ICTを有効活用し、インターネットの危険性とどう向き合うのか

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沼田晶弘の「教えて、ぬまっち!」
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国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭

沼田晶弘

子供たちの自主性を引き出す斬新でユニークな実践が話題の「ぬまっち」こと、沼田晶弘先生 。今回は、ICT教育について、その可能性をどう感じているのか、またインターネットを活用する上で子供たちにどう注意を促せばよいのか聞いてみました。

沼田晶弘先生

ICT活用で子供の学びは確実に広がる

コロナがきっかけではあるものの、日本のICT教育は急速に加速した。

ボクは、ICTの活用は子供の学びの機会を確実に広げると思っているし、コロナが収束しても、デジタル教材やオンライン授業は今後も有効に活用していくべきだと思っている。

例えば、遠くにいる人とリアルタイムでつながることができるのは、オンラインの醍醐味だよね。

いろいろな業種の人の話を聞かせたいという時にも、オンラインならわざわざ学校に来てもらったり、子供たちを長時間移動させたりする必要はないし、現地の様子をリアルタイムで見せてもらいながら、双方向で会話もできる。調べもの学習についても、絵や写真だけでなく、動画も観られるから、面白いし、よりイメージが湧きやすいのは確か。

タブレットも辞書もいつでも使える場所に置いておく

ICTをより有効活用するためには、使いたいと思った時にPCやタブレットがすぐに使える環境をつくることが大事だと思っている。

辞書も同じだよね。調べたいと思った時に、すぐそばにないと結局辞書を使わず、辞書をひく力も伸ばせない。

ちなみにボクは、国語以外の授業でも辞書を大いに活用してもらいたいと思っているので、子供たちにはすぐ手に届くところに辞書を用意させている。

問題は辞書の保管場所だ。机の中は教科書や道具箱があるので入らない。使う度にロッカーまで取りに行かせるのも大変だ。そこでボクのクラスでは、まず購入したときについている外箱は捨ててもらう。辞書を使っている時に外箱の置き場所に困るし、とにかく何度も使いたいので、いちいち箱に戻す時間がもったいないからだ。

そして取っ手のついた布の辞書カバーを保護者に用意してもらい、机の横にかけさせている。そうすれば外箱や狭い机の中にしまう必要もないので、取り出しや片付けもスムーズになり、使う頻度が多くなる。

タブレットも身近にあれば「すぐに使ってみよう」「タブレットで調べてみよう」と思うはず。辞書もタブレットも、思い立ったときにすぐに手の届く場所にあり、いつでも使える状態になっているのが理想だ。

手作りの辞書カバー。
手作りの辞書カバー。取っ手が付いていることで、机の横にかけられ、いつでも使うことができる。

ICT活用の危険性はあらかじめ子供にも伝えておく

子供にタブレットを渡すと、休み時間ずっとゲームしているとか、自宅で動画ばかり見てしまうとかいろいろ問題はあると思うけど、そうした問題を改善するよい方法はないかなといつも考えている。

「問題が起きるのでは?」と不安に思う気持ちもわかるけれど、どんなに遠ざけようとしても、子供たちはデジタルネイティブの世代なわけで、常にインターネットがある環境で生きていかなくてはならない。
だからルールや制限で縛るよりも、どんな危険があるのかきちんと伝え、どうすればそうした危険から自分を守ることができるのか、もし失敗してしまったときにはどうすればよいのか教えることが重要なんじゃないかな。

また、すべてを禁止するのではなく、学習に役立つゲームや動画をいくつかあらかじめ調べておいて、「これなら使ってもいいよ」「これは面白いからお勧めだよ」と、ある程度選択肢を与えてもいいんじゃないかなと思っている。

ICT教育とネットリテラシーはセットであるべき

調べもの学習でパソコンやタブレットを利用するとき、不適切な情報が表示されない子供向けのフィルタリング機能が付いた検索サイトを使うという方法もある。

でも結局はフィルタをかけるにしても制限があるから、それよりも何が危険で、何がダメなのかを説明し、自ら気をつけられるようにすることが大切だと思っている。だからインターネットを学校で使う時には、事前に時間を割いて注意点をしっかりと伝えるようにしている。

例えば子供たちには次のような注意点を伝えた。

  • 必ず更新日時を確認すること。古い情報は使えないものも多い。
  • ネットの情報が必ずしも正しいとは限らないので、複数のサイトを見て確認すること。
  • 検索機能を使うとき、見たことがない表示が出たり、ちょっとでもおかしいと思う表示があるときにはクリックしない。気付かずにクリックして課金されてしまうなどのトラブルを避けるため。
  • 間違って押してしまったり、困ったことがあれば、必ず大人に相談をする。自分で対処しようとしないこと。

ICT教育とネットリテラシーはセットであるべき。インターネットをどう使い、その世界にある危険からどうやって自分の身を守るのか、子供たちと一緒に考えながら、スキルとリテラシーを身に付けさせてあげたいと思っている。

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沼田晶弘先生
沼田晶弘先生

沼田晶弘(ぬまたあきひろ)●1975年東京都生まれ。国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカ・インディアナ州立ボールステイト大学大学院にて修士課程を修了。2006年から現職。著書に『板書で分かる世界一のクラスの作り方 ぬまっちの1年生奮闘記 』(中央公論新社)他。 沼田先生のオンラインサロンはこちら>> https://lounge.dmm.com/detail/2955/

取材・構成・文/出浦文絵

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