教室で起きる暴力・暴言トラブル:教師の正しい対応フローとは?

特集
支援を要する子供たちへの適切な対応集

岡山県公立小学校教諭

南惠介

日頃から教室で不適切な行動や事件が起こらないように気を付けていても、実際はトラブルが起こることもあります。
今回は、起きてしまったトラブルにどう対応するべきかのヒントを解説します。問いに対する答えを自分で考えながら、読み進めてみてください。

執筆/岡山県公立小学校教諭 南惠介

トラブル対処イメージ
撮影/浅原孝子

いくつかのステップに分けて対応フローを作る

「教室でいつも暴れる子がいます。暴れるとその子にかかりきりになってしまい、ほかの子に手がまわりません。また、暴力を振るわれたり、暴言を吐かれたりしている子のケアや、保護者への対応が難しく頭を悩ませています。」

こんな状況になっているとしたら、全てを一度に対応しようとしてもうまくいきません。いくつかのステップに分けて考えてみましょう。

1.事件以前の状況を確認する

突発的な(そう見える)事件が起こると、いろいろなことに神経をすり減らし、時間を使い、困った状況に陥ることになります。その子たちも、事件を起こしたくて起こしているわけではなく、ある意味「せざるを得ないからしている」ことが多いのです。

そもそも、いらいらしているその原因は? と教師が考えてみることが大切です。ただその前に、「その子がいらいらしていた」ことに気づいていますか? 

多くの先生方の授業をいろいろな形で見ます。しかし、その授業で先生が子どもたちを見渡している場面を見ることは案外少ないのです。
先生にとって「気になる子」のはずが、授業中一度もその子を見ていないこともあります。突発的に見える出来事も「前触れ」があり、その子なりのストーリーがあります。まずその子を観察してみましょう。
授業の流れや説明のわかりやすさ、活動の多さ少なさ、視覚刺激の多さ、教師の表情、座席の配置・・・。その子がいらいらする原因が思い当たるかもしれません。事件の前にあったかもしれない「いらいら」をできるだけ取り除いていけるように、一つずつ試してみましょう。

2.事件が起こったら、まずは聞き取り対象を整理

事件が起こったら、まずは聞き取りをします。
その子、相手、周囲で見ていた先生や子ども。それぞれにできるだけ詳しく聞き取りをして、メモをとりましょう。
このメモが後で保護者に説明するために重要な役割をもちます。
その際、何がわからないかを明確にしておきます。わからないことはわからない。そうした真摯で嘘のない態度が、保護者の納得と妥協を呼びます。聞き取りの後、個々の対応に移っていきます。

丁寧に聞き取りをしましょう
丁寧に聞き取りをしましょう イラスト/大橋明子

3、その子からは別室で聞き取りをする

頭ごなしに叱っても、何が悪いかわかっていなければ、納得はしません。まずはその子の話をしっかり聞きます。何かその子を困らせる出来事があったはずです。その上で、何が失敗したのかを、「うん、わかるわかる」とそのストーリーを大切にしつつ、「じゃあどうしたらよかった?」「○○くんはどう思っていたと思う?」と聞き、最後に謝りたいと思っているなら「ごめんね」と謝ります。イラストで示したり、「10のうち君はいくつ悪いと思う?」と尋ねたりして、その子なりの謝罪を引き出します。事件によってはそんなふうに優しく聞けないと思うかもしれませんが、高圧的に聞けば聞くほどその子の話を聞くことは難しくなり、押しつければ押しつけるほど、こちらの話はその子には届きにくくなります。もし厳しくしたいなら、その子が納得した時点で「先生はこれが悪いと思う」と毅然と言うようにすればよいのです。

暴れた子の話は、別室で聞くようにします。前述した通り、本人の話は受容的に聞いたほうがよいのですが、周囲の子はそれでは納得しません。周囲の子に、悪いことをしたら叱られる、と感じさせることは大切です。「別室に呼ばれて話を聞かれる」ということは、子どもたちにとっては「叱られる」とほぼイコールです。

4、保護者への連絡は今後の展望とともに

学校での出来事は見えません。悪いことを伝えれば「ずっと悪いのか」と思われます。そしてずっとついているわけにもいかない保護者は途方に暮れ、自信を失い、叱責しがちになります。その後、よくなるどころか悪くなる可能性もあります。起こったことは正直に正確に伝えつつも、「次はこうしてみようと思う」と展望を示すようにしましょう。それは自分への約束でもあります。

5、妥協点を探る

まずは、暴れた子への対応が大切です。
その上で、周囲の子どもにも見守ってもらう、許してもらう、待ってもらう、いろいろな「落としどころ」(妥協点)を探ります。

全てがスムーズにいくわけではありませんが、少しでもみんなが納得するような終わり方ができれば、きっと次につながると私は思います。

『小一教育技術』2017年10月号より

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