学級活動で学ぼう! SNSと対面コミュニケーションの違い【6年3組学級経営物語20】
通称「トライだ先生」こと、3年目教師・渡来勉先生の学級経営ストーリー。今回は、心を繋ぐコミュニケーション」にトライします。
渡来先生のクラスの児童が、SNSで炎上トラブル。教師たちは、SNSでのコミュニケーションに関する指導に乗り出します。SNSも含め、コミュニケーションの適切なとり方は、学級づくり、絆づくりにも通じます。さあ、「心を繋ぐコミュニケーション」にレッツトライだ!
文/大和大学教育学部准教授・濱川昌人
絵/伊原シゲカツ

1月②「心を繋ぐコミュニケーション」にレッツトライだ!
目次
<登場人物>

トライだ先生(渡来勉/わたらいつとむ)
教職3年目の6年3組担任。 真面目で子ども好きの一直線なタイプ。どんなことでも「トライだ!」のかけ声で乗り越えようとするところから、「トライだ先生」とあだ名が付く。今年度は、新採のメンターも務める。特技は「トライだ弁当」づくり。

しずか先生(高杉静/たかすぎしずか)
6年1組担任で、学年主任2年目、教職11年目の中堅女性教諭。ベテラン教諭に引けを取らないリーダーシップぶりは、剣道五段の腕前に依るところも。一児の母、子育てと仕事の両立に日々奮戦中。

オニセン(鬼塚学/おにづかまなぶ)
教職生活5年目の6年2組担任。祖父と父が有名校長で母も教師という教育一家出身。イケメンでなおかつ優秀な成績で教育大学を卒業したという、典型的な〝オレ様〞タイプの教師。学級内のトラブルに十分対応できず、再び5年担任を任じられた昨年度、しずか先生率いるチームに育てられ、渡来先生とぶつかりながらも今や切磋琢磨しあう良き仲間に。

イワオジ先生(大河内巌/おおこうちいわお)
教職20余年の経験豊富な教務主任。一見いかついが、 温かく見守りながら的確なアドバイスをしてくれ、 頼れる存在。ジャグリングなど意外な特技も。
動き出す小中連携
「小中学校で連携したお陰で、素早く解決できました!」
翌々日の会議室。6年の先生方に、感謝を伝える中学校の大隅先生。謝意を返す高杉先生は、続いて昨日の取り組みについて述べ始めました。
「マリたちだけでなく、6年全体にSNSを適切に活用する力を育てようと我々は考えました。昨日、各自で考えてきた指導法を検討。その時、さらに根本的な視点を鬼塚先生が提案して…」
身を乗り出す大隅先生に、丁寧に説明をする鬼塚先生。
「確かにSNSの適切な活用は、大きな教育課題。だが情報機器の発達が、コミュニケーション形態を大きく変え始めている。そのことに着目すべきだ。デジタルな方法も含めた未来のコミュニケーションのあり方、…つまりソサエテイ5.0時代に必要な資質・能力の育成を図るんだ」・・・ポイント1
「なるほど、勉強になるな…。それで具体的な手立ては?」
前のめりになっていく大隅先生に、高杉先生が答えます。
「心を繋ぐコミュニケーションのあり方を、カリキュラムマネジメントで学ぶ。具体的には、道徳、総合的な学習、学級活動の実践を考えています。SNS活用に限定せず、豊かなコミュニケーションのあり方を考えさせていきます」
満足そうに頷くと、大隅先生は勢いよく立ち上がりました。
「素晴らしい、これこそ生徒指導だ。中学校でも取り組みます。学級活動で意思決定です!」
そう言うと、大隅先生がニッコリ笑いました。
ポイント1 【 ソサエテイ5.0 】
経済発展と社会的課題の解決を、デジタル革新やイノベーションを最大限活用することで目指す我国が提唱する未来社会のコンセプト。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に次ぐ第5の社会として、「Society 5.0(ソサエティー5.0)」と名付けられました。
参考記事⇒「ソサエティー5.0とは? 教育、学びはどう変わる?」