小学国語「構造的板書」の工夫とコツ(世界でいちばんやかましい音/千年の釘にいどむ)

スッキリした分かりやすい構成で、子どもたちに伝わりやすい板書の書き方を目指す本シリーズ。今回は、小五の国語の「世界でいちばんやかましい音」「千年の釘にいどむ」をテーマにして、 樋口綾香先生(大阪府公立小学校教諭)に、 短冊や張り物を活用したり、生徒に黒板を一部開放するテクニックを解説していただきます。

目次
国語スキル1:短冊や貼りものを有効に使う
短冊は、画用紙やホワイトボードシートを短冊形にカットします。多めに用意しておくと使いたいときにすぐに使えて便利です。短冊の裏面に、カットされた粘着剤つきのマグネットシートを貼れば、簡単に黒板に貼ることができます。
短冊のよさは、何といっても手軽なこと。そして短冊に書いた文字が目立つということです。
◆ 何を書けばいいの?
短冊には、目立たせたい言葉や、課題を解決するために必要な事柄を書くのがよいでしょう。例えば、「用語」や「観点」などです。何を考えればよいか、どう考えればよいか、分かりやすく示すことができます。
物語の挿し絵や説明文の写真や図など、読みを深めるために重要なものがあります。それらを黒板に貼ることで、子供の思考の助けになったり、考えが豊かになる手立てとなります。

「世界でいちばんやかましい音」(東京書籍 五年)
この教材では、物語の構成を捉える力、山場に起きた変化について考え、感想を伝え合う力をつけることが目標です。構成や山場を捉えるために、めあてを「ぼう頭と結末を比べよう」と設定します。
ぼう頭や結末は大切な言葉なので、短冊に書いて貼ります。また、冒頭と結末の何を読み比べるのか明確にするために、観点である町の音、自まん、立て札を短冊で示し、黒板に貼ります。冒頭と結末を二段の表で対応できるように書くと、板書が構造的になり、表現を比べやすくなります。
本文の叙述をもとに比べると、冒頭と結末の表現が真反対の表現になっていることに気づきます。そこで、「どうしてこんなに変わったのだろう?」と発問します。すると、主人公の様子やくり返し表現に着目し、山場の場面に迫る子供たちの姿が見られます。ペアやグループで話し合わせることで、自分の考えと友達の考えを比べ、より深く読む子が育つでしょう。教師は発表したことを板書し、出た意見から「山場」の定義を押さえます。そして、もう一度本文に戻り、山場に起きた変化を確認します。振り返りには、比べて分かったことを書かせましょう。