子供の言語化能力を伸ばす3つの言葉とは?|沼田晶弘の「教えて、ぬまっち!」
子供たちの自主性を引き出す斬新でユニークな実践が話題の「ぬまっち」こと、沼田晶弘先生 。今回は、ぬまっち先生が「教室でよく使う言葉」と、「使わない言葉」について、その理由とともに詳しく聞きました。
目次
子供の言語化能力と相手意識を育てる3つの質問
ボクが教室でよく使う言葉は、
「何それ?」「どういうこと?」「もう一回言って」の3つ。
どういうときにこれらの言葉を使うのかというと、まずはボクが知らないことを子供が話したりやったりしているとき。もしくは、だいたいは理解できるけれど、食い違っていると困るので確認したいとき。
そして、理解はできるけれど、子供たちがあいまいな言葉を使って話しているようなときにも、「どういうこと?」と質問を投げかけるようにしている。
なぜなら、子供たちには自分の頭で考えていることを相手が分かるように伝える力、つまり言語化する力を伸ばしてほしいと思っているから。
そして、子供のコミュニケーションスキルを上げるためにも、「相手意識」を持つことが重要だと思っているからだ。ここで言う「相手意識」は、子供も教師もお互いに必要。子供には相手に分かりやすい言葉を選んだり、相手が喜ぶような話し方を工夫させたりして、教師も子供の多様な価値観を認め、理解しようとすることが大事だと思っている。
教師が先回りして解説してしまうと子供の国語力が身に付かない
子供たちの表現は分かりにくいことが多く、つい教師が「それってこういうこと?」と先回りして解説してしまうことがある。でもそれでは子供の言語化能力は伸ばせないし、国語力も身に付かないだろう。
だからボクは子供に具体的に説明することを求めるようにしている。
ただし、「どういうことかちゃんと分かりやすい言葉で説明しなさい」などと言ってしまうと、子供たちはプレッシャーを感じて逆に説明しづらくなってしまうこともあるだろう。会話を楽しめず、コミュニケーションが成り立たなくなってしまうかもしれない。だからできるだけカジュアルな言葉で質問し、「君の言っていることに興味があるんだよ。だからもっと教えて」という姿勢で対話するようにしているんだよね。
「いい質問ですね」はNGワード
逆に、教室で使わないようにしている言葉は、「いい質問ですね」や「いまいいこと言ったね」というセリフ。
なぜならそれはボクにとって「いい質問」だったり、「教師にとって都合のよいこと」に過ぎないから。
こういうセリフを発すると、子供たちは教師にとって都合のよいことを言えばいいのだと理解してしまい、自分で考えることをやめてしまう。子供の自由な発想や表現力を引き出すためにも、「いい質問ですね」はボクのNGワードなんだ。
教室でも自宅でも「忙しい」という言葉は使わない
「忙しい」「時間がない」という言葉もあまり言わないようにしている。
子供にも「ぬまっちって、本当に忙しいって言わないね」とよく言われる。だから「だって暇だもん」と答えたりするよ(笑)。
「忙しい」と言わないのは、「忙しい」と言うことすら無駄な時間だと考えているから。
そんなことを誰かに言う時間があれば、別のことを考えてたほうがいいと思っている。
確かに時間が足りないと思う気持ちは分かるけれど、自分の24時間をよくふり返ってみると、結構無駄なことに時間を使っていたり、ダラっとしているタイミングもあったりするはず。
「どうしてこんなに忙しいんだろう」とネガティブな思考に陥る前に、時間を有効に使うことにエネルギーを注いだ方が、ずっと有意義な毎日を送れるはずだ。
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沼田晶弘(ぬまたあきひろ)●1975年東京都生まれ。国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカ・インディアナ州立ボールステイト大学大学院にて修士課程を修了。2006年から現職。著書に『板書で分かる世界一のクラスの作り方 ぬまっちの1年生奮闘記 』(中央公論新社)他。 沼田先生のオンラインサロンはこちら>> https://lounge.dmm.com/detail/2955/
取材・構成・文/出浦文絵