小6算数「円の面積」指導アイデア

執筆/埼玉県公立小学校教諭・関裕也
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、浦和大学教授・矢部一夫

本時のねらいと評価規準

(本時4/6時)

ねらい

円を含む複合図形の面積について、既習の求積可能な図形の面積を基にして分割して考え、図や式を用いて説明することができる。(思考力、判断力、表現力等)

評価規準

既習の求積可能な図形を基にして、図や式を用いて説明することができる。

問題場面
下の図で、色をぬった部分の面積を求めましょう。

問題場面

前時までに、円や半分の円、[MATH]\(\frac{1}{4}\)[/MATH]の円の面積を求めることができるようになりました。
この図形の面積を求めることができるでしょうか。

正方形の中に葉のような形があるけれど……。

正方形の一辺を半径とする[MATH]\(\frac{1}{4}\)[/MATH]の円が重なっている図形だね。

重なりの部分を求める公式ってあるのかな?

線を引いて求められる形にして計算したらどうかな。

どのように工夫したら求められるか考えましょう。

本時の学習課題

どのように考えたら、複雑な図形の面積を求めることができるだろう。

見通し

[MATH]\(\frac{1}{4}\)[/MATH]の円と正方形の面積を使って考えてみよう。

[MATH]\(\frac{1}{4}\)[/MATH]の円から直角三角形の面積を引いて考えてみよう。

正方形から[MATH]\(\frac{1}{4}\)[/MATH]の円の面積を引いて求められないかな。

自力解決の様子

A つまずいている子
[MATH]\(\frac{1}{4}\)[/MATH]の円が2つあり、面積も求められるが、その先がどうしたらよいか分からない。

図

B [MATH]\(\frac{1}{4}\)[/MATH]の円と直角三角形を基に考える子
10×10×3.14÷4=78.5
10×10÷2=50
78.5-50=28.5
28.5×2=57 57㎠

図

C 正方形から[MATH]\(\frac{1}{4}\)[/MATH]の円の面積を引いて考える子
10×10=100
10×10×3.14÷4=78.5
100-78.5=21.5
21.5×2=43
100-43=57 57㎠

図

学び合いの計画

複合図形は、既習の図形がどのように組み合わされているのか、見方を変えて考える必要があります。既習の図形にはどのようなものがあったのかを振り返らせ、今回の複合図形の中に見える既習の求積可能な図形を捉えられるようにします。

導入場面で提示された問題場面の図を捉えた活動をもとに、正方形、[MATH]\(\frac{1}{4}\)[/MATH]の円、直角三角形など複数の図形が含まれていることを押さえます。そして、それらの既習図形の面積をたしたり引いたりすれば、求められることに気付かせることが大切です。

図形の組み合わせ方や求積計算が途中であっても、その考え方を全体で補足し、練り上げ、解決できるようにしていきます。

練り上げ段階では、まず直角三角形を使った解決方法(B児)を取り上げ、検討することで、[MATH]\(\frac{1}{4}\)[/MATH]の円と直角三角形を工夫して用いることで複合図形の見方を広げるようにします。さらに、正方形と[MATH]\(\frac{1}{4}\)[/MATH]の円を用いる(C児)ことで “余白の部分”に着目して求積できることに気付かせます。

また、A児のようにつまずいている反応については、[MATH]\(\frac{1}{4}\)[/MATH]の円を重ねると2つの[MATH]\(\frac{1}{4}\)[/MATH]の円の面積をたしたものから正方形の面積を引くと、重なりの部分が求められることに気付かせることにより、誤答を生かそうとする態度も身につけることができます。

このように、既習を活用することにより複数の考え方がもてるようにすることが大切です。これらの過程において複合図形の中に基本図形を見いだし、それらを式や言葉などで表し、求積方法が説明できるようにすることが重要です。

ノート例

ノート例

全体発表とそれぞれの関連付け

B児はどのように考えたのでしょうか。

[MATH]\(\frac{1}{4}\)[/MATH]の円から直角三角形を引けば、色のついている部分の半分の面積が求められます。

この図形の2つ分が答えになります。

正方形に対角線を引いて求めたのですね。
C児は図形をどのように考えていますか。

まず、正方形と[MATH]\(\frac{1}{4}\)[/MATH]の円の面積を求めます。次に、正方形から[MATH]\(\frac{1}{4}\)[/MATH]の円を引くと、はじの白い部分の面積になります。

その引いた図形が2つ分あるので2倍します。最後に正方形からその図形を引けば答えです。

まず周りの白い部分を求めたのですね。
では、A児の考えはどうでしょうか。この後、どのように考えれば求められるでしょうか。

[MATH]\(\frac{1}{4}\)[/MATH]の円を2つ重ねると、中央の色のついた部分2枚分になります。2つの[MATH]\(\frac{1}{4}\)[/MATH]の円の面積から正方形の面積を引くと、中央部分の面積になります。

重なった部分に目をつけるのですね。
では、それぞれの求め方で工夫したところをまとめましょう。

どのやり方も、今までに学習した[MATH]\(\frac{1}{4}\)[/MATH]の円、正方形、直角三角形を組み合わせて面積を求めています。

[MATH]\(\frac{1}{4}\)[/MATH]の円を基にして、[MATH]\(\frac{1}{4}\)[/MATH]の円の面積から引いたり、[MATH]\(\frac{1}{4}\)[/MATH]の円面積を引いたりして求めています。

[MATH]\(\frac{1}{4}\)[/MATH]の円が重なっている部分に着目して、正方形の面積を引いても求められました。

まとめ

面積が求められる図形の組み合わせを考えれば、複雑な図形の面積も求めることができる。

評価問題

下の図で、色をぬった部分の面積を求めましょう。

図

子どもに期待する解答の具体例

正方形から半円2つ分をひいて求めた。
10×10=100
10÷2=5
5×5×3.14÷2×2=78.5
100-78.5=21.5 21.5㎠

図

感想例

  • これまで学習した図形に分けて、それらの部分の面積を求めると、複雑な図形の面積も求めることができました。
  • 他の複雑な図形の面積も、どんな図形の組み合わせになっているのかを考えて、解いてみたいです。

『教育技術 小五小六』2021年8/9月号より

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