小3[B親切、思いやり]親切にする心を行動に移すにはどうすればよいかを考える授業【文部科学省教科調査官同行監修】動画・道徳科実践レポート
今回は小3の内容項目[B 親切、思いやり]、 主題名「親切な行為を生む心」の授業レポートをお届けします。世の中が不安定になっている時代だからこそ、特に道徳性を養う道徳科の授業が重要視されています。道徳教育の研究に取り組んでいる小学校に、浅見哲也教科調査官とともに伺い、調査官からのアドバイスを受けつつ、授業実践を動画で分かりやすく紹介します。調査官と授業者とのミニ対談の動画もご覧ください。
※動画の中で音声が途切れる箇所がありますが、それは、先生が子供の名前を呼んでいるシーンですので、消音してあります。ご了承ください。
授業者/埼玉県公立小学校教諭・木村彩乃
目次
小3[B 親切、思いやり]親切にする心を行動に移すにはどうすればよいかを考える授業
主題名:親切な行為を生む心 内容項目[B 親切、思いやり]
教材名:「スーパーの店先で」 (埼玉県教育委員会)
本時のねらい:ミネラルウォーターを差し出した主人公の親切な行為を生んだ心について考えることを通して、相手の気持ちや状況を自分のこととして考える大切さに気付き、自ら進んで親切にしようとする実践意欲を育てる。
物語のあらすじ
恥ずかしさから募金をしなかった主人公のぼく(元気)が、次の日曜日、震災の後すぐに売り切れてしまうミネラルウォーターをお母さんに頼まれて買いに行ったスーパーで、「被災地に少しでもたくさんの水を届けたい」と強く願う男の人の気持ちに触れ、自分が手にした2本のミネラルウォーターを男の人に差し出すという内容。
導入
1 事前調査結果を知る
●日常生活をふり返り、事前調査結果から、困っている人を見かけたときの親切な行動について、問題意識をもち、主体的に考えられるようにする。
「あなたは、困っている人がいたらどうしますか」という事前調査結果
●困っている人を見かけたら、助けたいと思うし、どんなときでも親切な行動ができる…13人
●困っている人がいたら、助けたいと思うが、行動に移せないことが多い…13人
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「困っている人を助けたい」 思いを行動に移すには、どのような心が大切なのだろう。
展開
2 教材「スーパーの店先で」の読み聞かせを聞き、道徳的な問題点をつかむ
●東日本大震災の写真や保護者へのインタビュー結果を提示し、地震発生時やその直後から続く厳しい状況について押さえてから教材を読み聞かせる。そして、恥ずかしさや他人事として捉えるなど、思いを行動に移す際の妨げとなる気持ちについて考え、分類して板書していくことで、問題点を明らかにする。
お母さんから「元気くん、ぼ金をしてきたら。」と言われたのに、募金をしなかったぼく(元気)は、どんな気持ちだったのでしょう。
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お母さんに「何でぼ金をしなかったの。」と言われ、ぼくは、なぜ何も答えられなかったのでしょう。
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3 学習課題について話し合う
●困っている男の人を目の前にし、その思いに触れることで、「困っている人を助けたい。」という気持ちの高まりを捉える。
男の人と店の人のやりとりを見て、ぼくは手にしたミネラルウォーターをじっと見つめながらどんなことを考えていたのでしょう。
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ぼくはどのような思いからミネラルウォーターを差し出したのでしょう。
●役割演技を通して、気付いたことや考えたことを基に、思いを行動に移すために大切な心について、子供たち自身の言葉で言う。
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●3人組の役割演技を取り入れ、みんなが疑似体験できるようにする。
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4 今までの自分をふり返り、学習課題について考えをもつ
●ワークシートに書く活動を取り入れ、自分自身をじっくりと見つめることで、一人ひとりがねらいとする道徳的価値についての自覚を深められるようにする。
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終末
5 教師の説話を聞く
●相手の気持ちや立場を自分のこととして考え、どのような気持ちがどのような行為として表れるのかを考えられるような生活の場面を提示し、授業後も子供が考えたり、家庭で話題にしたりするよう、余韻をもって終わる。
●思いだけでは行動できないけど、人を助けたいという強い思いがあれば、どんなときでも助けられると思いました。これからも、困っている人を見かけたら助けたいです。
●今までは助けたくても行動に移せなかったけど、今日の授業をして、助けたいと思いました。そのためには、勇気を出したり、自信をもって言ったりすることが大切なことだと思いました。
●思いを行動に移すには、助けたい気持ちなどの心が大切だと分かった。もし、困っている人を見かけたら、人と自分の気持ちを考えて行動に移したい。
文部科学省教科調査官・浅見哲也先生からのアドバイス
<授業者・木村彩乃先生とのミニ対談はこちら>
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プロフィール
浅見哲也(あさみてつや)
文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官・国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官/1967年埼玉県生まれ。埼玉大学教育学部卒業後、1990年より埼玉県熊谷市及び深谷市内公立小学校教諭、埼玉県教育局指導主事、深谷市教育委員会指導主事、深谷市内公立学校教頭、小学校校長兼幼稚園長を経て、2017年より現職。どの立場でも道徳の授業をやり続け、今なお子供との対話を楽しむ道徳授業を追究中。
取材・文・構成/浅原孝子 撮影/北村瑞斗