【相談募集中】暴言のひどい中学生に、対応策も尽きて限界です

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白梅学園大学子ども学部子ども学科教授

増田修治

特別支援学級で、一人の生徒の授業態度に振り回されて悩む非常勤講師の先生から、「みん教相談室」に思いつめた相談が寄せられました。これに回答したのは、学級崩壊や子供の問題行動について研究されている増田修治先生。「困り感」のある子供の理解が深まる回答と、具体的なアドバイスを紹介します。

悩む先生
イラストAC

Q. 「困った子は困っている子」とわかりつつ、自分のつらさが先に立ちます

今まで別の職種にいましたが、今年度から公立中学の非常勤講師として支援級の教科をもっています。その中の生徒の一人が授業中の暴言が多く、態度も硬化してきて、精神的につらくなってきました。

その生徒は、授業の最初から英語で侮蔑的な言葉を連発し、中指を立てる、こちらの話すことにいちいち口を挟んでくる、他の生徒にちょっかいを出すなどします。

プリントを渡しても放り投げ、ゲーム形式にしても教材を壊そうとするし、書くのが苦手ならタブレットで調べ学習を、と思っても音声機能で侮蔑的な言葉を流したりし、好きなサイトしか見ません。授業内容を考えても、こんな状態で使える手段がどんどん少なくなってくるのもつらいです。

他の生徒は授業を受ける態勢ではいますが、その生徒の発言に乗ることも多く、私はいつも、軽く流しながら話を元に戻す、を何度も繰り返しています。 他の先生もその生徒には手を焼いているようですが、私の授業のときが一番ひどいように思います。

まだ中学生ですし、虚勢を張りたいこともあるだろう、と最初は気にしていなかったのですが、何度も聞いているうちにしんどく感じるようになり、ひどい言葉を使ったときには軽くいなしたり真剣に注意したりしています。

他の先生方は相談したらいろいろ話を聞いてくれて、その生徒に注意したりしてくれているようですが、どんどん生徒の反発が強くなっているような気がします。その生徒の相手をしていると進まないので、私がスルーすることが増えたことも一因かもしれません。

発達障害や支援が必要な子供について、今までそれなりに学んで接してきたりもして、できないことを無理やりさせることはしていないつもりです。

話によると前年度からこの教科が嫌いすぎて暴れたこともあったようです。

『困った子は困っている子』というのはわかりつつ、自分のつらさが先に立ちます。

私はずっと真剣に授業を聞きなさいとは思っておらず、できることを見つけて取り入れていきたいと考えているのですが、授業を考えようとするとその生徒の反発する姿しか浮かばず、気が重くなります。

なんとか年度内もちこたえたいとは考えていますが……。今後どのような心持ちで対策していったらいいでしょうか。(みんみん先生・50代女性)

A. 「認知のゆがみ」がある可能性が。反省ではなく「内省」させることが大切です

『困った子は困っている子』というのは、子供を見る時に視点としては大事だと思います。だからこそ、その生徒のことを大事にしようとしていることが伝わってきます。しかし、ここまで来ると、そうした気持ちが萎えてきますよね。

この生徒の場合、英語が嫌いなのはもちろんですが、二次障害を起こしていると考えられます。そのため、自分を否定的に見ているだけでなく、認知のゆがみを生じている可能性が高いように思います。

つまり、一生懸命対応しているという思いが違って伝わってしまっているのです。

先生が話すことに対して、口を挟んでくることが相手への愛情だと考えてしまったり、ゲーム形式の教材の場合には、自分をバカにしていると感じてしまうのです。相手が誠意を尽くしていることに対して、認知のゆがみがあるため、そのまま受けとめられないのです。

そうした認知のゆがみがある場合には、注意をしても相手の心には届きません。反省させようとしてはダメなのです。むしろ、内省させることが大切なポイントになります。

「私=I(愛)からのメッセージ」として伝え、愛情を込めていく

どうしてそのような行動を取るのかを、まずは丁寧に聞き取ります。その際に、I(愛)メッセージで伝えることが必要です。「私はこう思うけど、君はどう思う?」という私(自分)からのメッセージとして、伝えることです。

「みんなに迷惑だよね。」とか「そういうことは、社会に出て通用しないよ!」と言ったメッセージは、他者メッセージであり、Iメッセージではないのです。

こうした発達に困難さを抱えている子供ほど、「他の人に迷惑をかけるな!」とさんざん言われ続けてきたのですから、そうした言葉が入らないのは当たり前です。むしろ、かなりの否定的なメッセージとして伝わってしまう可能性が高く、余計自己肯定感が低くなってしまうのです。

だからこそ、I(愛)メッセージとして伝え、愛情を込めていくことが大切なのです。

例えば、

「せっかく君に分かるようになって欲しくてプリントを作ったのに、投げられてしまって、私は悲しいなぁ。」

とか、

「君はとてもいい子だと私は思っているんだ。書くのがあまり得意じゃないかなと思ったので、タブレットを使うことにしたのに、音声機能を使って別のことをしているのを見て、がっかりしちゃった。もしかして、タブレットがきらいだった?」

などと、生徒への否定的な言葉を使わずに、先生の気持ちを伝えることです。

「うれしい・悲しい・さみしい・がっかり」などの感情言語をできるだけ使うことです。

内省を促すコミュニケーションで本当の気持ちを引き出す

教師はどうしても、問題行動が起きたときに、反省させようとします。しかし、認知にゆがみが生じている子は、余計に意固地になるだけなのです。

「私は、こう思っているよ!」という一人称で気持ちを伝えていくことで、どのような思い(認知)でいるのかが分かってきますし、これをきっかけとして、「あなたはどう考えたの?」とか「どう感じたの?」という形で、生徒の考えや感じ方を共有することができます。そうした形での積み重ねが、その生徒とのつながりを作っていくのです。

また、本人にできるだけ語らせながら、

「君の気持ちはよく分かったよ。本当はどうしたかったの?」

とか、

「どんなことをしたかったの?」

と聞きながら、自分を見つめさせ、内省させるようにしていくことです。

時間がかかりますが、必ず変わっていくことを信じて関わっていってください。

愛着障害があることも。1対1の関係性で「一番相談しやすい先生」になる

二次障害としての一番の問題は、社会へのマイナスの感情が増幅していくことです。そうしたマイナス感情にアクセスしていくことも大事です。

支援が必要な子は、小さい時から否定的な言葉をかけられることが多いため、愛着障害を持っていることもあるのではないかと思います。

「私の授業のときが一番ひどいように思います」ということからも、女性の先生に甘えたいのかもしれません。そのためには、1対1の関係性を持つことです。愛着障害は、1対1の関係性が持てない障害です。だからこそ、その生徒にとって一番のキーパーソンになることが必要です。

様々なことを決定するのに、他の先生に何か話があったときにも、相談者の先生が中心になって生徒と一緒になって決定するようにすることです。この生徒にとって一番相談しやすい関係になることで、1対1の関係性が持てるようになり、徐々に愛着障害が克服されていきます。

障害を持っている子は、様々な課題を持っています。その課題を明確にし、接し方を変える必要があるのです。時間がかかることは、覚悟してほしいと思いますし、他の先生と対応の仕方を一緒に考えていくことも大切です。


みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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