お笑い初任研10「宿題の多い少ない」【コント&解説】
現役教員同士のお笑い芸人コンビ・オシエルズのコントと、みんなの先輩・公立小学校教諭の佐々木陽子先生の解説で、新人教師がついやってしまいがちな現場のNG事例について楽しく学べる「お笑い初任者研修」の時間です! 公的な研修ではなかなか教わらないような、痒いところに手が届く、超実践的な内容でお届けしていきます。
今回は、学習課題の量に関する基本的な(でもとても大事な)ルールについて学んでいきましょう。ある日の職員室、新人の野村先生が宿題の丸つけを早々と片付けて喜んでいます。学年主任の矢島先生が感心していますが、じつはその裏にはある理由が……。
目次
保護者の苦情にきちんと対応したまでですが…ダメでした!?
新人 よっし、終わった〜! 今日は早く帰れそうだなぁ〜♪
先輩 お、野村先生、いいじゃないですか〜! 仕事が早いですねぇ。
新人 ええ、やっぱり宿題を少なくするとこっちの作業も楽でいいですね〜!
先輩 えっ!? ちょっと待って。宿題の量を勝手に変えてるの?
新人 はい、保護者から「宿題が多すぎる」っていう苦情があったので、宿題を少なくしました。
先輩 ダメだよ〜!!
新人 え、そうなんですか!? 先月は「宿題が少なすぎる」っていう苦情があったので、宿題を増やしておきました!
先輩 おいおいおい! そんな宿題を多くしたり少なくしたりしたら、保護者も子供も混乱するだろう?
新人 先月は、漢字ドリル30ページ分、20回書き取りさせました!
先輩 スパルタだなぁ(驚愕)! それやってきた子供いるの!?
新人 ハハハ、さすがに全員ギブアップでしたね〜(笑)!
先輩 なんで笑ってんだよ! じゃあ、今日集めた宿題は何をさせたのよ?
新人 計算問題2問です。
先輩 2「問」!? 「ページ」じゃなく?
新人 はい!
先輩 2「問」!! そりゃさすがに少なすぎるだろう!
新人 じゃあ、保護者から宿題の量について苦情があった場合、どうしたらいいんですか!?
先輩 宿題の量については、
「学習進度や提出率を考慮して学年で取り決めています。」
と伝えた上で、
「ご意見ありがとうございます。学年として検討します」
と言っておこう。
新人 ほう…
先輩 とにかく、自分で勝手に宿題の量を変えたりしないでね。
新人 なるほど。すみません、ご迷惑をおかけしました!
先輩 いいんだよ、いいんだよ。まぁ…君を立派な教師に育て上げるっていうことが、私にとっての宿題なのかもしれないね。ハハハ!
新人 矢島先生…!!
…それ、どういう意味ですか?
先輩 なんでわかんねぇんだよ(怒)!?
佐々木先生のコメント
いや〜、いかがでしたか? 野村先生、宿題が早く終わるといいですね!
宿題の問い合わせって、結構ありますよね。
そもそも、「宿題はいらない」というご意見もあるくらいです。
保護者からの指摘があったからといって、勝手にその都度、宿題の量や有無などを決めてしまっては、保護者から見ても「言った者勝ち」になってしまいます。
保護者のご意見をしっかり聞いた上で、必ず学年間で情報を共有し、宿題を学校としてどうしていくのかを考えて保護者に伝えていきましょう。
それでは、みなさん、またね〜♪
佐々木陽子
小学校教諭。著書に『クラスがまとまる!小学1年生学級づくりのコツ』(ナツメ社)、『子どもの心をガッチリつかむ!とっておきの教室トーク&学級経営ネタ60』(明治図書出版)ほか。一児の母。
オシエルズ
2013年3月結成。現役教員の矢島ノブ雄(写真左)と野村真之介(写真右)によるお笑いコンビ。お笑いライブのネタやMCの出演だけでなく、企業や子どもを対象にしたワークショップ・講演・研修などを行っている。2014年11月、矢島が代表となり「FUNBEST」を設立。矢島は一般社団法人 日本即興コメディ協会 代表理事。YouTube「オシエルズチャンネル」では、漫才・コントの他、笑いのテクニックやコミュニケーションスキルについての解説動画などを発信している。