体育の授業目的と方法を再定義する【あたらしい学校を創造する #19】

先進的なICT実践と自由進度学習で注目を集めた元・小金井市立前原小学校教諭の蓑手章吾(みのて・しょうご)先生による連載です。公立学校の教員を辞して、理想の小学校を自らの手でつくるべく取り組んでいる蓑手先生に、現在進行形での学校づくりの事例を伝えていただきます。今回は、体育の授業目的と方法についてお話ししていただきました。

目次
全員に走ることを強いない体育
ヒロック初等部での授業の進め方として、基礎的学習については自由進度学習で行うという話をしてきました。ここまでは国語や算数などの教科を念頭にお話ししていたわけですが、体育の授業はどうするのかという話を、今回はしてみたいと思います。
今の学校で体育というと、公立私立を問わず、サッカーや野球、鉄棒や跳び箱といったスポーツのコンテンツを学習する内容になっています。ヒロックの体育では、それよりも、体の動かし方や自分の筋力を知るといった、いわば「ボディー・イメージをつかむ」ことに力点を置いていこうと考えています。そして何より、体を動かすのが嫌いにならないようにすることを最も重要視したいと思っています。そう考えると、やらない競技もかなり出てくるんじゃないかなと思っています。
もし鉄棒をやりたい子がいたら、スクールの近くの公園でやることはできます。でも、全員で鉄棒をする必要はありません。走りたい子は走る練習をしていいけれど、全員にそれを強いるつもりはないというのが、ヒロックの体育のスタンスになるわけです。
また、サッカーボールを蹴ったり、バットを使ってボールを打ったりといった道具を扱う動きは学習しますが、必ずしもサッカーや野球の試合をするわけではない。そこは子供の選択に任せようと思っています。そもそもヒロックに所属する子供の人数が少ないので、ゲームが成立しないものもあります。
