楽しい思い出いっぱいに!〈小2〉学年末イベント&演出アイデア

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入学以来2年間(令和3・4年度)をコロナ禍のなか、学校生活を送ってきた二年生は、例年通りの行事や楽しいイベントを経験しづらい状況にありました。そんな二年生の学年末には、どんなイベントを開催して送り出してあげればよいでしょうか。経験豊富なベテラン教員が解説します。

執筆/兵庫県公立小学校校長・俵原正仁

ピークがないならつくりましょう!

今までなら、三学期の終わりに、「1年間の思い出アンケート」をとると、どの学年でもたいてい運動会という回答が入っていました。つまり、1年間のピークは運動会だった子が相当数いたということです。

でも、コロナ禍の影響でここ2年間は、今までと同じような運動会を開催した学校は少ないと思います。本校の例でいえば、現在(令和3年度)の二年生はフル装備の運動会をしたことがありません。つまり、例年ならピークになるはずの行事を体験したことがないということです。同じような状況の学校も多いのではないでしょうか。

そこで、提案するイベントは、「春の大運動会!」です。

春の大運動会でリレー競技をする子供。

名前は大げさなほうがイベントは盛り上がるので、「大運動会」となって いますが、コロナ禍による中止、縮小などでできなかった運動会の種目をクラス単位や学年単位で行うというイベントです。

私の学校の場合、例年、運動会では「走競技、表現運動、競争競技」の3種目を行っていましたが、本年度(令和3年度)は規模を縮小して、「走競技と表現運動」のみの実施でした。昨年度(令和2年度)は中止でしたので、この子たちは小学校に入ってから一切「競争競技」をしたことがないということになります。

それならば、やり残しがないように、やらせてあげましょう。その競技は……

玉入れ競技を楽しむ子供たち。

これで、例年行っている玉入れを体験しないまま、中学年になるという事態を回避することができました。しかし、ここで終わってしまえば、「大運動会」の名が廃ります。

楽しいリレーも追加します。ちょっと変わった俵原激推しの「エンドレスリレー」です。

「エンドレスリレー」の解説イラスト1(最初のフォーメーションについて)
「エンドレスリレー」イラスト解説2(1周走ったら、次走者にバトンタッチ)
1周走ったら、次走者にバトンタッチします。
「エンドレスリレー」イラスト解説3バトンを渡したら、スタート地点のかごから紅玉を一つ取ります。
バトンを渡したら、スタート地点のかごから紅玉を一つ取ります。
「エンドレスリレー」イラスト解説4(中央にある自分のチームのかごの中に紅玉を置いたら、次走者の列に並ぶ)
中央にある自分のチームのかごの中に紅玉を置いたら、次走者の列の最後に並びます。

5分走ったら終了です。1回走ったら終わりではなく、時間がくるまでエンドレスに走り続けます。終了したときの中央のかごの紅玉の数が各チームの得点になります。

このリレーのよいところは、スタートの位置がそれぞれ違うので、一見どこが1位でどこが最下位か分からないところです。最終的な結果も、周回遅れが1回あったとしても、1点しか差が開きません。勝敗の差が分かりづらいのです。自分のチームの友達を力いっぱい応援しながら、最後まであきらめずに時間内に何回も走ることで、運動量もそれなりに確保することができます。

もし時間の余裕があって、表現運動も行えば、これで「フル装備」の運動会を体験したことになります。やり残したことはなくなります。これらの様子を撮影して、お家に持って帰れば、保護者のみなさんも大喜びするはずです。

最後の最後にピークをつくり、これで、子供たちの1年間の印象もばっちりです。

絶対に負けられない戦い

1年の総まとめとも言える三学期のこの時期、本当は、子供たちから声が上がり、子供たちが中心になって、イベントが開催されることが理想です。もちろん、その理想ができるのなら、それに越したことはありません。

ただ、現実問題として、子供主導では子供主体のイベントができそうにない場合は、教師がガンガン前に出ていく必要があります。

一番いけないのは、子供たちにそのような力が付いていないのに、中途半端に子供たちに丸投げしてしまうことです。その結果、楽しくない(または一部の子だけが楽しい)イベントになってしまい、1年間の印象が「つまらなかった」になってしまいます。

あくまでも、学年末のイベントの一番の目的は、「楽しかった!」という思い出を全ての子供につくることです。ブラックな言い方をすれば、子供たちの自主性を育てるという教育目標は二の次になります。もちろん、主役は子供たちです。教師主導で子供主体のイベントを開催すればよいのです。最後のイベントは、絶対に負けられない戦いなのです。

イラスト/浅羽ピピ

『教育技術 小一小二』2022年2/3月号より

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