【相談募集中】臨時教員ですが、なかなか採用試験に受かりません
臨時教員として働く男性教諭から「みん教相談室」に相談が寄せられました。採用試験になかなか受からず悩んでいるそうです。これを受け、淑徳大学教授・岡野雅一先生は相談者の教職に対する思いを受け止めながら、試験に向けた対策と心構えをアドバイスしてくださいました。
目次
Q. 憧れの教職ですが、採用試験に受からず悩んでいます
現在、任期付き教員、臨時教員として10年働いてきました。 いまだに採用試験に受からずとても悩んでいます。昨年度は試験直前に要請訪問を行い、学校のために尽力を注いでいたのにという気持ちもあります。今年度は自分の勉強不足もあり合格できませんでした。
毎年一次で落ちてしまい、講師枠の受験で専門科目の筆記だけを受けていますがなかなか受からず…。自分にはこの職業が向いていないのでしょうか? この仕事が好きでずっとやり続け、目の前にいる子供と毎日楽しく過ごしているからこそ、なかなか諦めきれないところがありますが、年齢も年齢なのでとても悩んでいます。 何かいいアドバイスをいただけたら嬉しいです。 ちなみに静岡県を受けました。(Aさん・30代男性)
A. 教職への思いを大切に、面接対策なども強化してみてはいかがでしょうか
A先生、この度は、みん教相談室へのご投稿ありがとうございます。採用試験に受からず、とても悩んでいるとのこと、また、この職業には向いてないのかもと思い始めているとのことですが、そのような状況だからこそ、教職に対する思いを改めて考えてみる必要があると思います。
まず初めに伝えておきたいことは、諦めないでほしいということです。「この仕事が好きでずっとやり続け、目の前にいる子供と毎日楽しく過ごしているからこそ、なかなか諦めきれないところがあります」と書かれていますが、ぜひ、この情熱を持ち続けていただきたいと思います。
私は現在、大学に勤務していますが、その前は小学校に勤務していました。職場の人間関係で悩んだり、仕事がうまく進められずに落ち込んだりしたこともありましたが、そんな時には「自分の仕事は、同僚に気を遣うことではなく、子供に気を遣うことだ」と自分自身に言い聞かせて、乗り越えてきたものでした。焦ること、落ち込むこともあると思いますが、「子供に気を遣うこと」を最優先するとともに、少しずつ前に進んでほしいと思います。
以上が大前提となることですが、このあと、少し具体的な内容に触れたいと思います。A先生のご相談の文面からは、静岡県を受験されていること、教職経験者であることは分かりますが、校種については分かりかねますので、それを踏まえた上で回答させていただきます。まずはこの点について、ご承知おき願います。なお、A先生の教員採用選考試験の選考区分についても、私が勘違いしているようでしたらご容赦ください。
今回、令和5年度静岡県公立学校教員採用選考試験要項を確認してみました。「小学校」「中学校」「高等学校」「特別支援学校」のそれぞれの校種について、選考区分とそれぞれの試験項目について調べてみましたが、どの校種についても、特別選考の中に、「教職経験者を対象とした選考」という区分があります。おそらくこの選考区分だろうと、誠に勝手ながら推察し、この後のアドバイスを進めていきます。
「教職経験者を対象とした選考」の一次試験では、試験項目として、筆記試験である「教科等専門」の他に、「面接試験」も課せられています。A先生のご相談には、「講師枠の受験で専門科目の筆記だけを受けていますが……」とありますが、もし、実際に面接試験も受けているとすると、そのための対策を今後講じる必要があるのではないかと思います。
筆記試験の対策は、自分で問題集などに取り組むしかないと思いますが、面接試験の対策は、ここでは言い表すことができないほど多岐に渡り、練習や訓練を必要とするものです。
「表情や動作に明るさや豊かさがあり、児童生徒から好かれそうか」
「質問の意味を正しく理解し、受け答えができるか」
「円滑な人間関係を築き、周囲と協力して行動することができるか」
等、多くの観点から人物を評価されます。もちろんありのままを出して、自分自身を丸ごと評価してもらうことも大切ですが、面接時の振る舞いや言葉の使い方、分かりやすく話すための整理の仕方など、事前に面接試験の対策を勉強しておくことも必要かもしれません。
また、面接対策は自分一人ではなく、管理職や仲間に協力を得て、模擬面接という形で練習を重ねることも大切です。ぜひ、この点も加味しながら、来年度の受験に向けて準備を進めるとよいと思います。
以上、誠に勝手な推測も含めて述べてみましたが、A先生の現在の教職に対する思いを大切にし、諦めずに夢の実現に向けて進んでもらいたいと思います。陰ながら応援しています。
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。