【相談募集中】特別支援学級の担任は専門の先生がやるべきでは?

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兵庫県公立小学校校長

関田聖和

みん教相談室に届いたのは、「本当なら専門の先生がやるべきなのに」という思いを抱えながら、特別支援担任をしている先生からの相談。は兵庫県公立小学校校長で公認心理師 特別支援教育士スーパーバイザーの関田聖和先生からのアドバイスは、どんなものでしょうか。

悩む先生
イラストAC

Q.特別支援の担任は専門の先生がやるべきなのでは?

特別支援担任をしています。学級担任が偉いと思って偉そうな言い方をされる教員が一定数います。特に自分が能力がないのに自信満々で担任している人に多くて、今年はクラスに入った時に「邪魔」と怒鳴られました。

実際には特別支援はプロとしてもっと専門の先生がされるべきと思います。校長先生の采配もあると思いますが、腰掛けでできない仕事なのに、特別支援専門の勉強もしていない人が持つのはおかしいと思っています。でも、見下した態度を取る方には腹が立ちます。(Takaさん・40代女性)

A.「特別支援」について学んでみませんか?

文章から察しますが、とてもお辛いでしょうね。「特別支援はプロとしてもっと専門の先生がされるべき」には、私も同感です。専門性の高い知識やスキルを持つ教員が担任した方がいいと思ってしまいます。子供への適切な対応も、その子に合った授業もできるはずだからです。

「高い専門性を持った特別支援のプロ」とは、どんな教員のことを言うのでしょうか。

特別支援教育の専門知識を持ち、なおかつ、教員が取得していることが多い民間資格である「学校心理士」「特別支援教育士」の人数を、調べたことがあります。圧倒的に数が少なく、全国全校配置なんて到底不可能だと分かりました。

では、「特別支援学校教諭免許」は、どうでしょうか。特別支援学級の教員となるには、小学校、中学校、高等学校または幼稚園の教員の免許状のほかに、特別支援学校の教員の免許状を取得することが原則となっています。しかし実際には、教員免許だけで勤務が可能なため、特別支援学級の教員のほとんどは、特別支援学校教諭の免許を所有していないという実状があります。

ただ、特別支援に関する学校現場では、必ずしも、「特別支援学校教諭免許を取得しているから専門性がある」と言い切れません。これは、「小学校教諭免許を持っているから子供の対応や授業がうまい」とは言えないのと同じで、「免許を持っている=専門性が高い」とは言い難いのです。

私は研修会やセミナーで、「他人は変えられませんよ」と話します。私たちが子供や保護者を変えようとしても、一朝一夕にできるものではありません。つまり、他人の専門性を高めることは、非常に難しいのです。それに比べたら、自身の専門性を高めることは、簡単な方法と言っていいかもしれません。

特別支援教育について、学んでみませんか。本を読んだり、セミナーを受講したりすると新たな発見がありますよね。

私は30代後半に、「特別支援教育士」(特別支援教育士……S.E.N.S(センス)Special Educational Needs Specialist。一般社団法人特別支援教育士資格認定協会が認定する、LD・ADHD等に関する民間の専門資格)の存在を知りました。 協会HPの 「その子の背景の実態把握する力を」は、私の文章です。

すぐにさぼってしまう私は、カリキュラムのある特別支援教育士の養成セミナーに参加しました。休みの日を費やし、お金も払っているので、「学ばないともったいない!」と思い、通い続けることができました。

すると…、ある時期から、子供の困っている状態が、うっすらと見えるようになったことに気付きました。また同時に、周囲の先生方や自分自身のことも少しずつ理解できるようになっていきました。

特別支援教育について学ぶことが、働きやすさ、生きやすさにも繋がったのです。不思議ですが、子供に対しての怒りがあまり起こらなくなりました。それは、大人に対しても……。

学びを続け、それを実践に生かそうとしていると、やがて周囲の目も変わってきます。おそらく、先生が今感じていらっしゃることは、自然に解決してしまうのではないかと感じます。

今や、特別支援教育は、どの子供に対しても必要です。

「この子供は苦手」といった「難敵」を無くしませんか。まずは本を読んで知識を付けることから始めるもよし、勉強会に参加するもよし、資格の取得を目指すもよし。自分に合った方法を探してみましょう。学びを開始すると、「無敵先生」へと進化するかもしれません! 私もなんだか元気が出てきました。私も再度、学びます!


みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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