春の保護者は不安でいっぱい。魔法の言葉で信頼関係を作り上げよう!【マスターヨーダの喫茶室】

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山田隆弘
マスターヨーダの喫茶室~

新卒の先生、若手の先生に「今一番たいへんだなあと思うことは何ですか?」
とお伺いすると、ほぼ返ってくる答えが『保護者対応』ということです。
また、『保護者との関係づくり』『保護者面談の方法』と答える方もいます。
これって難しいですよね。
昭和の時代は、
「先生に任せます。先生の思うとおりに思い切りやってください」
と言われて調子に乗ってやらせてもらってました。保護者さんの絶大なる信頼のもと、温かい目でみていただけてました。なんと、昔、そんな時代があったのです。
もちろん、今はそのようなのんきな状況ではありません。
では、どうすればいいのでしょうか。

保護者が欲しているものとは・・・

最近の体験談を一つ。
私には、初めて小学校に入学させる長男のことで頭がいっぱいの親族がいます。

持ち物はこれでいいのか、記名は何にするんだっけ、勉強わかるかなあ、何か準備で足りないところはないのかなあ…。

通っていた保育園から同じ小学校への入学者は誰もいない。相談する人もいない。

不安、不安、不安だなあ。

私は、
「ママの不安さが、○○○ちゃんにうつっちゃうよ」
とアドバイスします。

そして、
「勉強なんてどうにかなるよ」
と、春休みのうちに、通信教材をプレゼントしました。

『ああ、なるほど、こういう勉強なのね・・・。
でも、この子がわからないって言いだしたら、どうやったらいいの?
どんなふうに教えたらいいの? 先生は見捨てず指導してくれるかしら? もし厳しい人ならどうしよう?』

親の悩みはつきません。こんなふうに、親は、未知の世界へ子どもを旅立たせるのがとても不安なのです。

これは新入学児童の保護者に限ったことではありません。どんな学年でも、
【担任がどんな人か】
ということは一番の関心事です。不安で、不安で、仕方がないのだと思ってください。
そして、不安な保護者が最も求めることは? そうです、安心するということです。
担任の不安な気持ちは、必ず保護者に伝播します。
担任は、絶対に、【自信がない】という雰囲気を微塵も出してはいけません。
ポーズでもなんでも構いません。とにかく、自信のなさを見せないこと。これで、信頼関係の糸口はつかめたも同然です。

誠実さと、思いやりと・・・。

お医者さんの世界のことを聞きました。
治療が難しい患者さんに
「助けますよ。安心してください」
と言ってしまっては、もしだめだった場合、患者さん家族の落胆は大きいです。また、逆に
「これはだめですよ。治癒は難しいです」
と言ってしまっては、なぜ、助けようとしてくれないのか、となってしまいます。
だから、
『全力をつくします』
と言うそうです。
『全力をつくします』と言うワードは信頼関係を築く最良の言葉なのでしょう。

まさに、わたしの家族がそういった場面に直面した時がありました。
とある大学附属病院に、わたしの家族が入院したときのことです。
担当をしてくれた准教授のベテラン医師は、患者本人のいる前で、
「治癒率○○%です。難しい状況です」
と言いました。
当然、患者本人もわたしも、相当なショックを受けました。

しかし、准教授が帰ったあと若い助教がそっとわたしたちに言いました。
『医療裁判の関係で、どうしてもそういった赤裸々な治癒率の話をせざるを得ないのです。
でも、わたしは准教授に反対です。もう少し、違う言い方はないのかと思います。
わたしたちは全力を尽くします。どうにかなると考えてください。一緒にがんばりましょう』

わたしは、助教のドクターに感銘を受けました。神様のようにも思えました。そして、なんだか救われた気分になりました。

新入学のイメージ
写真AC

最近、ある遠方に住む知り合いの保護者から、こんなメールをもらいました。

「春から通う小学校に一日体験入学に行きました。すると保護者向けに教頭先生から話があって、
『うちは大きな学校でスタッフが足りないので、勉強がわからなくなってもなかなかフォローできません。ご家庭でよろしくお願いします』
と言われたそうです。私もふくめ、出席していたママたちは、とたんにしょんぼりしてしまいました」

これって、先の准教授と同じではないかと思いました。
その教頭先生は、ある意味誠実で正直なのだと思います。
実際、フォローしきれないのだと、知っていてもらいたいのでしょう。そして、学校だけで学力向上の保証はできないから、ぜひご家庭の協力が必要だという、ごくごく当たり前のことを、ストレートに言ったつもりだったのでしょう。

でも、この話を、そばにいた教員に話したところ、ぽつりと

「それって学校の敗北宣言じゃん」

と言いました。
私もそう思います。
同じことを言うにしても、相手がどうとらえるか、相手がどうがんばることができるかなどを考慮して話していくべきです。

「わたしたちも全力を尽くしますが、ご家庭の協力も大切です。ぜひ、一緒になって学習のサポートをお願いします」
もしこう言ったなら、保護者の受け止め方も、ずいぶん違ったのではないでしょうか?

1年生担任のミラクルワードがあります。
子ども向けには『だいじょうぶ』
保護者向けには『お子さんはだいじょうぶです』
というものです。たったこれだけで、相手の心は落ち着きます(ほんとうはだいじょうぶではないかもしれませんが…)。
根拠がない、とか言わないでください。全力をつくすという姿勢の表明であり、教師の自信の表れであり、そして相手の気持ちに寄り添う言葉だと思います。

また、保護者は不安なので、学級通信など、様々な手段で伝えているにもかかわらず、電話で「これはどうなっているのか?」と尋ねてくることが、往々にしてあります。
いやあ、またかと思うこともありますが、ここは丁寧に応えてください。
頭では理解しても、心に不安が残っているのです。 保護者は安心したいのです。 ここが信頼関係の作りどころだと思いましょう。

そして、何回も続くようだったら、
「学級通信でお知らせしたつもりでしたが、わかりにくかったようで申し訳ありません」
と言うと、あとはきちんと見ていただけるようになります。

年度当初は、とにかく安心してもらい、信頼を得ることが大事です。
「全力をつくす」。一生懸命取り組んでいる姿を見せて、保護者に安心してもらうこと。
そして、相手の気持ちを考えたことばを選んで接していけば、
「だいじょうぶ!」
です。


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山田隆弘(ようだたかひろ)
1960年生まれ。姓は、珍しい読み方で「ようだ」と読みます。この呼び名は人名辞典などにもきちんと載っています。名前だけで目立ってしまいます。
公立小学校で37年間教職につき、管理職なども務め退職した後、再任用教職員として、教科指導、教育相談、初任者指導などにあたっています。
現職教員時代は、民間教育サークルでたくさんの人と出会い、さまざまな分野を学びました。
また、現職研修で大学院で教育経営学を学び、学級経営論や校内研究論などをまとめたり、教育月刊誌などで授業実践を発表したりしてきました。
『楽しく教員を続けていく』ということをライフワークにしています。
ここ数年ボランティアで、教員採用試験や管理職選考試験に挑む人たちを支援しています。興味のあるものが多岐にわたり、さまざまな資格にも挑戦しているところです。

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