マンネリ化してきたら ひと工夫!日記指導
思考力、表現力、言語力など、日記を継続して書くことで育つ力はたくさんあります。ここでは、日記指導がマンネリ化してきたときのひと工夫を紹介します。
執筆/東京都公立小学校主任教諭・佐々木陽子
目次
日記指導のよさ
日記を書くことを宿題にしている学級も多いかと思います。日記を継続して書くことで育つ力はたくさんあります。
さらに自分の思いや意見を書くことで、自分の考えを整理することができます。
また、低学年から書いていると、文章の構成もしっかり身に付いていきます。
慣れていない子には、例えば、
- 大まかに書く
- 詳しく書く
- 自分の気持ちを書く
という定型の形を教えるだけで、文章が書きやすくなります。中学年だからと難しく考えず、超簡単に文を書くことを意識させましょう。
- 昨日、誕生日会がありました。
- 友達からお菓子のプレゼントをもらい、一緒にケーキを食べました。
- とってもうれしかったです。
国語科の学習でも、はじめ・中・終わり=序論・本論・結論という文章構成を学びます。その他、5Wに沿って情報を整理することもオススメです。
このように基本的な文章構成や書き方を理解し、自分の思いや考えを自由に表現できることは、大きな力となるでしょう。
日記が楽しくないなら
日記指導を進めていくうえで、「楽しくない」「書きたくない」といった声が子供たちから出てくることもあるかもしれません。
日記を継続してやっているとマンネリ化したり、ネタに尽きたりして、モチベーションが下がるときもあります。
時系列で書いたり、起承転結で書いたり、習った文章の構成で書いていくことは大切なことですが、日記指導の基本が身に付いているのなら、ここで方向転換してみてはいかがでしょうか? 誤字脱字や文章の指導をいったん止めて、楽しく取り組むことに重きを置きます。すでに楽しく取り組んでいるのならそのまま続けて、もっと日記が楽しく取り組めるように工夫するとよいでしょう。
ポイント1 書きはじめの工夫
擬音語ではじまる日記
「ドンドコドン、ドンドコドン」大きな音が鳴り始める。きょうもたいこの練習です。
会話ではじまる日記
「おなかがすいたなあ」と妹がぼくのせ中をたたいた。
など、日記のはじまりを工夫するだけで、書くことも読むことも楽しくなっていきます。
ポイント2 先生はほめるだけ
赤ペンで誤字脱字をチェックしたり、文章表現の間違いを直したりしたことはありませんか?
その結果、赤だらけのノートを返却された子供はやる気をなくします。指導は大切ですが、楽しさに重きを置くには、先生はほめる言葉を簡潔に書くだけにしてみましょう。
ポイント3 日記を共有
日記をクラスで読み合います。読まれたら困るという子も配慮しながら、ペアや班で日記を読み合います。読んでくれる相手がいるということで、書く意識が変わってきます。
ポイント4 友達の日記に、「〇〇で賞」を書く
友達の日記を読んだら、おもしろいで賞、感動で賞、いいね賞、楽しかったで賞など、賞を書きます。事前にほめる言葉しか書かないことをルールとして、友達の日記の最後に「〇〇で賞」と書く活動を取り入れるだけで楽しくなります。
ポイント5 オススメ日記を掲示
クラスで共有したいオススメ日記は、コピーして教室に掲示したり、その場で読んだりして全体で共有できるとよいでしょう。
ポイント6 お題を出す
お題を出して、クラスが一つのテーマに絞って日記を書くのもおもしろいでしょう。一つのテーマなのに各自の感じ方や捉え方が違い、書く視点がさまざまで読むほうも楽しくなります。
例えば、「今日、仮に一万円を配ります。そのお金で、家に帰ってから何をするか日記に書いてきてね」と伝えます(本当に配るわけではありません)。奇想天外なお題ほど、子供たちは驚き、ワクワクしながら日記に取り組みます。
ポイント7 文房具の工夫
文房具を変えるだけで、書く意欲が変わることがあります。例えば、日記活動に限り、鉛筆からシャープペンシルに変える。自分の一番の主張したい文には、蛍光ペンで線を入れる。といったさまざまな文具の活用を取り入れるだけで、書くモチベーションが上がるようです。
イラスト/山本郁子
『教育技術 小三小四』2020年11月号より