【相談募集中】子供たちに申し訳なく、教師を続けていく自信がありません

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愛知県公立小学校教諭

八神進祐

「教師を来年も続けていく自信がない」と悲痛な相談が「みん教相談室」に寄せられました。この悩みを受けて愛知県公立小学校教諭・八神進祐先生は、自身の初任時代をふり返って回答しました。その内容をこちらでシェアします。

【相談募集中】力量不足を痛感し、教師を続けていく自信がありませんの
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写真AC

Q. 教師を来年度も続けていく自信がありません…

今年度から公立小学校4学年担任(臨任)で働かせていただいてます。具体的に書くとすればいろいろあるのですが、授業、生徒指導、学級作り全ての面において他学級と比べると大きく劣っていると感じます。

もちろん最初から、全てできるわけはないですし、知識・実践不足などがあるのは承知ですが、このまま続けて子供たちの1年間が無駄にならないか、来年度以降の学習習熟、生活面で困難な思いをさせるのではないかと思うと、辞めたほうがいいのかと考えてしまいます。

本日、児童から、前の先生の方がいいというニュアンスで、前の先生と自分でどっちがいいか戦っているみたいなことを言われ、やっぱり駄目なんだと感じました。聞くと教えてくれる、仕事を負担してくれる、頼もしい先輩教師や環境に恵まれているとは思いますが、教師として役割を果たせてないことに余計に申し訳ない気持ちになります。

一つ一つ向き合って力をつけていくことが解決策だとは思ってはいるのですが、その間にも児童の時間を奪っていると考えるとつらいです。

初任の時、どのような心持ちでいけばいいのでしょう。加えてどんなことを意識して実践されていたのでしょう。 乱文、長文、曖昧な相談失礼しました。このような相談内容でもご返事いただけたら幸いです。(トラ先生・20代男性)

A. 初任時代、私もトラ先生と同じように悩み、悔しい思いをしていました

トラ先生、初めまして。公立小学校に勤務する八神です。大変苦しい状況であるとお察しいたします。私なりに精いっぱい回答させていただきますね。

まず、月並みですが言わせてください。「私もそうでした」。私も初任時代、授業作りや学級経営など、主任の学級と比べると天と地ほどの差がありました。特に異性である女子の支持を得ることができず、子どもたちとはもちろん保護者の方とも信頼関係を築けませんでした。

トラ先生の置かれている状況は、まるで10年前の私とぴったり重なります。 私はこのような状況の時、「申し訳ない」という気持ちを抱くと同時に、心の中で「くやしい!」と叫んでいました。そして、上手くいかないもどかしさに日々、大きなストレスを感じていました。

私は、この壁を乗り越えるためには、≪最終的には≫力をつけるしかないと思っています。≪最終的には≫と付けたのは、≪今は≫トラ先生自身の心と体の安定に専念してほしいと願うからです。

私が思うのは、「子どもたちにとって必要のない先生はいない」ということです。何とかしたいと試行錯誤するトラ先生の姿勢は、子どもたちにとって何よりの生き方の模範となります。また、トラ先生のご相談の文章からは優しさや向上心が伝わってきます。それらはトラ先生自身の成長の種ともいえます。

今は、辛い時期かと思いますが、“もうすぐ夏休み”、“もうすぐ○○行事”、と小さなゴールを定めながら、日々を過ごされるのはどうでしょうか。時には自分にご褒美を用意するのもいいですね。少なくとも、私はそのようにしてきました。

少し心が安定してきたところで、「仕事の借りは仕事で返す」という強い意志をもって、自己研鑽に励みました。具体的には、勤務後に家の近くの喫茶店で教育書を読むなどして、教育観や指導技術の引き出しを増やそうとしました。

また、夏休みや冬休みなどの長期休暇には、自分の弱点をひとつひとつ強化していきました。たとえば、字を丁寧に書けるように美文字練習帳の本を買って、取り組みました。すると、夏休み明けの避難訓練にて、黒板に「ひなん訓練」と書いたところ、子どもたちが「すごい! 上手になってる!」と、私の成長に気付いてくれた出来事は今でも鮮明に覚えています。あの時から徐々に正の循環が回り始めたように思います。

授業においても、主任の先生の板書を手本にしていました。私が真似できるよう、主任の先生が受け持ちの授業を前倒ししてくれたので、その授業の板書の写真を撮り、それを自分の授業に活かすことができ、少しずつ日々が安定していきました。

未熟な私に1年間付き合ってくれた子どもたちには心から感謝しています。彼らが大人になって、もしも再会することがあったとしたら、「少しは成長したね、先生」と言ってもらえるよう、今もコツコツと努力しています。

私もまだまだ発展途上ですので、トラ先生に偉そうに教えることはできませんが、共に歩むことはできます。一緒に成長していきませんか。辛い思いを経験された方ほど、伸びしろはたっぷりだと私は思います。トラ先生の今後の努力と活躍を心から願っています。


みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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