これから先生になるあなたへ⑤授業が変われば子供は変わる|樋口綾香のすてきやん通信

Instagramでは2万人超えのフォロワーに支持され、多くの女性教師のロールモデルにもなっている樋口綾香先生による人気連載! シリーズ『これから先生になるあなたへ』第5回は、授業の大切さについてのお話です。
執筆/大阪府公立小学校教諭・樋口綾香

目次
授業は年間900時間を超える
担任をしているとき、私は毎日がとても充実していました。それを感じるのは、子どもたちの話を聞いているときでした。
放課後や休み時間には、たくさんの子が話をしに来てくれます。休み時間や週末にしたこと、習い事のことなど、いつも他愛もない話だったのですが、あるとき、その話の内容が大きく変わったことがありました。
「今日の授業、おもしろかった」
「今日初めて○○を知ったよ」
それは、その日行われた研究授業の内容を振り返る声でした。
子供たちは、1日に5~6時間の授業を受けます。年間では900時間を超えます。この900時間が、楽しいものであるか、つまらないものであるかで、学校生活が大きく変わることは、想像に難くありません。
初任であった私は、子供たちに楽しく学校生活を送ってほしいと願っていました。しかし、毎日の授業は“指導書通り”であったり、“ありきたりな活動ばかり”であったりして、十分に授業を構想できているとは言えない状況でした。
授業が変われば、子供は変わる
1年目は、毎日のルーティンをこなすことにいっぱいいっぱいで、十分に教材研究をしたり授業づくりを学んだりすることができませんでした。いや、その価値を分かっていなかったために、時間をつくり出そうとしていなかったのかもしれません。
しかし、経験を重ねると、「授業力」や「学級経営力」が子供たちの人間形成にも影響することを、少しずつ実感していきました。
授業の中で、どの子も積極的に参加できる工夫をしておけば、学習に取り組む姿勢は活発になり、学級の雰囲気は変わります。
勉強が苦手な児童を取りこぼさない手立てを準備しておけば、少しずつその子の苦手意識は改善されていきます。
教材研究を熱心に行えば、子供の発言の気づきに反応できます。それは些細なものかもしれません。でも、子供がどうやって気づいたのか、どこに着目したのかを瞬時に理解して、子供の頑張りを認めることができるようになるのです。
褒められたり認められたりすることで、子供は大きく伸びていきます。
授業の中で、子供たちは、粘り強く問題に向き合うことを学んだり、自ら問題を見出したりするようになります。