より8分減りました。自宅で仕事をした時間は、前回を3分上回る46分。1日の合計では前回より5分減の12時間7分です。7時間45分という所定労働時間を大幅に超えていて、高止まりと言えます。

休日に学校や自宅で働いた時間も、前回より32分少ないものの、3時間24分。結局、時間外労働(残業)は前回より6時間6分減ったとはいえ、いまだ月123時間16分に上ります。「過労死ライン」の残業は月20日出勤で80時間ですから、現状がいかに過酷か分かります。しかも、休憩時間は54.6%が「0分」と答えました。前回と比べれば「進歩」かもしれませんが、「改革」には程遠い状態です。

持ち帰り仕事の有無を把握している管理職は26.2%

教員の働き方改革は、文部科学省が行った16年度の実態調査で、過労死ラインを超えて働く教員が中学校で6割、小学校で3割いたことから、動きだしました。中教審で議論し、学校が担ってきた業務の一部を自治体や地域住民に振り分け、部活動のあり方の再考を促す流れに。19年には教職員給与特別措置法(給特法)を改正し、残業の上限を月45時間とする文科省の指針が法的に位置付けられました。

けれど、業務の移行や連携の進捗を尋ねると、「学校以外が担う」「教員が担う必要がない」とされた業務では、登下校対応が49.4%、放課後の見回りや補導時の対応は44.0%、校内清掃だと29.1%と、半分にも届きません。

管理職の意識について尋ねた項目では、気になる結果も出ました。持ち帰り仕事の有無を把握している管理職は26.2%。実際より在校時間を短く報告するよう求められた教員は12.6%おり、残業の黙認や偽装を窺わせます。

深刻な教員不足もあって、長時間労働解消への意識は高まっています。一方で、教員には残業時間に応じた残業代ではなく、あらかじめ本給の4%相当が一律上乗せされると給特法で定めており、「残業させ放題」の要因だとの指摘があります。自治体の判断で、繁忙期の勤務時間を延長する代わりに、夏休みなどに休日のまとめ取りができるとした規定も、問題視されています。長時間労働につながる根は、まだ残っている気がしてなりません。

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執筆/東京新聞記者・中澤佳子

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