やる気がない若手の力を伸ばすには【現場教師を悩ますもの】

「教師を支える会」を主宰する『現場教師の作戦参謀』こと諸富祥彦先生による連載です。教育現場の実状とともに、現場教師の悩みやつらさを解決するヒントを、実例に即しつつ語っていただきます。
目次
【今回の悩み】若手のやる気が見えず、手助けしないと物事が進まない
今年異動してきた若手の先生のやる気がなく、仕事の段取りが悪いのに困っています。覇気も感じられません。何事も私が手伝わないと進まず、このまま教員をしていても伸びると思えないのですが、どう関わっていけばいいでしょう。
(小学校主幹教諭・50代女性)
教員採用の変化で、やる気のない若手が増加
日々のご苦労をお察しします。これは今、教員採用試験の合格倍率が下がり、ハードルが低くなってきていることの弊害と言えるでしょう。私がさまざまな教育現場を回っていても、その関連性に言及する先生は多いです。
もちろん今だって希望に燃えて先生になる人は多くいるのですが、その一方で「先生でもやるか」という、モチベーションのはっきりしない人が試験に合格して、先生として現場にやってくるケースが増えているようです。どんなに倍率が下がっても、毎年の採用枠を埋めて、現場を回していかなければいけないという現実があるわけです。
それでも、困った若手にあまり厳しいことを言ってやる気を失わせるのは、先輩教員としては好ましくありません。それに、たとえ「なんで採用したんだ」「教師に向いていないんじゃないか」と思うような人が来たからといって、自分から辞めるところまで追い込んでいいわけはないでしょう。
かといって、現場のことを考えると、急いでその先生の力を伸ばさなければいけないという現実もある。そんなジレンマの中で、この質問者の先生も悩んでおられるのでしょう。